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インタビュー

ホームシアター文化を継承し、ものづくりの未来を拓く施策を連打

ホームシアターの老舗ブランド「OS SCREEN」完全復活。その狙いと今後の展開を奥村社長に聞く

PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純

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2020年03月09日


■プロジェクター&スクリーンのレンタルで活路を切り開く

―― プロジェクター&スクリーンのレンタルサービスを新たに展開されますね。

奥村 ホームシアターの世界に、スクリーンという大画面の映像の世界を持ち込んだのがわれわれオーエスです。今、ホームシアター市場に元気がないと言うのであれば、業態を変えていくのも仕事のひとつ。そこで、新サービスとしてローンチするのが、プロジェクターのレンタルサービスです。


オーエスプラスeが運営するWEBポータルサービス「aunno.onl」(アウンノオンライン)で、3月中旬より「eレンタルプラス」としてサービスを開始する予定です。「“モノとヒトをつなぐ”必要な時に」をコンセプトにしたAV機器のレンタルサービスで、まずはプロジェクターとスクリーンからスタートします。結婚式や二次会のイベント、ビジネスでの商談や展示会などの需要が想定されますが、一番の狙いは、週末にゆっくりと映画やスポーツ、ゲームを楽しみたいという“週末需要”です。

仕組みは、WEB上で申し込みをいただくと、専用箱に入れてプロジェクターとスクリーンを配送でお届けします。レンタル終了後は、お客様が専用箱に梱包して返却していただきます。ここで、スクリーンを配送すると聞いて、大きいから大変だと思われるかもしれませんが、そこが今回のポイントのひとつ。秘密兵器フレキシブルスクリーン「フレピタ」です。使用する時には最大120インチまで大きくなりますが、持ち運び時には丸めてコンパクトに収納できますから、専用箱の中に納めることができます。プロジェクターとスクリーンのレンタルが受け入れられれば、今後、レンタルする対象商品の幅もさらに広がっていくと考えています。

新サービス「eレンタルプラス」の機動力をぐんと引き上げるフレキシブルスクリーン「フレピタ」

本格運用への手応えを得られれば、次の段階として、オーエスプラスe特約店店頭で対面にてレンタルしていくスキームを検討しています。レンタルサービスの最大のリスクは盗難です。しかし、店頭に顔を出して、免許証のコピーをいただくなどすれば、盗難の心配を限りなく解消することができます。また、プロジェクターとスクリーンをレンタルして使用してみて、「これ欲しいな、買いたいな」というニーズは必ずあるはずです。ホームシアターの潜在需要を喚起する仕組みづくりにもなりますし、集客にも貢献することができます。ご賛同いただいたところから順次、取り入れていければいいですね。

■日本のものづくりの未来を託す「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」

―― さらに、次のアイデアが進行中とお聞きしています。

奥村 オーエスグループでは、楽しみながら「ものづくり」の基礎を身につけることができる「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」をオーエス東京ビル(足立区綾瀬)で開講しています。小学生2年生から6年生を対象にしたプログラムで、回路などの電子回路工作、それを意図どおりに働かせるためのプログラミング、そして、“動き”を実現する機械工作の3つを統合した複合的な体験から、実社会にあわせた形でロボット製作を学んでいきます。

現在、業界でものづくりに携わる方の多くが高齢です。継承すべき次の世代は、完成されたものを与えられ、壊れたら捨てて買い替えればいい、そういう環境の中で育てられたため、ものの仕組みや原理を理解する能力が低く、ただ使えればいいと考えている。だからこそ、ものづくりをこの国から絶やさないために、次代を担うスーパーキッズにもっとものづくりに対して興味をもってもらいたいと立ち上げたのが「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」です。キッズ世代の育成をしっかりしていかなければ、この国のものづくりに未来がなくなってしまうでしょう。

行く行くは、ものづくりを覚えるための共通言語は英語ですから、英語で行っていければと考えています。英語ができないエンジニアは世界のマーケットに入っていくことができないからです。小学生も英語教育が大きく変わっていくタイミングにもあります。

会場としては今後、全国にあるオーエスプラスeの特約店と相談させていただきたいと考えています。多少なりともものづくりの知識を持った方もおられます。ご高齢のオーディオファンのおじいちゃんが、お孫さんを連れてきて、工作教室を体験してもらうこともできます。特約店様の中にもすでに手を挙げているところがあり、われわれの準備が整い次第、フランチャイズ展開も進めていく予定です。

ご賛同いただける特約店様では、「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」を開講していただくことで、子どもたちとともに地域の方がお店に集まってきます。そこからホームシアターに関心をお持ちになる方も出てくると思います。ご購入に結びついたり、さきほどのレンタルのスキームにつながったり、特約店様のご商売に少しでもお役立ちできる、ひいては地域の活性化にも貢献できるシナリオを実践していきたい。

「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」。現在は同社東京ビル(足立区綾瀬)で開講する

―― 「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」は大変ご好評のようですね。

奥村 現在はオーエス東京ビル(綾瀬本校)の5階で開催していますが、1階に専用教室を設ける計画で、週1回だった開講日時も現在は週2回、さらに3回へと増やす予定です。

カリキュラムを作成されている人の平均年齢は67歳です。先ほども申し上げたように、これが日本のものづくりの実態です。教える人も育てていかなければなりませんし、また、こうした高齢の人たちに対しても、例えば、KUMONのように自宅の空いた部屋を教室としてご提供いただき、開催するスキームも構想しています。こずかい稼ぎや認知症予防にもなる。そして、子どもたちと接し、コミュニティができることで、自分の存在感を示す場ができ、高齢化時代に健康で長生きする高齢者を増やすことにもつながっていくのではないかと思います。

また、「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」を世界展開していく構想も持っています。その時に、例えば、先進国での月謝でイニシャルコストを賄ってしまえば、アフリカなど新興国では、その国に合った月謝で開催することができます。先進国の利益を新興国へ移転していくことで、教育を受ける機会が増え、争いごとが減り、世界平和にもつながっていくのではないでしょうか。

―― 「特約店制度」スタートから、「OS SCREEN」ブランドの復活、そして、「eレンタルプラス」「ものづくりDr.KidsKeyアカデミー」へ、CSRの取り組みにもつながる一連のスキームが連打されていくわけですね。

奥村 小さな会社です。だからこそ、場合によっては大企業ではできないことができる。その精神を常に忘れることなく、ものづくり、仕組みづくり、お客様に喜んでいただけるビジネスモデルづくりに取り組んでいきたい。その象徴的なもののひとつが、今回の「OS SCREEN」ブランドの復活です。

われわれが、スピードアップする時代の流れや趣味嗜好が多様化していくお客様と向き合い、どのような製品や仕組みを提案していくことができるかが重要になります。競合他社や同業者が何をするかは関係ない。なぜなら、答えは「マーケットとお客様」にしかないのですから。うちが仕掛けてお客様を集め、そこで他社の商品が売れたとしても構いません。お店が儲かればいいのです。縮小するパイでシェア争いをしていても全く意味がありません。大事なのはまず、パイそのものをもっと広げること、新しいカテゴリーを創造していくことです。誰かがやらなければ何も変わりません。

われわれ1社で何を、どこまでできるかはわかりませんが、何か投げ掛けていかないと始まらない。われわれのような中小企業であっても業界のお役に立てる、そうした思いが今回のOS SCREENブランドの復活の背景にあります。そして、日本のものづくりを将来にわたり途絶えさせないためにも、大切なのは人財の育成です。考える力を持った子どもたちを育てていく、そのベースづくりにもさらに力を入れて取り組んで参ります。

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