公開日 2015/09/28 10:30

AKG「N60NC」を海外出張で使ってみた。ノイズキャンセリング効果&音質をチェック!

機内でも滞在先でも活躍

自然なノイズキャンセリング効果。飛行機の中もオーディオ鑑賞のスペースになる

以前に国内で電車に乗ったり、カフェの喧噪の中で本機のノイズキャンセリング機能の効果を試したことはあったが、飛行機で使うのはこれが初めてだ。ワクワクしながら効果のほどを確かめるべく、スイッチをONにしてみると、やはり抜群の消音効果だ。飛行中に絶えず「ゴー」と鳴り続けている低音ノイズが、ノイズキャンセリング機能のスイッチをONにした途端にフッと消える。アクティブ・ノイズキャンセリングヘッドホンにありがちな、機能をONにした途端に、耳の奥にギュッと圧がかかるような感覚はまったくと言っていいほど感じられない。効果のかかりかたがとても自然だ。さらに音楽を再生すると飛行ノイズがほとんど消えて聞こえなくなってしまった。

機内エンターテインメントで映画『インターステラー』を視聴

食事の前後の時間、機内エンターテインメントで映画『インターステラー』を視聴した。ボリュームをむやみに上げる必要がなく、全体の40%ほどの目盛りに絞っても、役者が小声でつぶやく声もしっかりと聴き取れる。効果音の音色も鮮やか。主人公が宇宙空間をスペースシップで移動するシーンは、自分が乗っている飛行機のほどよい揺れ具合と相俟って映画の舞台の世界にどっぷりと没入できた。これならヨーロッパへの長旅もぜんぜん苦にならない!

国際線の飛行機に乗ると、大抵機内サービスとしてヘッドホンが用意されているものだが、筆者が登場したエコノミークラスでは外部ノイズの混入にとても弱いセミオープン型のヘッドホンが配られた。試しにヘッドホンを付け替えてみると、飛行ノイズがだだ漏れで飛び込んできて、役者のセリフが聞こえづらくなるので段々と視聴が苦痛に感じられてくる。

誤解の無いように付け加えておくと、今回搭乗したルフトハンザの機内サービス自体は非常に充実していて文句の付けようがなかった。機体は最新鋭のエアバスA340-600だから、機内エンターテインメントのスクリーンはとても見やすいし、全席でUSB充電ができるから、万一ヘッドホンのバッテリーが切れてしまっても充電ができる。この便利さを差し置いてもなお注文を付けたくなってしまうほど、N60NCで楽しむ機内エンターテインメントの体験が充実していたというわけだ。

意気揚々としたまま、持参したAstell&Kernの「AK Jr」でハイレゾも聴いてみた。ボーカル系の楽曲はボリュームを絞り込んでも声の鮮度や切れ味が失われない。ボリュームを少し上げれば飛行ノイズも全くと言っていいほど消えてしまうので、ハイレゾらしい高域の細かなニュアンスが聴き取れるし、ロックやジャズのベースは低音のエッジがにじんでぼやけることもない。

機内でハイレゾを楽しむ。音源の微細なニュアンスがハッキリわかるほど静かで快適な再生環境をつくれるのはアクティブ・ノイズキャンセリングヘッドホンの大きな強みだ

オーケストラはピアニッシモの演奏までフォーカスが正確に定まっていて、広々とした空間が見渡せる。静かなクラシックギターのソロ演奏では飛行ノイズが全く邪魔しないということはないが、ギターの音に十分集中ができるぐらいの静寂さは確保される。高域の余韻も階調表現が曖昧にならずにきめ細かく広がる。

スマホで聴く音楽はどうだろう。もともとオーディオ専用プレーヤーほどのボリュームが取れないので、普通のヘッドホンとの組み合わせだと、やはり機内では飛行ノイズが気になってエンターテインメント鑑賞も窮屈に感じられてしまう経験は読者の方々にもないだろうか? N60NCをXperia Z2につないで音楽を再生してみたところ、ボリュームはAK Jrほどの余裕は確保できないものの、最大値まで上げなくてもしっかりと音楽を音楽らしく楽しませてくれた。動画コンテンツの再生も快適だ。これでスマホも空の旅で楽しむエンターテインメントプレーヤーとして活用できる手応えが得られた。

機内や街中でスマホとも組み合わせて試聴してみた

N60NCはプレーヤー側にL字型プラグを採用している。プレーヤー機器に接続すると、L字に折れた部分がしっかりとプレーヤー本体に沿うようにつくられているので邪魔に感じられることがなく、ハンドリングが大変スムーズだったことも報告しておきたい。

プラグはL字型で、プレーヤーにつないでも機内エンターテインメントにつないでも、ケーブルがハンドリングしやすい

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