公開日 2020/03/09 11:11
ホームシアターの老舗ブランド「OS SCREEN」完全復活。その狙いと今後の展開を奥村社長に聞く
ホームシアター文化を継承し、ものづくりの未来を拓く施策を連打
「OS SCREEN」ブランドが復活する。今こそ“情報の窓としての映像”との違いを明確化し、画質を追求するこだわりやオーエスの“顔”として存在感を訴えるターニングポイントにあると判断した同社。さらに、「オーエスプラスe特約店制度」やプロジェクター&スクリーンをレンタルする新サービス「eレンタルプラス」、「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」など、わが国のホームシアター文化を継承し、ものづくりの未来を拓くための施策を連打する。同社代表取締役・奥村正之氏に話を聞く。

株式会社オーエスプラスe
代表取締役
奥村正之氏 Masayuki Okumura
プロフィール/大阪府出身。1989年9月(株)オーエス入社、1990年12月(株)オーエス 代表取締役に就任。2000年10月(株)ホームシアター(現(株)オーエスプラスe)代表取締役に就任、現在に至る。座右の銘は「乾坤一擲」。趣味は読書。
■「OS SCREEN」ブランド復活の狙いとは
―― このほど、「OS SCREEN」ブランドが復活となりました。民生用スクリーンを手掛ける株式会社オーエスプラスe(旧株式会社ホームシアター)を2000年に設立した当初より展開されていたブランドですが、事業領域拡大を背景に、2011年からブランドを「OS」に統一されています。今、このタイミングでの「OS SCREEN」ブランド復活の背景についてお聞かせください。
奥村 われわれは元々が映画館用のスクリーンの製造販売から始まった会社です。本来は映像を楽しんでいただくことをベースにしたビジネスでしたが、特にプロユースにおいては最近、映像が情報を共有するためのツールとして位置づけられ、エンターテインメントからコミュニケーションへと方向性が大きく変化してきています。
多様なコミュニケーションツールを提供することから、1988年に社名をOSスクリーン株式会社から株式会社オーエスへと変更し、それまで「OS SCREEN」ブランドで展開していた商品も随時、「OS」ブランドへと変えていきました。当時はそれでもよかったのです。しかし、いつしか「オーエスさんって何をやられている会社なのですか」と言われるようになってしまいました。
メーカーには“コア”が必要です。われわれの際立つ特長と言えば当然、六十数年来手掛けているスクリーンに他なりません。業界でも一番のノウハウがあると自負しています。しかし、時間が流れ、お客様も世代が変わり、オーエスのことをお付き合いいただいている商品カテゴリーのメーカーとしてしか認識されていないお客様が増えています。いつのまにかコアが消失してしまったのです。
「OS SCREEN」ブランドの復活は、そのコアを示すための原点回帰です。そのためには、老舗のスクリーンメーカーが長年にわたってノウハウや技術を積み重ねてきたからこそできる製品をきちんと認識していただかなければなりません。スクリーンとはどういうものなのか。その性能や特性も同時にお伝えしていきます。その時に、「オーエスはOS SCREENからスタートしたんだな」と、スクリーンに対するわれわれの長年にわたる取り組みを皆さんにしっかり理解いただける、今考え得る最良のものをお届けできる冠ブランドとして、「OS SCREEN」ブランドの復活が不可欠であると判断したわけです。
コミュニケーションツールにおける映像は、情報が認識できればよい。エンターテインメントとしてよりよい画質を追求していくスクリーンとは同じではありません。今、そこを明確に差別化し、訴えていかなければならないのです。「さすがは映画館のスクリーンからスタートして65年以上にわたり画質を追求し続けてきたスクリーンはものが違う!」と唸らせるような展開をもう一度、国内外で行っていきたい。「オーエスってなにやっている会社?」ではなく、「オーエス、あっ、スクリーンの会社だね」と皆さんに分かってもらえるようにする。そうした冠にしていく想いを込めた「OS SCREEN」ブランド復活となります。
開催の迫る東京オリンピックもひとつの契機と言えます。4K8Kがますます身近な存在となり、解像度が上がることでスクリーンの大画面にも耐え得る画質になります。5Gの商用サービスが日本国内でもまもなくスタートを切り、スクリーンの大画面を皆さんで共有していただくのに相応しい時代が訪れる絶好のタイミングと捉えています。
―― 「OS SCREEN」の哲学についてお聞かせいただけますか。
