公開日 2017/04/17 11:02

CDでハイレゾ「MQA-CD」徹底解析! MQAエンコードあり/なし音質比較からリッピング方法まで

「ハイレゾ時代のHDCD」
次に別のMQA対応DACを使用してみた。Mytek「Brooklyn DAC」だ。BrooklynはコンパクトでかつMytekらしい高音質を誇るDACだ。Brooklynで面白いのは、量子化ビット数まで本体ディスプレイに表示されること。BrooklynでMQAエンコードありの曲を再生すると、表示はMQAライトが点灯し、数値は176kHz、16bitと表示される。つまりMQAでデコードしてもビット数が拡張されて24bitになるわけではないことが分かる。

MYTEK Digital「Brooklyn DAC」¥OPEN(実勢価格35万円前後)。特別CDの“MQAエンコードあり”楽曲を再生すると、本体には<MQA>ランプが点灯。<176.4kHz><16bit>と表示された

※上記について記事掲載の後、MQA Ltd.から「ボブ・スチュアート氏によると、Brooklyn DACでMQA-CDを再生した際に16bitと表示されるのはファームウェアがMQA-CD対応になっていないためで、実際には24bitになっているとのこと」という指摘があった。この点については、新たな疑問もあり、詳細を確認した上で、改めて続報をお伝えしたいと思う。

・2017/07/12追記
上記の件については、ボブ・スチュアート氏から「これは意図した結果ではなくMytekのファームウェアの問題で、Brooklyn DACでは24bitで再生されている。Mytekの最新ファームウェアでこの問題は修正されている」との回答を得た。また、Brooklyn DACまでは、24bitの情報を持ったまま16bitで伝送が行われているとのこと。実際に最新ファームウェアでは、同様の条件化において「176kHz/24bit」と表示された。詳細についてはこちらの記事で詳しく解説している。

興味深いことは、Brooklynではやはり“MQAエンコードあり”の方が良く整っていて、音質が高いのは間違いないが、Meridianよりも“MQAエンコードのあり/なし”の差は小さいと感じたことだ。

またBrooklynでは“MQAエンコードあり”の方が、“なし”に対してボリューム調整が必要なほど音量レベルが低く感じられた。MQAをエンコードする際にマスタリングもしなおしているのか、MQAデコーダの特性なのかは分からないが、やはり興味深い点だ。

このことから、DACのファームウェアによってもMQAのデコードに違いがあるのではないかと感じられる。ボブ・スチュワートは当初、PCソフトでのMQAソフトウェア・デコードに対して難色を示し、ファームウェア寄りで、ハードウェア・デコードすることにこだわっていたようだ。やはりDACのアーキテクチャとMQAデコーダーの作りこみには機種差があるのかもしれない。

3、MQA-CDをリッピングしてパソコンで再生
MQA-CDをリッピングした場合、ソフトウェア/ハードウェア・デコードはできる?

MQAの目指すゴールが「使い勝手」と「音質」の両立であるならば、やはり普通のCDのようにMQA-CDもリッピングして、Windows PCやMacなどのパソコンでも使えることが望ましい。パソコンの上でのMQA再生は、前の項で軽く触れたようにDACで行うハードウェア・デコードの他に、ソフトウェア・デコードも使用することができる。

当初MQAはDACなどハードウェアでのみデコードが許されていたが、現在ではWindows PCやMacの音楽再生ソフトウェアでもMQAのデコードができるようになった。これをソフトウェア・デコードと呼ぶ。

TIDALストリーミングでのMQAサポートが契機となり、現在ソフトウェア・デコードに対応するのはTIDALプレーヤー(PC版。当然だがストリーミングのみ)とAudirvana Plus 3である。加えてRoonも、今後のアップデートで対応することがアナウンスされている。

本稿ではパソコン上でのMQA-CDの検証をするために、Macにリッピングで音源を取り込み、Audirvana Plus 3で再生してみた。加えて、Audirvanaの作者であるダミアン・プリッソン氏に、AudirvanaのMQA対応とソフトウェア・デコードについての話を聞いた。

MQAのソフトウェア・デコードは96kHz・88.2kHzまでの対応

ハードウェア・デコードでは、4x(4fs)の176kHz、192kHz等のいわばフルデコードが可能だ。対してソフトウェア・デコードでは、2x(2fs)までで上限が88kHzまたは96kHzになる。これはボブ・スチュワートから、MQAは基本的にエンド・トゥ・エンドのシステムであり、4x以上のデコードにはDACの特性を知ることが必要だからという説明がなされている。

ちなみにプリッソン氏によると、MQA内部の情報にはDACのフィルタープロファイルをチューニングするためのデータも含まれているということだ。

MQA-CDをMacに取り込むためには、X Lossless Decoder(XLD)を使用してAIFFでリッピングした。

次ページMQA-CDリッピング音源をソフトウェア・デコードする方法とは?

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 DALIのコンパクトスピーカー「KUPID」はテレビ横にも置きたくなる!エンタメサウンドも相性抜群
2 ビックカメラ、旧池袋マルイ跡地「IT tower TOKYO」に出店。2026年3月オープン予定
3 Valerion、4Kレーザープロジェクター&スクリーンのセットを最大43%オフで販売する「クリスマスセール」
4 スクリーンを下ろせば和室がホームシアターに変身! ユニークな機器レイアウトに注目
5 ORB、“最良の音楽表現” を目指したフラグシップヘッドホンアンプ「JADE casa Ultimate」
6 「ベーシック」の常識を覆すハイレベルなインターコネクトケーブル Zonotone「Granster AC-2000」
7 KEF、対象スピーカー購入者全員へChord Company製ケーブルをプレゼントするキャンペーン
8 LG、RGBマイクロLEDテレビ「Micro RGB evo」。CES2026で正式発表へ
9 NICEHCK、新フラグシップIEM「Rockies」。1DD+2BA+2ESTのハイブリッドドライバー搭載
10 <ポタフェス>B&W、フラグシップヘッドホン新旧比較/デノン、リアルウッドヘッドホンをアナログで味わう
12/18 10:50 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー199号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.199
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.33 2025 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.33(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX