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【特別企画】世界的エンジニアが定番モニターのサウンドを分析

Goh Hotodaさん&NOKKOさんが語る「ATH-M50x」ー オーディオテクニカが担う“音の入口と出口”

公開日 2017/11/10 10:06 構成 編集部:小澤貴信
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ーー もしリスナーがこのATH-M50xを使ってNOKKOさんの楽曲を聴くとしたら、作り手の立場として、どのような音やパフォーマンスに注目してほしいですか。


NOKKOさん 今回のレベッカの再結成では、ライブでも「恋に堕ちたら」の録音でも、“80年代の匂い”をのせることを意識しました。しかも、ただレトロな音にするということではなく、最新の技術を使って当時の匂いを現代に再現しているのです。それはシンセサイザーやドラムの音色、直結して鳴らしたようなギターからもわかると思います。そのあたりをこのヘッドホンで聴いていただけたら、より私たちの意図が伝わるのではないでしょうか。

今回の再結成では、かつてのレベッカを忠実に再現して、先ほどお話したようにマイクにもすごくこだわってその世界観を再構築しました。その音楽を私たち作り手と同じようにモニターヘッドホンで聴いていただけるなら、ある意味でそれは究極の趣味と言えますね。

ーー リスナーの方にはぜひATH-M50xで、NOKKOさんをはじめレベッカのメンバーがどのような意図を音楽に込めたのか、耳を傾けてみていただきたいです。

邦楽と洋楽で音作りの違いはあるのか

インタビューの最後に、Hotodaさんに日本と米国、あるいは邦楽と洋楽で音作りには差があるのか聞いてみた。また、こうした視点から、日本よりむしろ世界のスタジオでシェアの大きいATH-M50xの音について分析してみてもらった。


ーー Hotodaさんはアメリカをはじめとする海外と日本の両方で数々の楽曲をヒットチャートに送り込んできました。いわゆる洋楽と邦楽で、求められる音作りに違いというのはありますか。

Hotoda氏 音作りについては、かつては日本とアメリカで違いがあったかもしれないですが、ボーダーレスにあらゆる音楽が聴ける時代になって、今は差はないと感じます。今は日本のアレンジャーや編曲家も、きちんと各周波数帯をフルに使って音作りを行っています。昔は海外のレコーディングスタジオでないとあの音にならないということもありましたが、今はそうではないです。音楽に対する情報量では、むしろ日本のほうが多いと言えるでしょう。

もちろん好みの違いというのはあります。アメリカは部屋の広さからして音楽を聴く環境がまったく違いますから。いわゆるドンシャリではないですが、低域が出て、かつハイも伸びた音がアメリカでは好まれるように感じます。ATH-M50xはハイもローもしっかり再現できるので、こうした好みの方向にも合致しているのではないでしょうか。先ほど述べたひとつの音にフォーカスする力や、タイミングのズレを見極めやすいという長所と合わせて、このあたりもアメリカで受け入れられる理由かもしれません。

ーー 最後に、モニターヘッドホンであるATH-M50xであえて音楽を聴く場合に、どのようなところに着目すると、よりその恩恵が得られるのかを教えていただきたいです。

Hotodaさん 僕の立場から言うと、ミキシングされた音のディテール、簡単な例を挙げるとボーカルのエフェクトにはリバーブやディレイがあるのですが、どんな効果が歌に付着しているのかを聴くと面白いし、モニターヘッドホンの醍醐味でもあります。音楽鑑賞用のヘッドホンではおしなべてバランス良く聴こえるけれど、モニターヘッドホンだと、平歌とサビで違うエフェクトを使うといった、ミキシングの緩急も見えてきます。そういう意味でも音楽のダイナミクスがより味わえると思います。

モニターヘッドホンと鑑賞用ヘッドホンの違いをクルマで例えるなら、マニュアルとオートマチックくらいの差があると言えます。マニュアル車を運転していると、今サスペンションが効いているなとわかる。そういう感覚がモニターヘッドホン、特にこのATH-M50xのような再現性を備えたモデルでは味わえるはずです。

それから、ATH-M50xは一般的なモニター環境でも音の粗がよくわかりますが、良いヘッドホンアンプを組み合わせるとディテールがものすごく出てきます。ヘッドホンが好きな方ならそのあたりの使いこなしも面白いのではないでしょうか。



音の入り口と出口。プロデューサー/ミキシングエンジニアであるHotodaさん、アーティスト/ボーカリストであるNOKKOさんが、それぞれの立場から音の入り口と出口について、そしてオーディオテクニカがその両方を担っていることの意義を語ってくれた。これらを踏まえてATH-M50xで音楽を聴いてみると、今までは知らなかった音楽の姿を体験することができるのではないだろうか。


特別企画:協力 オーディオテクニカ


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