奥村 スクリーンは、昔なら映写機、今ならプロジェクターに対する受け身の製品ですが、テレビで言えば画面に相当するわけですから、重要な役割を担うことは言うまでもありません。スクリーンの幕面開発や機能性にも優れていることはもちろん、肝心なのは、時代の変遷で移り変わるニーズに常に応えられる製品であること。例えば素材には、映写機の時代には明るい素材が求められましたし、映画館の時代になれば映画館用のスクリーン、ホームシアターでは階調に優れたもの、業務用ではそれぞれの用途に適したスクリーンが必要となります。
また、大切なのがマッチングです。組み合わせる映写機やプロジェクターの性能をどうすれば最大限に発揮させることができるのか。独りよがりな製品づくりでは真価は発揮できないのです。どうしたらお客様にお選びいただける製品になるのか。時代やお客様の要望にあわせた商品づくりを行っていくという考え方を、われわれはコーポレートスローガン、お客様の「キモチをカタチに」してお届けする、として掲げています。
■“体感の場”提供へ鍵を握るパートナー
―― 「OS SCREEN」ブランドの復活により、「OS」ブランドとはどのように差別化されていくのでしょうか。
奥村 情報を認識、共有するためのスクリーンを「OS」ブランド、画像・画質・解像度を重視し、より鮮明に、よりキレイに、より階調を出せるスクリーンを「OS SCREEN」ブランドとして差別化し、後者に付いては基準を設けていく予定です。
現行ラインナップでは、「ピュアマットシリーズ」と「レイロドール」がオーエススクリーンブランドとなり、従って、OSブランドのピュアマットシリーズとレイロドールは廃番となります。さらに「OS SCREEN」ブランドの立ち上げに際し、フラグシップの「STP」と「SEP」にサイレントの機能を加え、「TP」と「EP」にそれぞれマイナーチェンジを図ります。次の段階ではフルモデルチェンジを計画しており、さらに、OS SCREENブランドには開発中の新製品が新たに加わり、ラインナップを拡充する予定です。
―― 画質や解像度を追求したスクリーンの魅力や実力を伝えていく取り組みがこれまで以上に重要になってきますね。
奥村 スクリーンは説明製品ですから、ネットで値段を確認してクリックして購入というわけにはいきません。お客様それぞれに嗜好も異なり、実際にご覧いただく環境をまず用意すること。そこでご満足いただける製品がどれなのか、きちんと体感、納得していただくことが重要になります。しかし、それはわれわれメーカーの力だけではどうにもなりませんから、パートナーとなる全国のオーエスプラスe特約店様と協力して、視聴していただける環境づくりの提供を進めています。
すべての製品を特約店様にお願いするわけにはいきませんので、ショールームには代表的なモデルや地域での要望の高い製品を中心に展示いただき、お客様が違う製品を要望された場合には、我々から無償でお貸し出しするサポート体制を整え、お客様の視聴機会を逃すことがないようにバックアップしています。「OS SCREEN」ブランドの製品は特約店限定でのお取り扱いとなります。
―― 現在、全国に25店あるオーエスプラスe特約店にはどのような条件があるのでしょうか。また、今後拡大されていく予定はおありですか。
奥村 われわれの考え方をご理解いただき、製品をお客様にご説明する体制を敷いていただけること。ショールームには製品をひとつ以上展示していただくことを条件としてお願いしています。メーカーとしては必要十分なサポートを行っていきます。地域に根付いたご販売店ばかりで、自ずと商圏も限られてきます。オーエススクリーンの商品を体験するために、お客様があまりに遠方まで足を運ばなければならない状況は避けていきたいので、エリアがかぶらないように極力配慮しながら、先の条件に適したご販売店を特約店として今後拡大していければと考えています。
―― 特約店はオーエススクリーンのメッセージ発信拠点であり、また、最大の理解者となるわけですね。
奥村 信頼を寄せていることは無論、お互いがリスクをとり将来の成長へ向け挑んでいく関係と認識しています。オーエスプラスe特約店制度をスタートした際には、オプトマのプロジェクター「UHD65」とフラグシップのスクリーン「レイロドール」をご購入いただき、ショールームで視聴できるようにご展開いただくことをお願いいたしました。すべてをメーカー任せにするのではなく、一緒に試行錯誤しながら次のビジネスを切り開いていくお気持ちを持っていいただけるお店とパートナー関係を構築したかったからです。
いま、特約店様で何か課題を抱えているのであれば、それを一緒になって解消していくのもわれわれメーカーの仕事。メーカーでなければできないこと、特約店でなければできないことともありますから、前者に対してはとことんサポートしていきます。やる気はあるのだけれど、やりたくてもできないこともある。そこをどこまでお手伝いできるかも大切なポイントと考えています。
―― ホームシアターを取り巻くビジネス環境は決して楽観視できる状況とは言えません。
