各ユニットをはじめ大幅に刷新

B&Wから新600シリーズ登場 − 上位機PM1やCM10の技術も投入

2014/03/07 ファイル・ウェブ編集部
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ディーアンドエムホールディングスは、B&Wのスピーカーシステム「600シリーズ」を刷新して、3月より発売する。

新600シリーズ ラインナップ
・「683S2」フロア型 ¥140,000(1本/税抜)
・「684S2」フロア型 ¥92,000(1本/税抜)
・「685S2」ブックシェルフ型 ¥114,000(ペア/税抜)
・「686S2」ブックシェルフ型 ¥90,000(ペア/税抜)
・「HTM61S2」センタースピーカー ¥122,000(1本/税抜)
・「HTM62S2」センタースピーカー ¥71,000(1本/税抜)

「683S2」

「683S2」(左)と旧「683」(中央)


「685S2」

「HTM61S2」
2007年に発売された「600シリーズ」を刷新した新たなラインナップとなる。型番従来機の68x型番を踏襲しつつ、末尾には「S2」が付く。キャビネットのカラーは、ブラックのバッフルとグリルによる「ブラック・アッシュ」とホワイトのバッフルとライトグレーのグリルによる「ホワイト」の2色が用意される。

製品発表に先駆け、ディーアンドエムホールディングスはプレス向けの製品発表会を開催した。発表会では、同社のマランツ音質マネージャーであり、B&W製品も担当する澤田龍一氏が製品の詳細を説明した。


ディーアンドエムホールディングス 澤田龍一氏
フロア型2モデル、ブックシェルフ型2モデル、センター2モデルをラインナップ

ラインナップの構成は、フロア型2モデル、ブックシェルフ型2モデル、センタースピーカー2モデルという構成になる。搭載ユニットでラインナップを区分けすると、5インチ(130mm)ミッド/ウーファー搭載機と6.5インチ(165mm)ミッド/ウーファー搭載機のそれぞれに、フロア型、ブックシェルフ型、センタースピーカーが用意されたことになる。

フロア型の3ウェイモデル「683S2」は、165mmアルミニウム・コーンウーファーを2基、150mmウォーブンケブラーコーンFSTミッドレンジを1基、25mmアルミニウム/ドームトゥイーターを1基搭載する。

「683S2」(ブラックアッシュ)

「683S2」(ホワイト)

フロア型2ウェイモデル「684S2」は、130mmウォーブンケブラー・コーン・ミッド/ウーファーを2基、25mmアルミニウム・ドームトゥイーターを1基搭載。エンクロージャーの幅は、従来機に比べて39mmもスリムになっている。

「684S2」(ブラックアッシュ)

「684S2」(ホワイト)

ブックシェルフ型「685S2」は165mmウォーブンケブラー・コーンウーファーを1基、25mmアルミニウム・ドーム・トゥイーターを1基搭載。本機も横幅が従来機より若干スリムになっている。

「685S2」(ブラックアッシュ)

「685S2」(ホワイト)

コンパクトなブックシェルフ型「686S2」は、130mmウォーブンケブラー・コーンウーファーを1基、25mmアルミニウム・ドーム・トゥイーターを1基搭載。ポートは従来機では背面にあったが、新モデルではフロントポートを採用した。

「686S2」(ブラックアッシュ)

「686S2」(ホワイト)

センタースピーカーの3ウェイモデル「HTM61S2」は165mmアルミニウム・コーンウーファーを2基、100mmウォーブンケブラーコーンFSTミッドレンジを1基、25mmアルミニウム/ドームトゥイーターを1基搭載。従来機ではミッドレンジとウーファーを筐体の左右に配置した構成としていたが、本機はウーファーを2発とすることで左右対称のユニット配置を実現した。

センタースピーカーの2ウェイモデル「HTM62S2」は、130mmウォーブンケブラー・コーンウーファーを2基、25mmアルミニウム/ドームトゥイーターを1基搭載する。

■フローティングしたデュアルレイヤー・トゥイーターを新たに搭載

刷新された新600シリーズの大きな特徴のひとつが、ラインナップ全モデルに搭載されたデュアルレイヤー・トゥイーターだ。


デュアルレイヤー・トゥイーター

アルミ製リングでドームツイーターの外周部を補強した
シリーズ全モデルがデュアルレイヤー・トゥイーターを採用。高域の一次共振周波数を20Hzの可聴帯域からさらに上げて高音を忠実に再現するには、トゥイーターの振動板が軽量かつ高剛性であることが必須となるが、新600シリーズのトゥイーターでは、中央部分が切り取られた2層目のドームで振動板の周辺部を補強した、薄くて軽いアルミニウム製ドームを採用。質量を増すことなく剛性を高めたことで、高域一次共振が従来の30kHzから38kHzに向上し、感度も上がった。

