公開日 2013/03/07 15:28

「レコチョクBest」「ひかりTVミュージック」はなぜ100万曲/980円/320kbpsなのか?

レコチョク/NTTぷららの担当者にインタビュー
■320kbpsの高音質実現は、配信提供者としての”意地”

定額聴き放題のサービスでありながらAACの320kbpsという高音質が実現したことは、ファイルウェブの読者なら一番気になるところだろう。STBはもちろん、回線状況さえ許せばスマートフォンでも320kbpsでの視聴が可能となっている。

「なぜ320kbpsでの配信を実現させたのか。レコチョクとしての理由を言うなら、それは”意地”でした。レコチョクは携帯電話の『着うた』中心のサービスであったということもあり、「レコチョクって音悪いんでしょ」というイメージが少なからずあったと思っています。今回の320kbps配信は、そんなイメージを払拭できるものだと思います。320kbpsとなるとスマートフォンの3G回線には厳しいですが、NTTぷららさんというインフラ面で強力なパートナーがいればこそ、後顧の憂いもなく実現できました。

もう一つは海外のサービスも参入してくるだろう中で、なぜ音質面で今から負けなきゃいけないのかと。そんなことで選ばれない理由を作るのは悔しい、という考えもありました」(レコチョク社・鬼頭氏)。

「ひかりTVミュージック」については、スマートフォンだけでなくSTBを接続したテレビでも聴くことができるということで、オーディオビジュアル的なクオリティの面も気になるところだ。

STB版ひかりTVミュージックのプレイリスト画面

「ひかりTVでは、お客様満足度という指標を非常に重視しています。加えて、ひかりTVのメイン層である30代、40代のお客様はスペックにこだわる方が多いので、こうした方々に音質面で満足していただけるような、高い品質の配信を実現できたと思います」(NTTぷらら・橘堂氏)。

実際の楽曲の配信では、スマートフォンでは320kbps/128kbpsの切り変えができるようになっている。(3G/LTEでの利用時は128kbpsのみ)STBについては320kbpsの固定となる(回線は必ずフレッツ光を用いるわけで、当然といえる)。


STB、スマホ共に「What's New」のページからは「ひかりTVミュージック」オリジナルの選曲が楽しめる
実際の使い勝手の点で特筆したいのは、スマートフォンでの再生については最大8GBのキャッシュに対応している点だ。通常時はストリーミングで聴くことになるが、キャッシュを行っていれば、回線状況が悪いときでもサービスを楽しめる。もちろん、キャッシュされた音源にはDRMがかけられ、一定期間サービスへのアクセスがないと視聴できなくなるが、キャッシュ対応は回線環境が変化するスマホには重要なポイントだと言える。

なお、「ひかりTVミュージック」に対応するSTBは、現時点で「PM-700」「ST-770」「M-IPS200(3月中旬より提供予定)」で、STBでひかりTVを視聴しているユーザーをほぼカバーできるとのこと。各STBにはHDMI端子に加えて光デジタル端子も搭載されているので、AVアンプやデジタル入力を搭載したオーディオ機器と組み合わせて、320kbpsをというスペックを最大限活かすことが可能だ。

STBでの音楽配信というと、「テレビで音楽を聴くのか?」と思う方もいるかもしれない。しかし、実際にSTBで「ひかりTVミュージック」を操作してみると、その場の数人でプレイリストを見ながら「この曲はなつかしい」「こんな曲もあるのか」などと、音楽談義が盛り上がってしまった。個人で完結するスマホのサービスと、家族や友人など大勢で音楽を楽しめるSTBと、異なる楽しみ方ができることを改めて実感させられた。

スマートフォン向けのカジュアルな音楽視聴手段と考えられがちだった定額音楽配信サービスも、100万曲以上という楽曲の充実と最大320kbpsの高音質ともなれば、本格的に音楽を聴くメディアとしても十分通用する水準となる。オーディオビジュアルのファンにとっても、そしてJ-POPなど邦楽を中心に音楽を楽しみたいユーザーにとっても、「ひかりTVミュージック」は今後の音楽視聴シーンを変える重要なサービスとなっていくだろう。

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