奥村 市場が縮小することは避けられません。しかし、未だ価格競争が下げ止まらない厳しい市場環境の中で共倒れしてしまわないためにも、業務用のスクリーンを見て「これがオーエス? 一体この画質のどこがいいの?」と誤解されては困ります。「OS SCREEN」ブランドをフラグシップとして完全復活することにより、各プロジェクターメーカーでもリファレンスに利用されている選りすぐりの製品であることをより明確に訴え、「それを作っているのがわれわれオーエスです」と存在感をアピールすることができます。

株式会社オーエスプラスe
代表取締役
奥村正之氏 Masayuki Okumura
プロフィール/大阪府出身。1989年9月(株)オーエス入社、1990年12月(株)オーエス 代表取締役に就任。2000年10月(株)ホームシアター(現(株)オーエスプラスe)代表取締役に就任、現在に至る。座右の銘は「乾坤一擲」。趣味は読書。
■「OS SCREEN」ブランド復活の狙いとは
―― このほど、「OS SCREEN」ブランドが復活となりました。民生用スクリーンを手掛ける株式会社オーエスプラスe(旧株式会社ホームシアター)を2000年に設立した当初より展開されていたブランドですが、事業領域拡大を背景に、2011年からブランドを「OS」に統一されています。今、このタイミングでの「OS SCREEN」ブランド復活の背景についてお聞かせください。
奥村 われわれは元々が映画館用のスクリーンの製造販売から始まった会社です。本来は映像を楽しんでいただくことをベースにしたビジネスでしたが、特にプロユースにおいては最近、映像が情報を共有するためのツールとして位置づけられ、エンターテインメントからコミュニケーションへと方向性が大きく変化してきています。
多様なコミュニケーションツールを提供することから、1988年に社名をOSスクリーン株式会社から株式会社オーエスへと変更し、それまで「OS SCREEN」ブランドで展開していた商品も随時、「OS」ブランドへと変えていきました。当時はそれでもよかったのです。しかし、いつしか「オーエスさんって何をやられている会社なのですか」と言われるようになってしまいました。
メーカーには“コア”が必要です。われわれの際立つ特長と言えば当然、六十数年来手掛けているスクリーンに他なりません。業界でも一番のノウハウがあると自負しています。しかし、時間が流れ、お客様も世代が変わり、オーエスのことをお付き合いいただいている商品カテゴリーのメーカーとしてしか認識されていないお客様が増えています。いつのまにかコアが消失してしまったのです。
「OS SCREEN」ブランドの復活は、そのコアを示すための原点回帰です。そのためには、老舗のスクリーンメーカーが長年にわたってノウハウや技術を積み重ねてきたからこそできる製品をきちんと認識していただかなければなりません。スクリーンとはどういうものなのか。その性能や特性も同時にお伝えしていきます。その時に、「オーエスはOS SCREENからスタートしたんだな」と、スクリーンに対するわれわれの長年にわたる取り組みを皆さんにしっかり理解いただける、今考え得る最良のものをお届けできる冠ブランドとして、「OS SCREEN」ブランドの復活が不可欠であると判断したわけです。
コミュニケーションツールにおける映像は、情報が認識できればよい。エンターテインメントとしてよりよい画質を追求していくスクリーンとは同じではありません。今、そこを明確に差別化し、訴えていかなければならないのです。「さすがは映画館のスクリーンからスタートして65年以上にわたり画質を追求し続けてきたスクリーンはものが違う!」と唸らせるような展開をもう一度、国内外で行っていきたい。「オーエスってなにやっている会社?」ではなく、「オーエス、あっ、スクリーンの会社だね」と皆さんに分かってもらえるようにする。そうした冠にしていく想いを込めた「OS SCREEN」ブランド復活となります。
開催の迫る東京オリンピックもひとつの契機と言えます。4K8Kがますます身近な存在となり、解像度が上がることでスクリーンの大画面にも耐え得る画質になります。5Gの商用サービスが日本国内でもまもなくスタートを切り、スクリーンの大画面を皆さんで共有していただくのに相応しい時代が訪れる絶好のタイミングと捉えています。
―― 「OS SCREEN」の哲学についてお聞かせいただけますか。
奥村 スクリーンは、昔なら映写機、今ならプロジェクターに対する受け身の製品ですが、テレビで言えば画面に相当するわけですから、重要な役割を担うことは言うまでもありません。スクリーンの幕面開発や機能性にも優れていることはもちろん、肝心なのは、時代の変遷で移り変わるニーズに常に応えられる製品であること。例えば素材には、映写機の時代には明るい素材が求められましたし、映画館の時代になれば映画館用のスクリーン、ホームシアターでは階調に優れたもの、業務用ではそれぞれの用途に適したスクリーンが必要となります。
