<OTOTEN>エミライ、PMCスピーカー「prophecy」シリーズお披露目/パイオニアの車載用「GRAND RESOLUTION」先行試聴
国内最大級のオーディオ/ホームシアターイベント「OTOTEN2025」が、本日6月21日(土)と明日22日(日)にかけて東京国際フォーラムにて開催されている。本項では、エミライ、東北パイオニアのブースの模様についてレポートする。
PMCブランドの新スピーカー「prophecy」シリーズお披露目。技術解説や試聴デモを実施
エミライのブース(ガラス棟5F・G505)では、今年同社が取り扱いを開始したPMC(Professional Monitor Company)ブランドのスピーカーシステムをお披露目し、様々なデモンストレーションを実施している。
PMCブランドは、1991年に英国で設立されたプレミアムスピーカーブランド。「プロのためのモニタースピーカーをつくる会社」というコンセプトのもと設立され、「主にロックやポップスをしっかりと鳴らせてモニタリングできるスピーカーを目指して製品展開を行ってきた」と説明する。
注目製品として、今年5月に発売されたばかりの新機軸テクノロジーを複数採用したスピーカー「prophecy(プロフェシー)」シリーズ全5モデルの試聴展示を行っている。取材時にはシリーズ最上位のフロアスタンディング型「prophecy9」の試聴デモが行われていた。
prophecyシリーズの大きな特徴のひとつが、独自のトランスミッションライン技術「ATL」。キャビネット内部に設けた精密な音導管により、フロントから出る音に加えて、ドライバーユニット背面から出る音を効果的に利用するというもので、サイズを超えた深く伸びのある、かつスピード感のある締まった低域再生を実現するという。
担当者によれば、ATL技術の短所として設計が非常に難しい点を挙げ、工業製品として世に出ているトランスミッションライン型のスピーカーはPMCが唯一であると力強く語ってくれた。

さらにこのATLに加え、独自の気流制御技術「Laminair」を改良し、より効果を高めた「Laminair X」も盛り込まれており、整流フィン付ポート構造はそのままに、ATLのポテンシャルを最大限に引き出すよう設計段階から最適化を図っており、空気の乱流を徹底的に抑制するのだという。
prophecy9の試聴デモは、Aurender(オーレンダー)の2筐体構造のネットワークトランスポート「N30SA」、Bricasti Design(ブリキャスティデザイン)のフラグシップD/Aコンバーター「M21」、ステレオプリアンプ「M20」、モノラルパワーアンプ「M28」を組み合わせたシステムで再生。他のスピーカーでは中々味わえない低域再生に多くの来場者が聴き入っていた。
あわせて、今年2月発売の中核ライン “prodigyシリーズ” のブックシェルフ型「prodigy1」や、フロア型「prodigy5」なども展示され、試聴できる機会となっている。
また取材時には、英国PMCからアメリカとアジアを担当するビジネスデベロップメントマネージャーのフランコ・ロッコ(Franco LOCK)氏が来場しており、prophecyシリーズについての技術解説や試聴デモを実施。会場内は多くの来場者で賑わっていた。
そのほかスピーカー製品では、昨年発売されたARETAI(アレタイ)のフロア型スピーカー「Contra200F」も展示。オーレンダーのネットワークオーディオ機器でQobuzを活用した高品位ストリーミング再生や、小型高性能なネットワークストリーマー・WiiM(ウィーム)の実演なども行うとのことだった。
また会場後方には、ウィームやiFi audio(アイファイオーディオ)の新ブランドとして2024年から始動したSilentPower(サイレントパワー)ブランドの製品を一斉に展示。参考展示品として、ウィームのスマートスピーカー(※モデル名未定)が日本初お披露目された。
