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公開日 2017/11/10 10:06
【特別企画】世界的エンジニアが定番モニターのサウンドを分析

Goh Hotodaさん&NOKKOさんが語る「ATH-M50x」ー オーディオテクニカが担う“音の入口と出口”

構成 編集部:小澤貴信

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世界のレコーディングスタジオで定番機材のひとつとなっている、オーディオテクニカのモニターヘッドホン「ATH-M50x」。本機が広く愛される理由は何なのか。洋楽/邦楽の垣根を越え、数々のヒット曲を手がけてきた音楽プロデューサー/ミックスエンジニアのGoh Hotodaさんに本機を使ってもらい、その魅力についてお話を伺った。さらに今回はHotodaさんの奥様、レベッカのボーカリストでありソロとしても幅広い活動を行っているNOKKOさんも特別に登場。アーティストの立場から見たモニターヘッドホンについて語っていただいた。

Goh HotodaさんとNokkoさん。ご自宅のスタジオにて。Hotodaさんが手に持っているのがオーディオテクニカ「ATH-M50x」、そしてNOKKOさんが持っているのが同社のマイク「AT5047」だ

Goh Hotodaさんは1980年代に米シカゴでそのキャリアをスタートさせ、マドンナ『VOGUE』(1990年)のプロダクションおよびミックスを担当。大ヒットした本作はハウス・ミュージックの隆盛の頂点となり、以降の音楽シーンに大きな影響を与えた。Hotoda氏はその後も、チャカ・カーン、ジャネット・ジャクソン、デペッシュ・モードなど錚々たるアーティストの有名作を手がけた。その活躍は日本の音楽シーンにもまたがり、日本でも数多くのヒット作に携わった。

今回は、世界のスタジオで定番モデルとなっているモニターヘッドホン「ATH-M50x」をテーマにお話を伺ったのだが、Hotoda氏は「音楽の“出口”と言えるヘッドホンを語るためには、音の“入り口”であるマイクについて語ることは避けられない」と言う。しかもHotodaさんは今まさに、オーディオテクニカのマイクを使ってレコーディングを行っているとのこと。Hotodaさんは音の“入り口と出口”の関係を踏まえながら、ATH-M50xの魅力について語ってくれた。

オーディオテクニカ「ATH-M50x」¥OPEN(予想実売価格19,000円前後)


■時代が求める音を実現するために必要なもの。音の入り口と出口の重要性

レベッカの28年ぶりとなった、ツアー最終公演の武道館ライブ収録において、Hotodaさんは、オーディオテクニカのマイクを使用した。また、松任谷由実さんのコンサートツアー「宇宙図書館」(映像化を予定)の収録についても、やはり同社のマイクを用いた。

さらには現在進行中のNOKKOさんのニューアルバムの録音では、NOKKOさんのボーカル収録にオーディオテクニカのマイク「AT5047」を新たに採用したのだという。

ーー 音の出口であるヘッドホンについてお話いただく前に、まず音の入り口であるマイクについて伺います。Hotodaさんがレベッカや松任谷由実さんのツアー収録、さらにはNOKKOさんのニューアルバムで、オーディオテクニカのマイクを採用された理由について教えてください。

Hotodaさん 私がレコーディングの仕事を始めた80年代から、録音機材は日進月歩で進化してきました。音楽メディアもはじめはレコードやテープでしたが、CDなどのデジタルへ移行していき、いまではダウンロード配信、さらには音楽ストリーミングが主流になっています。こうした変化のなかで、時代が求めている音も変化しているのです。

そして、時代が求める音を録るためには、いわゆるビンテージのような古い機材では力が足りないのです。新しい機材だから優れているということではありません。ビンテージのマイクは、テープレコーダーやアナログコンソールなど当時の機材と組み合わせることを前提に作られているわけです。一方で今は96kHz/24bitなどのハイレゾで録音することが前提となっていて、ストリーミングに向けたマスタリングまで想定しなくてはいけません。そうなると、ビンテージのマイクでは求められる音にするのが難しくなってしまうのです。

Hotodaさんは、現代が求める音を録音するためには、最新の技術を用いたマイクが必要だと説明する

それでマイクをいろいろと検討しているなかで、テレビの音楽番組の収録でオーディオテクニカの「AT5045」を使ったのをきっかけに、オーディオテクニカの最新マイクの優れた性能を改めて認識し、実際にレコーディングに使うようになりました。

ーー オーディオテクニカのマイクは、ビンテージマイクでは難しい「今のリスナーが求める音」を録るのに優れているのですね。

Hotodaさん そういうことです。ちなみに、現在制作を行っている新しいアルバムについてはAT5047でボーカルを録っています。松任谷由実さんのライブについても、松任谷正隆さんに良いマイクはないかと相談されて、私からオーディオテクニカのマイクを提案しました。今の世の中の人が求めている音は、50シリーズのような最新の技術を備えたマイクでこそ録れると考えています。

ーー 50シリーズのようなマイクでないと録音できないという「時代が求めている音」とは、具体的にはどのようなサウンドなのですか。

Hotodaさん 簡単に説明すると「耳に張り付くような音」です。これは音圧のことではありません。音圧の大小ではなく、音が耳の全面を覆うように展開するというイメージです。こうした音で録ると、決して大きな声で歌っているわけではないのに、音に存在感が出て大きく聴こえます。

そして、こうした音はAT5047のようなマイクでないと録れません。かつての丸くて小さなダイヤフラムを備えたマイクだと、例えば高い音は小さく、低い音は太くといったように、録音される音にムラがでてしまいます。一方でAT5047は、長方形のとても大きなダイアフラムを備えていて、小さな音も大きな音もムラなく均一に捉えることができます。それが「耳に張り付くような音」につながります。

オーディオテクニカのヘッドホン「ATH-M50x」とマイク「AT5047」を使って歌録りを行うNOKKOさん

例えばサビで盛り上がって音量が上がる曲があったとして、現代のリスナーは時間がないので、盛り上がるところまで待っていられません。ストリーミングなら、気に入らなければすぐに別の曲に飛ばせます。楽曲の冒頭から心を掴んでそれをずっと離さないようにするには、この「耳に張り付くような音」が必要なのです。このように、耳に印象が残る音をいかに残すかがテーマになります。

ーー こうした音の入り口であるマイクが、どのようにして出口のヘッドホンへと繋がっていくのでしょうか。

Hotodaさん そこで私が言いたかったのは、音の入り口と出口は、新しいものの方が好ましいということなのです。今は膨大なプラグインによって音をシミュレーションしたりデジタル処理を行うことができますが、入り口と出口はあくまでアナログです。この入り口と出口に最新の技術を用いたものを使わなければ、そのために必要な音が拾えなかったり再現できなかったりします。そして今回のテーマである「ATH-M50x」を実際に使ってみて、この音の出口としての素晴らしい性能を備えたヘッドホンだと思ったのです。

モニターヘッドホンに求められる能力とは?

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