公開日 2023/04/11 10:02

ソニー、同社初の開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」。立体音響時代の空間表現を意識

専用開発ドライバー搭載
編集部:小野佳希
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ソニーは、同社初の開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」を5月12日に発売する。オープン価格だが59,000円前後での実売が予想される。

MDR-MV1

MDR-MV1は、立体音響の盛り上がりなどを受けて、そうした環境に対応するべく、立体的な空間表現に優れることを目指したというモニターヘッドホン。上記のとおり、ソニーのモニターヘッドホンとして初めての開放型モデルとなる。

同社では、音楽スタジオエンジニアも自宅などリモート環境での作業が増えてモニターヘッドホンへの需要が高まっていることや、アーティスト自身による配信も増えていることなどが本機開発の背景にあると説明。合わせて、立体音響を採用した楽曲を聴くなど、一般の音楽リスナーにもモニターヘッドホンの需要があることも考慮したという。

個人制作のホームスタジオでの使用も強く意識

本機では、背面開放型音響構造を採用。ヘッドホン内部の反射音を低減することで、信号処理で付与された反射音への影響を抑えて、正確に音場を再現することを狙った。

また、ドライバーユニットの前面と背面をつなぐ開口部を広く設けることで、音響レジスターによる通気のコントロールを最適化。これによって不要な空間共鳴を排除しつつ、色付けの少ない自然で充実した低音域再生が行えるよう配慮したという。

ハウジングのグリル形状にこだわり、アールのついた富士山のような山形形状を採用。金属の一体型にすることで強度を確保し、共振の抑制も図っている。

ハウジング形状にもこだわり、金属の一体成型を採用

本機用に専用開発した、再生周波数帯域5Hz-80kHzという超広帯域再生を実現したドライバーユニットを搭載。背面開放型音響構造に適した振動板形状とコルゲーションを導き出すことで、低音域での再現性を高めるとともに、超高音域再生と高感度再生を実現したとしている。

背面開放型音響構造に適した振動板形状とコルゲーションを導出

また、背面に音響負荷ダクトを直結することで、振動板の動作を最適化。これによって低域の過渡特性を改善し、充分な量感の低音域再生と中音域との分離感の両立を図り、リズムを正確に再現できるようにしたという。これらによって、ヘッドホンでの立体音響制作を高い次元で可能とし、ステレオ音源制作でも求められる空間表現と超広帯域再生を実現したとアピールしている。

背面に音響負荷ダクトを直結

ドライバー径は40mmで、振動板の素材にはPETを使用。「プロ機として10年、20年と長く提供していくことを前提としているので、安定して入手できる素材を選んだ。そのうえで、形状をかなり工夫したし、ドーム形状も何度も試作を重ねて決定した」(同社スタッフ)という。

振動板はPET素材

音圧感度は100dB/mWで、インピーダンスが24Ω、最大入力は1,500mW。低インピーダンスを実現しているため、USB-DACなどを使わずに直接ウォークマンなどの音楽プレーヤーと接続しても駆動できるヘッドホンだとも説明している。

本体質量が約223gという軽量設計も実現。スエード調人工皮革イヤーパッドも採用し、楽曲制作などでの長時間作業時にも快適に使えるよう装着感にも配慮している。

MDR-CD900ST(左)との比較。イヤーパッドがかなり厚くなっている

イヤーパッドは「具体的なメーカー名は言えないが、高級車などにも採用されているようなメーカーのもの。かなり上質な素材を使っている」とのこと。なお、交換可能なように別売サービスパーツとしても用意している。

ケーブルは着脱式で、先行展開中の密閉型モニターヘッドホン「MDR-M1ST」同様に、ヘッドホン本体とはネジ式のロックリングによる固定構造を採用。音楽プレーヤーなどとの接続端子は6.3mmだが、3.5mm端子への変換アダプターも付属する。

付属のプラグアダプターを使用すればウォークマンやスマートフォンなどとも接続して音楽再生が可能

そのほか、ヘッドバンド部には青地をバックに「Professional」と記載したシールを貼付。ヘッドホンファンの間では“青帯”などとも呼ばれる定番モニターヘッドホン「MDR-7506」をオマージュしたデザインにしている。

「Professional」と記したシールを貼付

なお、「MDR-M1ST」や「MDR-CD900ST」といった先行するモニターヘッドホンはソニー・ミュージックソリューションズが販売元となっているが、今回の「MDR-MV1」はソニーマーケティングが販売を担当。ミュージシャンや音楽エンジニア向けとしてだけでなく、一般ユーザー向けに家電量販店などでも販売を行い、1年間の無償修理メーカー保証もつく。

同社では、音楽制作環境がアナログからデジタルに切り替わるタイミングでMDR-CD900ST、ハイレゾが台頭してきたタイミングでMDR-M1STといったように、音楽制作現場の進化にあわせ30年以上にわたってモニターヘッドホンを提供してきたと説明。今回、立体音響という音源の進化に対応するためにMDR-MV1を開発したとする。

また、例えばソニーの立体音響技術「360 Reality Audio」を本格的に制作しようとすると、スタジオで13個のスピーカーを配置する必要がある点にも言及。この環境を個人で用意することは難しいため、立体音響に適したモニターヘッドホンが必要なのだと説明し、「これはヘッドホンじゃない、スタジオだ」とアピールしている。

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