澤田氏によれば、高域の周波数を改善することは何も人には聴こえない周波数を出そうとしているのではなく、超可聴帯域の特性を伸ばすことで、可聴帯域の再現性を高めることを狙っているとのことだ。

このトゥイーターはデュアルレイヤーに加え、デカップリング構造を採用。これはマグネット部を取り巻く合成ジェルのリングがクッションの役割を果たすことで、トゥイーター部をフローティングさせるというもの。結果、キャビネットとトゥイーター間での干渉を排除し、よりクリアな高域再生を実現したとのこと。


エンクロージャーにマウントするタイプとしてはじめてトゥイーターをデカップリング
このデカップリング構造は、同社の800 Diamondシリーズ(関連ニュース)やCMシリーズの最新モデル「CM10」(関連ニュース)採用されているトゥイーター・オン・トップ設計(エンクロージャーの上にトゥイーターを独立させて設置する設計)の原理を用いたものだ。この技術がバッフルマウント方式のトゥイーターで仕様されたのは今回が初であり、CM10で培われた技術を新600シリーズに投入したかたちとなる。

なお、澤田氏によれば、このようにトゥイーターをデカップリングする理由は、ウーファーなどの振動がトゥイーターに悪影響を与えるのを防ぐというよりは、むしろトゥイーターの振動がエンクロージャーに伝わり、エンクロージャー自体が共振してしまうことを防ぐための処置なのだという。

また、トゥイーターには新たにシールド型トリムと保護メッシュが採用された。これは従来の600シリーズにおいて、家庭や店頭でトゥイーターを傷つけてしまう事例が多かったことへの対処とのこと。基本的には取り外しができない仕様となっているが、一般的なマグネットで吸着させればメッシュを外すことも可能だ。ただ、これは自己責任の範疇とのことで、メッシュをつけたままで音質に悪影響がないように設計されているとのことだ。


保護メッシュを外したところ

外した保護メッシュ
トゥイーターの後部で音が不要に反射するのを防ぐNautilusテイパリング・チューブは従来の600シリーズから引き続き採用された。

■ケブラーコーン・ミッド/ウーファーのキャップ部はPM1の技術を踏襲

ミッドレンジ/ウーファーについては、すべてのモデルで従来機に引き続き、B&Wのスピーカーでおなじみのウォーブンケブラー・コーンが採用された。


PM10で採用されたセンターキャップが用いられたミッド/ウーファー
このウォーブンケブラー・コーンユニットでは、エネルギー吸収型防振プラグ(センターキャップ)が新たに採用された。これはB&W 45周年記念モデルの「PM1」(関連ニュース)において開発された技術とのこと。シンプルなマッシュルーム型プラグがボイスコイルボビンにぴったりとはめ込まれることで、振動板の駆動を均一化させ、ドライバーの高域周波数レスポンスを効果的にコントロールすることができるのだ。

この変更の結果、ドライバーのレスポンスの滑らかさが増し、トゥイーターとのクロスオーバー付近でのカラーレーションを低減させることができたのだという。

フロア型「683S2」とセンタースピーカー「HTM61S2」のミッドレンジには、ソリッドアルミニウム・フェイジングプラグを装着したウォーブンケブラー・コーンFSTドライバーが採用されている。


「683S2」のウォーブンケブラー・コーンFSTミッド・ウーファー
ウーファーについては、デュアルレイヤー・トゥイーターと同様に、エッジの周りの裏にアルミニウム製のリングがあるデュアルレイヤー・アルミニウムコーンを採用。従来モデルではアルミニウムの裏にペーパー/ケブラーを張り合わせることでユニットの共振をコントロールしていたが、このコーンでは代わりにアルミ製リングを使用してその効果を高めた。


デュアルレイヤー・アルミニウムコーン・ウーファー

ユニット外周部をアルミ製リングで補強してデュアル構造としている
ユニット表面はアルマイト処理を施して色の濃淡をつけ、キャビネットの仕上げにあわせてカラーをコーディネートしている。凹型のアルミニウム製ダストキャップも採用し、こちらも本体カラーにあわせている。

■B&Wだからこそ実現可能なシンプルなクロスオーバー

クロスオーバーは各モデルで高品位コンポーネントによるシンプルなフィルター構成を採用。現在のB&Wの思想は、クロスオーバーをなるべくシンプルなものとして、各ユニット側で周波数帯域をコントロールしていくというもので、これはユニットを自社開発する同社だからこそできる手法とのこと。クロスオーバーのシンプル化は音質劣化要因を減らすことはもちろん、部品点数を減らすことで個別のパーツにより高品位なものを用いることが可能となることもメリットだ。


