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公開日 2016/04/28 12:12

GIGA MUSIC独占先行配信!庄野真代「The Very Best of MAYO SHONO」を聴く

連続企画:日本コロムビアのハイレゾ音源レビュー
大橋伸太郎
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音楽配信サイト「GIGA MUSIC」にて、名門・日本コロムビアが擁する選りすぐりの未ハイレゾ化音源が、続々とハイレゾで登場することとなった。しかも独占先行配信。現在のところ庄野真代、アン・ルイス、いしだあゆみの配信が決まっており、その後も様々なアーティストが予定されているという。

Phile-webではこのハイレゾ音源を連続レビューする企画をスタート。リリース当時のエピソードや、ハイレゾになったからこそ注目したい聴きどころをたっぷりとご紹介したい。




The Very Best of MAYO SHONO / 庄野真代
96kHz/24bit FLAC
購入ページはこちら



名門・日本コロムビアが、キラ星のごときアーティストの音源配信を開始した。しかも、ハイレゾで。昭和の音楽は、歌手とオーケストラ(バンド)が入念なリハーサルを経てスタジオで一緒に演奏したもの。ハイレゾなら、スタジオの空気ごとまるでその場に居合わせているかのように生々しく楽しめるのだ。歌謡曲が純粋な音楽としての魅力をいまようやく現そうとしている。ハイレゾ時代のいまこそ、歌謡曲を聴こうじゃないか。

新しい女性像を伸びやかに歌った庄野真代
その魅力にいまこそ耳を澄ませたい


1970年代の終わり頃に一大流行語になったことばに「翔んでるオンナ」というのがあった。ちょうどその時期スターになった庄野真代の歌の世界のヒロインがまさにそれ。大半の曲を自作自演する彼女の描くヒロインは、一日千秋の思いでつれない男を待つ旧来の歌謡曲のオトコの従属物のような女の「忍ぶ恋」と訣別し、彼女たちは対等の立場で恋愛のゲームを楽しんでいる。

異国への憧れも特徴だ。歌謡曲の憧れの地はずっと「大都会・東京」だったが、庄野真代の描く女たちはモンテカルロやイスタンブール、エル・パソ、シンガポールへ軽やかに飛翔する。自由奔放で男のエゴや旧弊な社会通念に縛られないコスモポリタンな女性像という点でどの曲もブレがないのだ。庄野真代は、「世界観」というものを歌の世界に持った最初の女性歌手かも知れない。

しかし、それを音楽に昇華するには歌手としての表現力が必要だ。

庄野真代の声は明るい。軽やかに舞い上がっていくのが快感だ。前後してデビューした歌手に八神純子という飛び抜けて強靭な声の歌手がいたため気付かなかったが、庄野真代の声はピンと芯の通ったしなやかで折れない美声だ。高域の華やかな表情が印象的だが、声域が広く中低域のニュアンスが豊かで、時にはっとするドラマティックな歌の演技も披露する。

トレーニングのたまものの正しい発声のおかげで音程が抜群によくポジションチェンジして決して外さないことも特徴。筆者の隣人で、同時期にデビューした、「Mr.サマータイム」の大ヒットで有名なサーカスの叶 央介氏は歌手・庄野真代について「真代ちゃんは音程が正確で、一緒にコーラスして必ずきれいにハモる」という(だからサーカスにメンバーとして加入する話があったとも聞いた)。こうした歌手としての資質が、時代の待ち望んだ軽やかに飛翔する歌の世界を支えたのだ。今こそ彼女の声の魅力に耳を澄ませたい。ハイレゾダウンロード配信シリーズの第一弾に選ばれたことも頷ける。


ハイレゾ化でこれだけ変わるのか!
楽曲の美しさ、庄野真代の上手さが満開の音楽発見体験


「The Very Best of MAYO SHONO」は、代表的な15曲を選んだコンピレーションアルバム。CDは1997年に発売された。今回配信されるのはリミックスでなくリマスターだが、音質の改善には目を見張る。いくつかの曲をピックアップして、CDの44.1kHz/16bitと、96kHz/24bitの2バージョンを聴き比べてみよう。

第1曲「モンテカルロで乾杯」


第一音を聴いた瞬間、ノイズが巧みにシェープされ音場の見通しが良くなったことが分かる。CD(44.1kHz)は音場が平板だが、配信(96kHz)は立体的で広がりがある。最大の違いは庄野のボーカルだ。配信は量感豊かでふくらみがあり前に出る。ああ、庄野真代が僕のために歌ってくれている!

