PR 公開日 2024/09/13 06:45

デノンらしい単刀直入で誠実なサウンド。万能プリメイン「PMA-3000NE」の先には幸せなオーディオ人生が待っている

110周年機をベースにしつつ、執念の改良が施されたトップモデル

■シングル・プッシュプルらしい、高貴で生真面目な香りが漂う「単刀直入」サウンド



ケーブルの代わりに銅製バスバーを用いていたりと、PMA-A110とは別物といえる仕上がりになっている

試聴は本サイトを運営する音元出版の新社屋の試聴室で行った。スピーカーはモニターオーディオの「PLATINUM200 3G」を用いた。まずはCDプレーヤーとの組み合わせから。

デノンの大型プリメイン機をハンドリングしていつも感心させられるのは、ボリュームノブの操作感だ。大型ノブの感触は手に優しく、動きが非常に滑らかなので、狙った音量を直感的に得ることができる。

そのサウンドはデノンの伝統を引き継ぐ単刀直入かつ誠実なものだ。シングル・プッシュプルらしい音と言い換えてもいい。多数の素子を並列に接続したハイパワー機の音には、それがたとえリファレンス的なモデルであったしても、「パラレル臭」のようなものが付きまとう。それに対して本機の音には、昔流行った「ストレート・ワイヤー・ウィズ・ゲイン」という言葉を彷彿させるような清潔感が支配的だ。

出力は80W×2(8Ω)/160W×2(4Ω)で、スピーカーのドライブ能力は極めて高く、PLATINUM200 3Gのダブルウーファーを完全にグリップするとともに、どのような場合にあってもワイドレンジかつクリーンな音色を保ち続ける。ドライブするスピーカーにもよるが、音場・音像は基本的にスピーカーの後方に展開するものの、音が遠すぎることはなく、エネルギーもしっかりと感じられる。

音楽的にもシングル・プッシュプルらしさが色濃く感じられる。真空管・ソリッドステートを問わず、素子を多数パラレル配置したアンプが奏でる音楽はどこか能天気な印象を受けるのに対して、本機が再生する音楽には高貴で生真面目な香りのようなものが漂っているのだ。

したがってその表現は「非エンタメ調」あるいは「アカデミック調」とも受け取れるものの、だからといって音楽がつまらなかったり難解だったりするわけでは決してなく、リスナーは演奏の内容に楽しくアプローチしていける。

「デノンの伝統を引き継ぐ、シングル・プッシュプルらしい単刀直入なサウンド」と評価。さらにアカデミックなつまらない音調にはならず、楽しく聴くことができる

前述のアナログモードと、信号がバランス/トーンコントロール回路をパスする「ソースダイレクト」について触れておこう。アナログモードは楽音そのものというよりも、その背景にある空気感を清浄化するような効果がある。ソースダイレクトも基本的には同じような効果が期待できるのだが、個人的にはよくできたトーンコントロール機能を積極的に使いたい。

■内蔵フォノイコも非常に優秀。幸せなオーディオ人生が送れる万能プリメイン



アナログモードやソースダイレクトといった高音質モードも搭載。ただ、石原氏はトーンコントロールも優秀で積極的に使っていきたいと語る

ジャンル別のインプレッションも記しておく。ジャズは非常に現代的な印象を受ける。清潔な音場を描いておいて、そこによく締まった音像を載せていく、いわば視覚的な表現なのだ。各楽器の音色が極めて美しい。ある種のビンテージ機のようにミュージシャンの汗が飛び散るような聴き味とは無縁なのだが、この清潔感を知ってしまうともう後戻りできない。

ヴォーカルは基本的に清潔な音場に清楚な質感の声が浮かび上がるハイエンド的な表現なのだが、声の質感にシングル・プッシュプルらしい高貴さのようなものが感じられる。これは直熱三極管を起用した真空管アンプに一脈通じる聴き味ではあるのだが、こちらのほうが聴感上のS/Nははるかに高い。また、音程と発音の聴き取りやすさも上々だ。

クラシックのオーケストラものでは本機の解像度の高さが最大限に発揮される。余計な解釈を加えることなくオケの姿を素直に描くので、まるでミニチュアのオーケストラがし試聴室に出現したかのようなイリュージョンを感じることができる。このような感覚が味わいたくて、私たちオーディオ人類はステレオ方式のシステムづくりにせっせと取り組んでいるのかもしれない。

最後にアナログレコードを聴いた。カートリッジはフェーズメーションの「PP-2000」を、プレーヤーはテクニクスの「SL-1000R」を用いた。結論から先にいえば本機に搭載されているフォノイコライザーは非常に優秀で、予想以上にすばらしいレコードサウンドを聴かせてくれた。

フォノイコライザーを欠く同程度の価格のプリメイン機とエントリークラスの単体フォノイコライザーをランダムに組み合わせてもこれだけの音はなかなか得られまい。というのも、プリアンプないしプリメインアンプに組み込むことを前提に音作りを施されたフォノ回路からは、汎用を前提としたものよりもはるかに高品位な音が取り出し易いからである。

さて、今回は試さなかったが高度なUSB-DACも搭載した本機をどのように使うか。もしも筆者が30歳くらい若くて本機のオーナーになるとしたら、アナログレコードの再生をメインとした使い方をしたい。

デジタル音源はストリーミングサービスを活用しつつ、余った資力は全てレコードのコレクション構築に費やす。とはいえ現実の筆者は膨大な数のCD等を保有しているので、本機を使うとしたら良質なデジタル・ディスク・プレーヤーも欲しいところだ。

いずれにせよ、本機を手に入れたなら幸せなオーディオ人生が待っていることは保証しよう。ともあれ、万能のプリメインアンプともいえる本機の登場を喜びたい。

(協力:ディーアンドエムホールディングス)

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