東芝ライフスタイルは、同社のAUREX(オーレックス)ブランドより、CD/FMワイヤレススピーカーシステム「AX-XSS100」を8月29日に発売する。価格は49,500円(税込)。
AUREX CD/FMワイヤレススピーカーシステム「AX-XSS100」
AUREXは1990年ごろまで東芝のピュアオーディオブランドとして展開していたが、現在は中国の家電ブランド・美的(マイディア)の傘下にある東芝ライフスタイル社の一事業として、生活家電に関わるオーディオシステムを提供している。CDラジカセやポータブルCDプレーヤー、近年では年配者向けのテレビ用スピーカーなども手掛けている。
今回は発表されたのは、ブラックカラーの本格筐体を持つ、一体型コンポ。スピーカーまで一体となっており、CD再生やFMラジオに対応するほか、スマートフォン等からのBluetooth再生やUSBメモリー再生などにも対応する。
CD、Bluetooth再生のほか、USBメモリーによるハイレゾ音源にも対応する
中央に、楽曲名の表示や入力切り替えができる操作ディスプレイと、ボリューム調整などに利用できるジョグダイヤル、CDドライブを搭載。左右にスピーカーが配置されており、20mmチタンドーム・トゥイーターと64mmカーボンコーン・ウーファーによる2ウェイ構成となる
開発に携わった須永氏は開発のコンセプトについて、「音楽とユーザーを結ぶ良きインターフェースとなること」と語っており、オールインワンの筐体に、現代のライフスタイルに合わせた多様な再生機能を搭載しながら、「良い音のためのエッセンスを盛り込みました」と力を込める。
製品開発の背景を語る東芝ライフスタイルの須永氏
「良い音」を実現するための今作独自の大きな特徴として、独自の「AUREX Sound Processor」と呼ぶDSPが搭載されていることにある。AUREX Sound Processorは、アイレックス社が提供する複数の技術を組み合わせた独自のデジタルフィルターとなっており、「AUREX HD Remaster」や「Flat Response Optimizer」といった高音質機能を実現している。
独自の「AUREX Sound Processor」を搭載
eilex社はハイエンドオーディオの輸入商社としても知られるが、デジタルの高音質再生に関する先鋭的な技術も持っている。その高音質技術は、TVS REGZAやシャープのテレビのほか、旭化成のICチップにも採用されるなど、その活用事例は広がっている。
ロサンゼルスにあるアイレックスの事業拠点を訪問した記事については下記を参照してほしいが、「スピーカーからの原音再生を目指した、VIRという独自のフィルター技術」がその核にある。ハイエンドオーディオというよりは、コストやスペースの制約のなかで良い音を追求したい、というプロダクトにこそ効果的なフィルターとなっており、今回一体型コンポとは非常に相性の良い技術と言えるだろう。
2024/11/14
具体的には、Bluetoothなどの圧縮音源をハイレゾ相当にアップコンバートする技術を活用した「AUREX HD Remaster」で失われた高調波成分を復元。また「Flat Response Optimizer」と呼ぶ、周波数特性をフラットにする技術の搭載に繋がっている。
もうひとつ音質のためのポイントが「Cutting Egde Enclosure」という筐体デザインで、直方体ではなく角を切り落としたような多面体となっている。そのことで、直方体の角で発生しがちな周波数の乱れを軽減している。また背面に設置されたバスレフポートはフレア型となっており、ポートノイズを低減するよう設計されている。
直方体から角を切り落としたようなキャビネット形状も特徴
バスレフのポートもフレア形状とすることで、ポートノイズを減らす工夫が凝らされている
実際に音を体験してみると、サイズ感以上に豊かなサウンドステージ、また解像感の高さをかんじられた。ハイ・ファイ・セットの「スカイレストラン」では、情感豊かな声の魅力もたっぷり味わえた。Bluetoothの対応コーデックもSBCのみではあるが、内蔵されるDSP技術の力もあるのか、SpotifyのBluetooth再生もしっかり楽しめるのはさすが。
ストリーミングやレコード再生が活況を呈する中ではあるが、意外とCDを再生したいという需要は多い。手軽にいつでも音楽が楽しめる一体型コンポ、オーレックスの新提案は、今なお古びない魅力に溢れていると感じられた。
AX-XSS100の外形寸法は400W×132H×239.5Dmm(突起物含まず)、質量は約4.5kg。