公開日 2016/09/01 11:47
時代を作った「和フュージョン」の名盤群が新リマスターで蘇る! 録音現場の音を再現した立役者とは?
各タイトルの音質もレビュー
フュージョンムーブメントをレコード制作の立場から担った存在のビクターエンタテインメント。そんなビクターが擁する5つのレーベルを通じて、1977年から1985年までの間に送り出した日本のフュージョンを代表する名盤40選が今夏、ビクターエンターテインメントから「和フュージョン」シリーズとして三期に分けて発売される。本記事では、評論家・大橋伸太郎による「和フュージョン」制作陣へのインタビューの様子に加え、第一期として発売された13タイトルを紹介する。

■「和フュージョン」全40作発売の背景
ピアノの上原ひろみ、山中千尋、ヴァイオリンの寺井尚子、パーカッション石若駿。皆、国境を越えて活躍する世界の音楽家だ。「世界第二の音楽市場」は過去の話、世界一流の音楽家を輩出するインターナショナルな音楽大国がいまの日本だ。いつに始まったのだろう? そのきっかけになったのが1970年代終わりから1980年代始めだ。
当時の日本いや世界を「クロスオーバー」、今でいうフュージョンブームが覆った。アメリカの場合、ジャズ分野からの「越境」が中心。フォービートとアコースティックに限界を感じたチック・コリアやハービー・ハンコック、ウェザー・リポートがその代表だ。
つまり「梁山泊」マイルス・デイヴィス・グループがその原点となるが、日本の場合は少し違う。ジャズからやって来たミュージシャンも少なくないが、ロックをプレイしていた主にギタリスト達がブルース基調から抜け出て自由で幅広い表現を求めてクロスオーバーしてきた。高中正義、森園勝敏、野呂一生(カシオペア)らが代表だ。
彼らはより高く、より自由な表現のために海外ミュージシャンとの他流試合にも海外録音にも躊躇しなかった。YMOの海外進出もこの時代だ。当然、欧米でもレコード発売され公平な厳しい基準で批評される。日本の音楽がインターナショナルになったのだ。
それ以前にも単身渡米した秋吉敏子(pf)やソニー・ロリンズ・グループに抜擢された増尾好秋(g)ら国際的に活躍するミュージシャンはいた。しかし、「点」でしかなかった。この時見えない壁が取り払われ「面」、いや「波」になり日本の音楽家の「大航海時代」が始まった。敗戦後にアメリカのジャズがどっと日本になだれこんだのが「ファーストインパクト」とすれば、フュージョンは「セカンドインパクト」だったのだ!
「聴く側」つまり音楽ファンの事情もあった。1970年代はロックの時代だったが、’70年代中頃を過ぎ大きな変化が生じた。日本で人気の高かった英プログレッシブロックが音楽的に行き詰まり、ビッグネームのバンドが次々に解散あるいは活動停止。「英国病」経済を背景に怒れる若者達の「階級のロック」、パンクが一大ムーブメントになった。
日本のロックファンは戸惑い途方に暮れた。日本のファンを魅了した英ロックの音楽美とロマンはいずこへ。大西洋の向こう北米でもAORと産業ロックが台頭、米ロックの土の匂いと骨っぽさは何処へ。そう、聴く物がなくなってしまったのだ!
