公開日 2026/08/17 15:33

シャープ、「30数年ぶり」のデザイン展を開催。テレビなど家電5製品の試作機や開発過程を展示

「ひとの願いの、半歩先。」を新たに掲げたブランドの価値発信
編集部:原田郁未
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

シャープは、同社製品のデザインとその開発プロセスを紹介する「シャープデザインのまなざし展」を、本日8月17日から東京・GOOD DESIGN Marunouchiで開催している。会期は8月28日(金)まで。入場無料で、予約不要。

会場には、量子ドット/miniLEDテレビ「4T-65X9A」のほか、ドラム式洗濯乾燥機「ES-8XS1」、ドライヤー「IB-WX901」、オーブントースター「AX-WT1」、コードレススティック掃除機「EC-CR1」の5製品を展示。完成品だけでなく、試作品や形状を検討した過程なども並べ、デザイナーが製品のどこに着目し、どのような考えを経て最終形へたどり着いたのかを紹介している。

会場には5製品と解説パネルを展示

テーマは「そのまなざしに、ヒミツあり。」。各展示には、デザイナーが製品を見ていた位置や角度を意識したパネルを設置。来場者自身が同じ位置から製品を見ることで、デザイナーの視点を追体験できる構成としている。

デザイナーの目線を追体験できるパネルを各所に設置した

また、会場には各製品ごとにデザインに携わった同社の担当者が常駐。製品のこだわりについての解説も受けられる。

各製品のこだわりやシャープならではの着眼点を紹介

テレビ「4T-65X9A」の展示では、「映像だけが空間に浮いているような体験」を目指したデザイナーの視線を紹介。画面周囲に大きなスピーカーを露出させると、映像への没入感を重視するデザインとは相反するため、スピーカー周辺のプレートの角度や切り方、奥行き方向の配置などについて、試行錯誤した過程を紹介している。通常の視聴位置からはスピーカーの存在を強く意識させず、それでいて音は前方へ届けられる形状を追求したという。

「4T-65X9A」はスピーカーと側面のデザインについて紹介

また、本体側面のシルバー部分についても、単純に金属感を強調するのではなく、周囲の壁や家具の色を適度に映し込むよう表面処理を調整している。白やクリーム、ダークブラウンなど、異なる色調の室内でも背景になじみやすくしつつ、鏡面のような強い反射は避ける。側面が周囲に溶け込むことで、正面から見た際に画面だけが浮かび上がるような印象を狙った。

スピーカーと側面の試作品も展示した

そのほか、ドラム式洗濯乾燥機「ES-8XS1」では、製品のすぐ前ではなく、3歩ほど離れた位置から見た際の佇まいにも着目した。洗濯機が置かれるランドリースペースには、洗面台や収納など、水平・垂直の直線で構成された設備や家具が多い。そこで、単体として目立たせるのではなく、部屋全体に自然になじむ家具のような外観を目指したという。

「ES-8XS1」はインテリアに馴染むサイズ感と質感を訴求

ドライヤー「IB-WX901」は、モーターをグリップ下部に配置してヘッド部分を短くしたことで生じる新たな課題に対応した。手にした際の感触から吹出口の向きを把握しやすくするため、グリップの断面を完全な円形ではなく、緩やかな四角形とした。

「IB-WX901」など一部製品は実際に手に取ってこだわりを体感できる

オーブントースター「AX-WT1」では、子どもが初めて触れる調理家電となる可能性にも着目。調理中のパンなどを見るための窓を単なる確認用ではなく、人と食べ物をつなぐ部分として捉え、思わず覗き込みたくなる形状を検討した。

「AX-WT1」はデザインの愛嬌と機能性の両立をアピールした

ステーションタイプのコードレススティック掃除機「EC-CR1」は、家具の近くに置いたままでも空間になじみやすい薄型・直線基調のデザインとし、細かな凹凸処理によって日常的な使用で付く傷も目立ちにくくした。