クロスオーバー回路を極力シンプルにしたこともポイントだ
澤田氏は、クロスオーバーはすべてのユニットに対しては正相で接続されているということも付け加えた。クロスオーバーと各ユニットの接続については特に古い文献だと諸説が唱えられているが、すべて正相で接続するのが本来正しいと断言していた。

■5世代目を迎えた600シリーズ

プレゼンテーションでは、今回で第5世代モデルになる600シリーズについて、その歴史についても説明された。

1995年に登場した初代600シリーズは、すべてのモデルにケブラーコーン・ドライブユニットを導入。それまで「安価なスピーカー」という域にあったB&Wのエントリークラスのあり方を変えたラインナップとなった。1999年に登場した第2世代シリーズは、フラグシップ機がMatrixからnautilusへと交代した時期のモデルで、それまでのCobexに代わって、ノーチラス・チューブブローディング、ペーバー/ケブラー/バスドライブユニットなどが上位機種から継承された。

2001年登場の第3世代では、ミッドレンジとウーファーのシャーシを改良するとともに、3ウェイ機にはアルミニウムコーン・ウーファーが初採用。また、すべてのモデルでフローポートを採用した。そして、従来機となる2007年登場の第4世代シリーズは、3ウェイ機にはFSTミッドレンジを、また全てのモデルでトゥイーターにネオジウム・マグネットを採用した。

澤田氏はこうした600シリーズの歴史を解説しつつ、同社の他シリーズとの現時点での関係にも言及。「トゥイーターのデカップリングやケブラーコーン・ミッドレンジのセンターキャップなど、今回の600シリーズには上位モデルであるPM1とCM10で開発された技術が活かされています。最新技術を採用しているという点では、CM10以外のCMシリーズを凌駕している面もあると言えます」と述べていた。

なお、サブウーファーは従来モデルが引き続きラインナップされる。600シリーズ用スピーカースタンド「STAV24S2」は、従来モデルを踏襲しつつ仕上げなどに若干の変更が加えられた。

各モデルのスペックは以下の通りだ。

3ウェイ・フロア型「683S2」は再生周波数レンジが30Hz〜50kHz(-6dB)、能率が89dB(2.83V 1m)、インピーダンスが8Ω(最低3Ω)、クロスオーバーが400Hz/4kHz。外形寸法が190W×985H×364Dmm(台座のぞく)、質量が27.2kg。

2ウェイ・フロア型「684S2」は再生周波数レンジが45Hz〜50kHz(-6dB)、能率が87dB(2.83V 1m)、インピーダンスが8Ω(最低4Ω)、クロスオーバーが4kHz。外形寸法が160W×955H×234Dmm(台座のぞく)、質量が14.2kg。

2ウェイ・ブックシェルフ型「685S2」は再生周波数レンジが45Hz〜50kHz(-6dB)、能率が87dB(2.83V 1m)、インピーダンスが8Ω(最低4Ω)、クロスオーバーが4kHz。外形寸法が160W×955H×234Dmm(台座のぞく)、質量が14.2kg。

2ウェイ・ブックシェルフ型「685S2」は再生周波数レンジが45Hz〜50kHz(-6dB)、能率が87dB(2.83V 1m)、インピーダンスが8Ω(最低4Ω)、クロスオーバーが4kHz。外形寸法が190W×345H×324Dmm、質量が6.8kg。

2ウェイ・ブックシェルフ型「685S2」は再生周波数レンジが54Hz〜50kHz(-6dB)、能率が85dB(2.83V 1m)、インピーダンスが8Ω(最低5.2Ω)、クロスオーバーが4kHz。外形寸法が160W×229H×233Dmm、質量が4.6kg。

3ウェイ・センタースピーカー「HTM61S2」は再生周波数レンジが42Hz〜50kHz(-6dB)、能率が88dB(2.83V 1m)、インピーダンスが8Ω(最低3Ω)、クロスオーバーが400Hz/4kHz。外形寸法が590W×218H×304Dmm、質量が17.2kg。

2ウェイ・センタースピーカー「HTM62S2」は再生周波数レンジが48Hz〜50kHz(-6dB)、能率が87dB(2.83V 1m)、インピーダンスが8Ω(最低4Ω)、クロスオーバーが4kHz。外形寸法が480W×160H×279Dmm、質量が7.9kg。

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