そうした状況下、ロックファンがいま一つ馴染めなかったジャズのフォービート、アコースティック基調を脱したクロスオーバー(フュージョン)が目の前に現れた。楽曲の構成美、使用楽器の数から生まれる音色と和声の豊かさはポストプログレの魅力十分。何よりロックの中心楽器ギターがクロスオーバー(フュージョン)の主役と、クロスオーバーは約束の地だったわけだ。演奏する側のマインドと聴く側のデマンドが一致し一大ムーブメントが起きたのだ。
続いて何が起きたか。それが実は本記事で一番重要かもしれない。そう、オーディオブームだ。1970年代初期はアナログ8トラック録音が中心だが、中盤から16トラック、1980年代を目前に24トラック録音が主流化する。
フュージョンの場合、使用楽器数が多く多重録音が主流。どのレーベル、スタジオもミキシング後の音質の改善に心血を注いだ。いきおい技術が研ぎ澄まされ、アナログ録音レコードの音質上のピークが来る。
一方日本ならではの社会事情があった。GDP世界第二位になり、変動為替経済下円高時代が到来。アンプやプレーヤーはすでに日本製が強かったが、1$=360円→120円にまで低下、高値の花だった海外高級オーディオの価格破壊が起きたのだ。

■「和フュージョン」全40作発売の背景
ピアノの上原ひろみ、山中千尋、ヴァイオリンの寺井尚子、パーカッション石若駿。皆、国境を越えて活躍する世界の音楽家だ。「世界第二の音楽市場」は過去の話、世界一流の音楽家を輩出するインターナショナルな音楽大国がいまの日本だ。いつに始まったのだろう? そのきっかけになったのが1970年代終わりから1980年代始めだ。
当時の日本いや世界を「クロスオーバー」、今でいうフュージョンブームが覆った。アメリカの場合、ジャズ分野からの「越境」が中心。フォービートとアコースティックに限界を感じたチック・コリアやハービー・ハンコック、ウェザー・リポートがその代表だ。
つまり「梁山泊」マイルス・デイヴィス・グループがその原点となるが、日本の場合は少し違う。ジャズからやって来たミュージシャンも少なくないが、ロックをプレイしていた主にギタリスト達がブルース基調から抜け出て自由で幅広い表現を求めてクロスオーバーしてきた。高中正義、森園勝敏、野呂一生(カシオペア)らが代表だ。
彼らはより高く、より自由な表現のために海外ミュージシャンとの他流試合にも海外録音にも躊躇しなかった。YMOの海外進出もこの時代だ。当然、欧米でもレコード発売され公平な厳しい基準で批評される。日本の音楽がインターナショナルになったのだ。
それ以前にも単身渡米した秋吉敏子(pf)やソニー・ロリンズ・グループに抜擢された増尾好秋(g)ら国際的に活躍するミュージシャンはいた。しかし、「点」でしかなかった。この時見えない壁が取り払われ「面」、いや「波」になり日本の音楽家の「大航海時代」が始まった。敗戦後にアメリカのジャズがどっと日本になだれこんだのが「ファーストインパクト」とすれば、フュージョンは「セカンドインパクト」だったのだ!
「聴く側」つまり音楽ファンの事情もあった。1970年代はロックの時代だったが、’70年代中頃を過ぎ大きな変化が生じた。日本で人気の高かった英プログレッシブロックが音楽的に行き詰まり、ビッグネームのバンドが次々に解散あるいは活動停止。「英国病」経済を背景に怒れる若者達の「階級のロック」、パンクが一大ムーブメントになった。
日本のロックファンは戸惑い途方に暮れた。日本のファンを魅了した英ロックの音楽美とロマンはいずこへ。大西洋の向こう北米でもAORと産業ロックが台頭、米ロックの土の匂いと骨っぽさは何処へ。そう、聴く物がなくなってしまったのだ!
そうした状況下、ロックファンがいま一つ馴染めなかったジャズのフォービート、アコースティック基調を脱したクロスオーバー(フュージョン)が目の前に現れた。楽曲の構成美、使用楽器の数から生まれる音色と和声の豊かさはポストプログレの魅力十分。何よりロックの中心楽器ギターがクロスオーバー(フュージョン)の主役と、クロスオーバーは約束の地だったわけだ。演奏する側のマインドと聴く側のデマンドが一致し一大ムーブメントが起きたのだ。
続いて何が起きたか。それが実は本記事で一番重要かもしれない。そう、オーディオブームだ。1970年代初期はアナログ8トラック録音が中心だが、中盤から16トラック、1980年代を目前に24トラック録音が主流化する。
フュージョンの場合、使用楽器数が多く多重録音が主流。どのレーベル、スタジオもミキシング後の音質の改善に心血を注いだ。いきおい技術が研ぎ澄まされ、アナログ録音レコードの音質上のピークが来る。
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