CDは声が痩せていて歌詞のサ行の擦過音が耳に付いたが、ハイレゾは口周りの動きがなめらかで、声も肉付きがよくセクシー。バック演奏のリズム楽器(ベース、ドラムス)の響きが弾力的でよく弾み、ストリングスに倍音が乗って艶がありふくよかな色彩感がある。異国情調を狙ったキーボードのきらびやかさは本来この曲に欠かせないものだった。

第2曲「想い出のラブソングス」


解像感の向上が圧巻。リミックスしたかのような劇的な変貌ぶりだ。楽音の細かなノイズが消えボーカル定位も向上、庄野の歌声がバックの演奏からくっきりと哀愁を湛えて浮かび上がり、感動的といっていい。CD版はリズム楽器の輪郭描写がやや甘いが、ハイレゾ版はタイトに引き締まって実在感豊か。エレキベースの音程がつねに明瞭で、硬質な音の芯を感じさせ力強いリズムを刻む。オケとコーラスが曲のクライマックスで左右からリスニングポイントに豊かに回り込んで聴き手を包み込みドラマティックな効果を生む。

第3曲「飛んでイスタンブール」


彼女の最大のヒット曲だ。この一曲だけダウンロードするユーザーも多いかも知れない。聴いてみると、音質の改善の度合いがかなり大きい。ボーカルの改善に最大限注力した印象だ。音場がほぐれて広々と大きい。Fレンジ、Dレンジがぐっと広がり音場にスケール感が生まれた。伸びやかに、しなやかに、表情豊かに歌い上げる庄野真代のスレンダーな肢体が目の前に浮かび上がり、しばし陶然とする。この曲は使われている楽器の数(音色)が多い。異国情調を醸すバラライカは粒立ちがほぐれて華麗に際立ち、オブリガートの鈴も倍音が豊かに乗ってきらびやかな光輝が音場に散乱する。

第4曲「マスカレード」


解像感が劇的に向上。CD版は今一つ音場がほぐれなかったが配信はリミックス?と疑う程ステレオイメージが豊かでバックの楽器の数が増えたような変貌ぶりだ。個々の楽器の音色描写も一気に鮮度が増し倍音の乗ったトランペットの光沢のあるオブリガートが音場に鮮鋭に刻印される。

1970〜80年前半の歌謡曲やニューミュージックは、AMラジオのオンエアを重視したためかFレンジが控えめで聴きやすい中域主体、暖かい音色で塗りつぶしたマッシブな音作りが多かった。だから当時いい装置で聴くと平板な音場にもどかしい思いをしたものだ。

それが、21世紀になりハイレゾ化で変貌した。リミックスせずともこれだけ劇的に変わるのだと驚く。それはひとえにオリジナルマスターがいい音質で収録されていたためだろう。どの曲もワイドレンジでクリア、立体感がありディテールとニュアンスが豊か。録音されたその時そのままの姿でいま、私達の前に現れる。それは感動的ですらある。



ハイレゾで登場した「The Very Best of MAYO SHONO」。楽曲のよさ、カラフルな編曲と隙のない演奏、歌手・庄野真代の上手さが本来の姿を現した感がある。高価でなくてもいいから、必ず高音質な装置で聴いてほしい。歌謡曲ファンならマストアイテム。すべての音楽ファン、オーディオファンにとって新鮮な「音楽発見体験」がここにある。



<試聴時の使用装置>
DAコンバーター:ヤマハ「CD-S3000」のUSB入力を使用
プリアンプ:アキュフェーズ「C-2820」
パワーアンプ:ソニー「TA-NR10」2台
スピーカーシステム:B&W「802 Diamond」
スピーカーケーブル:SUPRA「Sword」
USBケーブル:クリプトン「UC-HR」


(企画協力:フェイス・ワンダーワークス)

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