また、大切なのがマッチングです。組み合わせる映写機やプロジェクターの性能をどうすれば最大限に発揮させることができるのか。独りよがりな製品づくりでは真価は発揮できないのです。どうしたらお客様にお選びいただける製品になるのか。時代やお客様の要望にあわせた商品づくりを行っていくという考え方を、われわれはコーポレートスローガン、お客様の「キモチをカタチに」してお届けする、として掲げています。
■“体感の場”提供へ鍵を握るパートナー
―― 「OS SCREEN」ブランドの復活により、「OS」ブランドとはどのように差別化されていくのでしょうか。
奥村 情報を認識、共有するためのスクリーンを「OS」ブランド、画像・画質・解像度を重視し、より鮮明に、よりキレイに、より階調を出せるスクリーンを「OS SCREEN」ブランドとして差別化し、後者に付いては基準を設けていく予定です。
現行ラインナップでは、「ピュアマットシリーズ」と「レイロドール」がオーエススクリーンブランドとなり、従って、OSブランドのピュアマットシリーズとレイロドールは廃番となります。さらに「OS SCREEN」ブランドの立ち上げに際し、フラグシップの「STP」と「SEP」にサイレントの機能を加え、「TP」と「EP」にそれぞれマイナーチェンジを図ります。次の段階ではフルモデルチェンジを計画しており、さらに、OS SCREENブランドには開発中の新製品が新たに加わり、ラインナップを拡充する予定です。
―― 画質や解像度を追求したスクリーンの魅力や実力を伝えていく取り組みがこれまで以上に重要になってきますね。
奥村 スクリーンは説明製品ですから、ネットで値段を確認してクリックして購入というわけにはいきません。お客様それぞれに嗜好も異なり、実際にご覧いただく環境をまず用意すること。そこでご満足いただける製品がどれなのか、きちんと体感、納得していただくことが重要になります。しかし、それはわれわれメーカーの力だけではどうにもなりませんから、パートナーとなる全国のオーエスプラスe特約店様と協力して、視聴していただける環境づくりの提供を進めています。
すべての製品を特約店様にお願いするわけにはいきませんので、ショールームには代表的なモデルや地域での要望の高い製品を中心に展示いただき、お客様が違う製品を要望された場合には、我々から無償でお貸し出しするサポート体制を整え、お客様の視聴機会を逃すことがないようにバックアップしています。「OS SCREEN」ブランドの製品は特約店限定でのお取り扱いとなります。
―― 現在、全国に25店あるオーエスプラスe特約店にはどのような条件があるのでしょうか。また、今後拡大されていく予定はおありですか。
奥村 われわれの考え方をご理解いただき、製品をお客様にご説明する体制を敷いていただけること。ショールームには製品をひとつ以上展示していただくことを条件としてお願いしています。メーカーとしては必要十分なサポートを行っていきます。地域に根付いたご販売店ばかりで、自ずと商圏も限られてきます。オーエススクリーンの商品を体験するために、お客様があまりに遠方まで足を運ばなければならない状況は避けていきたいので、エリアがかぶらないように極力配慮しながら、先の条件に適したご販売店を特約店として今後拡大していければと考えています。
―― 特約店はオーエススクリーンのメッセージ発信拠点であり、また、最大の理解者となるわけですね。
奥村 信頼を寄せていることは無論、お互いがリスクをとり将来の成長へ向け挑んでいく関係と認識しています。オーエスプラスe特約店制度をスタートした際には、オプトマのプロジェクター「UHD65」とフラグシップのスクリーン「レイロドール」をご購入いただき、ショールームで視聴できるようにご展開いただくことをお願いいたしました。すべてをメーカー任せにするのではなく、一緒に試行錯誤しながら次のビジネスを切り開いていくお気持ちを持っていいただけるお店とパートナー関係を構築したかったからです。
いま、特約店様で何か課題を抱えているのであれば、それを一緒になって解消していくのもわれわれメーカーの仕事。メーカーでなければできないこと、特約店でなければできないことともありますから、前者に対してはとことんサポートしていきます。やる気はあるのだけれど、やりたくてもできないこともある。そこをどこまでお手伝いできるかも大切なポイントと考えています。
―― ホームシアターを取り巻くビジネス環境は決して楽観視できる状況とは言えません。
奥村 市場が縮小することは避けられません。しかし、未だ価格競争が下げ止まらない厳しい市場環境の中で共倒れしてしまわないためにも、業務用のスクリーンを見て「これがオーエス? 一体この画質のどこがいいの?」と誤解されては困ります。「OS SCREEN」ブランドをフラグシップとして完全復活することにより、各プロジェクターメーカーでもリファレンスに利用されている選りすぐりの製品であることをより明確に訴え、「それを作っているのがわれわれオーエスです」と存在感をアピールすることができます。
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