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[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域【第264回】

フェイスプレート交換でサウンド調整!画期的イヤホンNF Audio「NE4 Evolution」の出来栄えは?

2021/10/30 高橋 敦
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フェイスプレート交換でドライバー割り当てを変更!

イヤホンのチューニングをユーザーが変更できる機構は、いわゆる「高級イヤホン」が流行し始めた当初から採用されることが多かった人気機能。音が耳に送り込まれる直前に通る「フィルター」など、アコースティックな部分での音響パーツを入れ替えることで、高域の減衰具合などを調整するといった手法が主流だ。

2011年発売のAKG K3003は「メカニカル・チューニング・フィルター」交換機構を搭

2013年発売のShure SE846は「ノズルインサート」交換機構を搭載

そして今回登場したNF Audio「NE4 Evolution」も、チューニング変更機構を搭載するのだが、その機構は前述のものとは完全に別物である。

外観は普通にイヤーモニターフォルム

やや大柄ではあるが装着感も良好

フェイスプレートを交換できる構造として、そのフェイスプレートにネットワーク回路を内蔵。その交換によって「搭載されている複数基のドライバーをどの帯域にどのように割り当てるか?」を変更可能という仕組みだ。

パッケージには3タイプのフェイスプレートが付属=3種類のサウンドを選べる!

具体的には、付属の3種類のフェイスプレートの交換で、搭載されている4基のBAドライバーの割り当てを、
●超低域×1/全域×1/高域×2
●低域×1/中域×1/高域×2
●全域×1/高域×3
に変更できる。

「ルックス的な話でフェイスプレートが交換可能なイヤホンってあるじゃん?そこにネットワークの電子回路を仕込んだらオーディオ的にも面白くね?」的な発想だろうか。とにかくこれは画期的だ!

マルチドライバー構成のネットワーク回路って?

「フェイスプレートの交換による音質カスタマイズ機能」について、もう少し詳しく見ていこう。

前提として、複数基のドライバーを搭載したマルチドライバー構成のイヤホンでは一般的に、「ネットワーク回路」と呼ばれる電気回路によって「どのドライバーにどの帯域の音を再生させるか?」が設定されている。

例えば低域・中域・高域を各ドライバーに担当させる3ウェイ構成だったら、「〇〇Hz以下の低域の信号はこのドライバー、〇〇Hzから○○kHzの中域の信号はこのドライバー、〇〇kHz以上の高域の信号はこのドライバーに送り込む」というように、各帯域の音声信号を各ドライバーに送り込むネットワーク回路が必要。

また「〇〇Hz以下」で示しているように、低域・中域・高域をどの周波数で分割するのか、そして各帯域の音量バランスはどうするのかというのも、ネットワーク回路で設定される。

つまりネットワーク回路を丸ごと交換可能ということは、いま挙げたそれらすべての設定を変更可能ということだ。それはもう「ほぼ別物のサウンドにも変更可能なチューニングシステム」と言って過言ではない。

なお近いところでは、ハウジングのDIPスイッチ等でチューニング変更ができるシステムを搭載したイヤホンがある。あちらはおそらく、ネットワーク回路の一部、例えば抵抗やコンデンサーを、別の値のものに切り替えるといった仕組みだろう。あるいは二系統のネットワーク回路を搭載し、それを丸ごと切り替えている機種もあるかもしれない。

だがいずれにしても、このフェイスプレート交換システムによるチューニングの変更幅はそれらを上回るはずだ。変更幅の大きさとしては、
ネットワーク回路交換>ネットワーク回路の一部切替スイッチ>フィルター交換>イヤーピース交換
といった感じでイメージしてもらえればよいのではないだろうか。

イヤーピース2種類付属なので、細かく見ればフェイスプレート3種×イヤーピース2種で6通りのチューニングが可能!

高純度5N OCC銀メッキ280芯リッツ線ケーブルはしなやかで取り回しも良好



独特な形のケースも付属

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