「EC-CR1」は試作品を多数展示。展示スペースの隙間を掃除する体験もできる

会場では、家具の隙間を想定したスペースにも実機を配置し、実際の生活空間に近い見せ方を行っていた。

「ひとの願いの、半歩先。」を掲げるシャープ、本展開催の背景

今回の展示企画の中心となったのは、TVシステム事業本部デザインスタジオの古井翔真氏だ。古井氏によれば、家電の開発では機能性やユーザビリティだけでなく、形に込める文脈や哲学、ストーリー、情緒的価値の検討にも多くの時間を費やしている。しかし、家電ではそうした背景が消費者に伝わる機会が少なく、「伝えないのは損だ」と感じたことが企画のきっかけになったという。

左から、 総合デザインセンター所長の山水 洋氏、 デザインスタジオの古井翔真氏

当初の企画はAQUOSを中心としたものだったが、社内で企画を説明していくうちに、「自分もそこを伝えたかった」と賛同するデザイナーが増加。展示対象が白物家電などにも広がり、最終的に現在の5製品を通してシャープ全体のデザインを見せる内容へ発展したという。

また、総合デザインセンター所長の山水 洋氏によると、シャープが自社のデザインを前面に掲げた展覧会を開催するのは、実に30数年ぶりのことだという。同社は2025年9月、新たなコーポレートスローガンとして「ひとの願いの、半歩先。」を制定。2025年12月にはブランド戦略を担う組織内に総合デザインセンターが入り、デザイン部門も製品の造形だけでなく、ブランド価値の向上により直接的に関与する体制へ移行した。

若手デザイナーから「もっと自分たちのデザインを発信したい」という声が出始めた時期と、会社としてブランド発信を強化するタイミングが重なったことで、全社的な取り組みへと広がったという。2026年6月には「SHARP DESIGN」のウェブサイトもリニューアルし、新たなステートメントとして「志と眼差しで、世界にシャープを届ける。」を掲げており、今回の展示ではこうした取り組みについてもアピールする。

会場では「SHARP DESIGN」の発信強化についてもアピールした

同イベントは、今後のデザイン発信に向けたテストケースとしても位置付けられている。アンケートによるフィードバックを重視し、良かった点だけでなく否定的な意見も含め、今後の製品開発やデザイン、情報発信に反映するという。また、夏休み期間に開催することで、学生やデザイナー志望の若者の来場も見込み、リクルーティングや学習の機会としても効果を期待しているとのこと。

「シャープデザインのまなざし展」開催概要

・開催期間:2026年8月17日(月) - 28日(金)
・開催時間:11時 - 20時
※8月17日のみ12時 - 20時
・会場:GOOD DESIGN Marunouchi
(東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1階)
・入場料:無料
・予約:不要

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 『万能文化猫娘』『アキハバラ電脳組』『NG騎士ラムネ&40』などスターチャイルド関連5作品サントラがサブスク解禁
2 B&W「Nautilus」が値上げ。ペア税込3300万円に
3 BoseがSkullcandyを買収。今後も独立したブランドとして製品開発
4 B&W、60周年を記念したリファレンスSACD/CD『The Reference』。2000枚限定生産
5 TVer、決済機能「TVer ID支払い」を提供開始
6 女子プロゴルフ「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」10/22から4日間の放送/配信予定
7 映画館の音、オープンリールの音。“曇りなき正確な音”を目指す「BWV 2026サウンドツアー」をレポート
8 MIYAVIが語るファーウェイ製イヤホンの魅力。「FreeBuds Neo」など新製品発表会に登壇
9 TASCAM、業務用CDプレーヤー「CD-200MKII/CD-200BTMKII」。オートキューなど再生機能を強化
10 km5、薄型ワイヤレススピーカー「Sp1」とBluetoothミキサー「Mp1」を発表。CDをもっと自由に楽しむ新提案
10/23 10:31 更新
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー 202号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.202
世界のオーディオアクセサリーブランド大全2025
特別増刊
ケーブル大全2026
最新号
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.23 2025冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.23
プレミアムヘッドホンガイド Vol.34 2026 SUMMER
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.34(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2025年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2025年冬版(電子版)
WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • プレミアムヘッドホンガイド
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • AEX
  • AA AWARD
  • analog Grand Prix