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ASUS、AI技術でネットの接続を最適化するゲーミングルーター「ROG Rapture GT-BE19000AI」
編集部:太田良司ASUS(エイスース)は、ゲーミングブランド “ROG(Republic of Gamers)” より、AI技術を投入したWi-Fi 7ゲーミングルーター「ROG Rapture GT-BE19000AI」を、メディア向けに国内公開した。具体的な発売日や価格は後日改めて発表予定となる。
ROG Rapture GT-BE19000AIは、世界で初めて「AI Core」を内蔵したと謳うゲーミングルーター。外部のクラウドAIに頼らず、ローカル環境でリアルタイムなトラフィック管理やネットワークの最適化を行う。
メインCPUには2.6GHzのクアッドコアプロセッサーを採用し、4GBのメモリーと32GBのフラッシュストレージを搭載。これとは別に、完全に独立した基板で動作する専用のIoTプラットフォーム「AI Core」を用意。AI Coreは2.1GHzのクアッドコアArmプロセッサーと7.9 TOPSのNPU、4GBのRAM、32GBのストレージを備え、ルーター自体の動作やネットワーク性能に影響を及ぼさず、AI処理が可能となっている。
ルーターにAI Coreを搭載することで、いったいどんなメリットが得られるのだろうか。メディア向けイベントでは、製品を試用したというeスポーツキャスターの平岩康佑氏を交え、4つの主要なAI機能について解説が行われた。
1つ目のAI機能「ルーターアシスタント」は対話形式でルーターの設定などをサポートするもの。ユーザーが「ネットが遅い」などと入力すると、潜在的な意図を解析してメディアモードの有効化などを提案するという。REST API経由で内部モジュールと連携し、診断結果はGUI上のシンプルなボタンとして提示される。
クラウドで更新可能なデータベースをローカルに保持しているため、オフライン環境でも動作する。専門知識が不要な軽量設計で、スターリンクとの互換性確認や夜間のみWi-Fiオフにするといった細かな設定も自然な対話形式で行えるのが利点だ。現在は英語のみの対応で、日本語対応については時期未定ながら、実現への取り組みを進めているという。
2つ目のAI機能「AIゲームブースト」は、クライアント(レベル1)、ルーター(レベル2)、サーバー(レベル3)の3階層で同時にネットワークパフォーマンスの最適化を図る。
クライアント側では、ゲームデバイスマネジメント技術が端末を自動で認識し、優先帯域を割り当てる。「ROG Ally」や「STEAM Deck」といったポータブルゲーミング機でも、設定なしで自動的に最適化が完了するという。スマートフォンでもアプリからのワンタッチ設定で設定できる。平岩氏は「無線接続でも1ミリ秒という、下手するとデスクトップの有線LAN環境よりも低いレイテンシー環境を実現していた」と語った。
ルーター側の処理には、通信パケットが動画かゲームかをルーターが判別してAIが学習し、遅延に弱いトラフィックを先回りで守る設計を採用した。
さらに、ネットワークの状況や通信環境に応じて通信の優先度を最適化する技術「Adaptive QoE」もAIが制御し、ゲームや会議など用途に応じて動的に優先度を再計算し続ける。これにより、高負荷時でもすべてのアクティビティで途切れない通信を維持できるという。
サーバー側では、通信経路最適化技術「GTNet」が、AIによってゲームサーバーまでの最速経路をリアルタイムなレイテンシーと混雑状況から動的に選び直す。平岩氏が言うには「最短ではなく最速」の経路を組んでいるとのことで、経路の切り替え時でもゲームが切断されないよう保護される仕組みを備えている。
平岩氏は「普段からゲームをやられている方ならわかると思いますが、あえて海外サーバーでプレイすることがあると思います」と具体的なシーンを挙げ、128ミリ秒だった海外サーバーなどへの経路が、GTNetをオンにすることで54ミリ秒に短縮されたという事例を紹介した。なお、GTNetは現時点で無料トライアルにて提供しているが、今後有料化も予定しているとのこと。
3つ目の機能「AIプロテクション」は、ローカルでブラウザのパケットを解析し、広告やトラッカーをブロックする。第三者のクッキーやデジタルフィンガープリントまで遮断するため、追跡を源から断つことができる。
システムは3層構造となっており、ワンクリックでのクイック保護から、ルーター上のAdGuard Home、クラウドのAdGuard DNSまで習熟度に応じて選択できる。未知の攻撃のブロックや悪質サイトの遮断など、家庭の入り口でネットワークを守りきる構成だ。
4つ目のAI機能として、7.9 TOPSの演算能力を持つNPUを活用した高度なデータ処理能力が挙げられる。Dockerコンテナをルーター上で直接稼働させることが可能で、エッジAIサーバーとして機能する。本製品でホームオートメーション/IoT管理などを行うことができるのだ。
例えばIPカメラを接続して映像解析環境を立ち上げ、Freegateを用いたリアルタイムの物体検出も行える。Home Assistantなどのプラットフォームを統合し、メーカーの違いを意識せずに家中のスマートデバイスを一元管理できるという。
ソフトウェア面では、UIを全面的に刷新した「ASUS WRT 6.0」を採用した。新しいダッシュボードのクライアントインサイト機能により、接続された全デバイスの帯域使用量や信号強度をリアルタイムで一覧表示できる。
また、「Wi-Fiインサイト」は全チャネルを常時監視し、電子レンジなどによる非Wi-Fi干渉まで検出して自動で最適チャネルに切り替える。ペアレンタルコントロールも進化し、YouTubeは許可するが特定のゲームは制限するといったアプリ単位での細かなブロックが可能になった。
消費電力を抑える「AIエコモード」も搭載しており、利用状況に応じて不要なWANや機能を自動でオフにする。用途別のサブネットワークを構築できる「ゲストネットワークプロ」により、ゲーミング、キッズ、IoT、VPN専用のSSIDを簡単に分離管理できる。
無線通信はトライバンドのWi-Fi 7(IEEE 802.11be)をサポートし、6GHz帯で最大11,529Mbpsの通信が可能。5GHz帯で最大5,764Mbps、2.4GHz帯で最大1,376Mbpsの通信速度を実現する。
また、高密度なデータ伝送が可能な4096-QAMにも対応する。さらに複数の帯域を組み合わせてスムーズな接続を実現するマルチリンクオペレーション(MLO)も利用可能だ。
インターフェース類は10G対応のWAN/LANポートとゲーミング専用LANポートを各1基ずつ搭載。さらに2.5G対応のWAN/LANポートを1基、2.5G LANポートを3基、1G LANポートを1基備える。そのほか、USB 3.2 Gen1とUSB 2.0を各1基搭載している。
アンテナは独立アンプ付きの外部アンテナを8本搭載しており、可動式で細かい角度調整が可能だ。平岩氏は「お風呂など無線が届きにくい場所でも、角度調整で十分届くようになった」と実体験を語った。
天面アルミプレートの厚みを従来機から30パーセント増し、ナノカーボン層と2cmのスタンドで剛性とエアフローを両立した。これにより、放熱効率は従来モデルと比較して18パーセント向上している。
本体の外観はアーマーデザインを継承し、AURA RGBによるライティング設定にも対応している。就寝時には簡単にナイトモードへ切り替えることができ、SF的なエッジの効いたデザインでゲーミングルームに調和するという。