公開日 2019/09/20 06:20

「Amazon Music HD」レビュー、日本もハイレゾストリーミング時代へ。その音質とは?

ハイレゾ相当のクオリティをチェック


ホセ・ジェイムスの新作アルバム「リーン・オン・ミー」を試聴するために、検索ウインドウに「ホセ・ジェイムス」と日本語で入力した。すると本アーティストの発売アルバムが一挙に並ぶ。しかもほぼ全てのバッジ表記はHDもしくはULTLA HDなことに感心する。オーディオファイルに人気のダイアナ・クラールでも同様だ。また、マイルス・デイヴィスやビル・エヴァンスなどの有名ジャズアーティストを始め、ロック・ポップスに至るまで有名アーティストや名盤のオンパレード。しかも多くがHDとULTLA HDで、特に海外アーティストの充実度は素晴らしい。再生可能な楽曲数が数百万曲というアナウンスはハッタリなどではないようだ。

海外アーティストの楽曲はHD/ULTLA HDが充実している

再生ボタンを押すと画面下部に再生ステータスが表示される。配信フォーマットのアイコンをクリックすると、ソースのレゾリューション、再生装置の限界レゾリューション(後述するMIDI設定に左右される)、実際に再生されているレゾリューションが表示され、ソースの持つレゾリューションで再生ができているのか一目で確認できるのが嬉しい。

音源のスペック、再生デバイスの性能、実際に再生されているサンプリング/bit数が確認できる

それでは、日本人アーティストの配信状況はどうだろうか? トップ画面を見る限り、あいみょん、宇多田ヒカル、松任谷由実、井上陽水、尾崎豊など新旧アーティストがULTLA HDで再生可能だ。そして18日にサブスク解禁されたPerfumeは、メジャーデビュー以降の全作品がHDで聴けてしまう(本アーティストはそもそもハイレゾ音源を配信していないので、現時点でこれが最上位フォーマット)。

日本のアーティストもタイトルは豊富。ただしSDでの配信も多い

ただし日本人アーティストの多くは依然としてSD品質での配信となっている。また、ハイレゾ配信を行っている作品であっても(たとえば森口博子の『GUNDAM SONG COVERS』など)、HDで配信されているケースもある。

Amazon Music HDの音質は?

いよいよ再生してみる。ブラウズ画面でアルバムアートにポインターをおけば、スタートボタンが表示され、それをクリックすることで再生される。

また、アルバムアートの中央部以外をクリックすると、そのアルバムの楽曲一覧表示に切り替わり曲単位で再生指示が出せる。

カバーアートのほか、アルバムの発売時期なども表示される

それでは気になる本サービスの音質を報告したい。ホセ・ジェイムスの「リーン・オン・ミー」では、帯域バランス、音色、音調とも同時比較したハイレゾファイルとほぼ同等。卓越した情報量を持ち、上下fレンジも秀逸で、安定した再生音を実現している。そしてハイレゾのメリットとされる空間表現力も中々のものだ。

オーディオシステムでサウンドを確認

が、ここで1つ大きな壁にぶち当たった。本アプリは、各楽曲のサンプリング周波数とビット深度の情報をmacOSのMIDI設定に自動反映させる機能が備わっていない。しばらく初期化していない筆者のパソコン設定がおかしい可能性もあるが、今回の試聴では各楽曲のサンプリング周波数/ビット深度に合わせてAudioMIDI設定をしないと、DAコンバーターにはMIDI側で設定した数値がそのまま送られてしまう。つまり曲に合わせその都度、設定変更しなくてはいけない。

次に、FLACによるハイレゾ配信を行っているQobuzと同一タイトルで音質を比較した。Qobuzの再生にはAudirvanaを用いている。つまり「Audirvana + Qobuz」VS 「Amazon Music + Amazon Music HD」となるのだが、率直に書くと音質については前者が圧倒している。

具体的には、中高域の解像度と見通しの良さが違う。弱音部のわずかな響きやそれらが作り出す空間のパースペクティブは、特にAudirvana + Qobuzの方が良好だ。これは先述した排他モードなどをAudirvanaが備えており、macOSのCore Audioを経由する影響を回避できているのが大きな理由だろう。もちろん比較しなければ、後者も決して悪い音質ではないので、Amazon Musicソフトが排他モードを実装することに期待したい。

最後にギャップレス再生の可否を確認するため、HDクオリティのビートルズのアルバム『アビイ・ロード』のトラック9から14までを続けて試聴したが、音が途切れることなく再生できた。

次ページオーディオシーンを一挙に変えるゲームチェンジャー

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