公開日 2023/07/20 06:40

アクティブスピーカーを小音量&高音質に鳴らす!モニターコントローラー「Baby RAM」に注目

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第272回】

機能ボタンとしては他に、MONO、MUTE、DIMを搭載。機能は順に、ステレオ音声もモノラル化して出力、消音、ノブでの設定に加えてさらに-20dB減衰。

これらも同じくデカボタン

これらの機能を活かしてどんなことができるだろうか?

例えば筆者の場合、OUTPUT 1にスピーカー6010B、OUTPUT 2にハイパワーな本格ヘッドホンアンプというシステムを検討中である。

というのもハイパワーヘッドホンアンプもまた、小音量領域での扱いにくさを抱えがち。そのため高感度なイヤーモニターなどとは合わせにくい。その問題をBaby RAMを前段に置いて入力前にアッテネートすることで解消できるか、今後試していければと思う。

Burson Audio Soloist SLとの組み合わせはいけそうな感触!でも両機を並べて置けるスペースの確保の方が難しそう……

またINPUT 2にはエレクトリックギター用アンプシミュレーターからの出力を接続。これならリアルギターアンプのスピーカーを鳴らすよりもグッと小音量で、モニタースピーカーを通してプレキシマーシャル風サウンドを楽しめるわけだ。

strymon IRIDIUMのプレキシモード、やたら気持ちいい

最後にbaby RAMを導入する上での注意点をいくつか挙げておく。

まず、デカい。実測サイズはおおよそ幅14×奥行19cmで、設置面積としてはiPad miniやBDジャケに近い。高さも手前4cmで奥8cmくらいとなかなかある。

筆者の「学校机トップオーディオ」環境には収まらず、机からはみ出しているのが現状

これについては「こいつはデカいスイッチでデカい抵抗を切り替えてるに違いないぜ! たぶんだから音がいいんだぜ! それにデカいからこそノブやスイッチが使いやすいんだぜ!」というテンションで受け入れるのがおすすめ。

とはいえこのデカさ、「デスクトップ」オーディオとして弱点であることは否めない。導入検討時には設置ポジションについても事前に考えておく必要がある。

入出力端子は、オーディオ機器ではあまり遭遇しないであろう、バランス伝送対応TRSフォーン端子。オーディオ側やスピーカー側の端子は多くの場合でRCAピンやXLRバランスだろうから、接続にはそれらとの変換ケーブルが必要になる。

筆者の環境では、ZEN DACの出力もGenelec 6010Bの入力もRCAピンなので、RCAピン-TRSフォーンの変換ケーブルが必要。筆者はギター周りでの経験から「この手のケーブルはカナレかモガミにしとけば間違いない」と信仰しており、今回はカナレQCシリーズのケーブルを調達した。

補強スプリングから発せられるカナレ感

なお、配線周りでは「パッシブなので電源不要」は地味に便利なポイントだったりする。

アンプ内蔵スピーカー全般の音量調整快適化におすすめ!



個人的に据え置き機器としては、久々の超大満足機材だ。アクティブスピーカーの音量調整に苦労しているオーディオファンにも幅広くおすすめしたい。

ボリュームコントローラーを備えるスピーカーを使っているとしても、そのノブが背面に配置されていて手を伸ばしにくかったり、小音量域に限らず音量変化の曲線に癖があって調整しにくかったりといった悩みがあるなら要検討。スピーカー側のボリュームノブは固定して前段にBaby RAMを置くのはよい対応策になることだろう。

音量をパッシブで高精度に調整する。それだけのシンプルな機材だからこそ奥深く、そして恩恵も大きいのだ。



高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi
趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。


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