ストリーミング機能が盛り込まれたアクティブ・ワイヤレススピーカーで、本体に備えるタッチパネルや専用アプリから操作が可能。5.1chのサラウンドのスピーカーとしても割り振ることが可能で、コンパクトながら本格的なサウンドシステムが家で組めてしまうと謳っていた。
また、サブウーファー「WiiM Sub」も日本初お披露目。8インチドライバーおよび250WのクラスDアンプを搭載している。AIアルゴリズムを用いたルーム補正機能も備えるほか、スマートスピーカー5基と本機1基を用いれば5.1chサラウンドシステムが組めると担当者は語ってくれた。
さらに、単体プリメインアンプ「Vibelink Amp」も参考出展している。ストリーマー機能が未搭載となっているため、旗艦ネットワークストリーマー「WiiM Ultra」など既存のWiiMストリーマー製品と接続することで、ストリーマー用アンプのような活用が可能だという。発売時期は今年夏頃を予定しており、価格は未定だがグローバルプライスは予価(税別)299USDとなる見込み。
そのほかサイレントパワーブランドの製品では、光アイソレーター機能を搭載したネットワークハブ「OMNI LAN」、USBハブ「OMNI USB」なども参考出展されていた。
パイオニア「GRAND RESOLUTION」シリーズ先行試聴。車内と部屋の中での聴こえ具合を比較
東北パイオニアのブース(ガラス棟5F・G504)では、今年7月に発売する車載用ハイエンドシリーズ「GRAND RESOLUTION(グランド・レゾリューション)」のセパレート3ウェイスピーカー「TS-Z1GR」と、2ウェイハイレンジスピーカー「TS-HX1GR」スピーカーが、発売前に先駆けて先行展示されている。
GRAND RESOLUTIONシリーズは、ハイエンドオーディオブランド「TAD」の技術を投入することで独自の高音質設計思想を具現化。車載用スピーカーながら車の中においても部屋のステレオ環境で聴いているかのようなサウンド感を実現するべく開発したというシリーズ。
別場所のガラス棟B1フロアでは、本シリーズのスピーカーを搭載したデモカーが展示されており、実際に車内でそのサウンドを体感することが可能になっている。
G504フロアでは、TS-Z1GRとTS-HX1GR、そして既発売のサブウーファー「TS-W1RS」をそれぞれ筐体内に内蔵したスピーカーシステムを設置し、同シリーズを部屋で再生した際の聴こえ具合もチェックすることが可能。車内と部屋の中との聴こえ方の違いを比較できる機会になっているという。
また、同シリーズがパイオニアの祖業である「音」の技術を進化させ、長年の研究/開発で培った設計思想を追求した製品であることから、会場内にはパイオニアの創業者・松本 望氏が自ら作成したダイナミックスピーカー「A-8」が、当時のパッケージと共に展示されている。担当者によれば「パイオニアの歴史はこのスピーカーから始まった」のだという。
そして、A-8の中心部に備える金属振動板によって、低域と高域を一点にまとめて鳴らすという思想は、現在に至るまでずっと同社に受け継がれ、進化してきたと説明する。
その進化の最新バージョンとなるのが、今回のGRAND RESOLUTIONシリーズに搭載される点音源再生を可能にした同軸構成のCSTドライバー(Coherent Source Transducer)。担当者も「我々の技術の結晶になった」と胸を張る。
そのほか、臨場感のあるサウンドでゲームを楽しめるゲーミングスピーカー「SOUND TECTOR(サウンド・テクター)」シリーズ4モデル実機も展示されている。
ポータブルゲーミングスピーカー「TQ-PG300」は、背面スタンドで自立させるだけでなく、ポータブルゲーム機を挟み込むように装着することができるスピーカー。バッテリーは非搭載で、USB Type-Cで接続した再生機器、または側面ポートから給電を行う。
デスクトップモデル「TQ-FG3000」は、Dirac Research社のデジタル音場補正技術を採用し、広いサウンドステージを生成するフロントスピーカー。低音の迫力を補うサブウーファー「TQ-WG3000」も展開する。
TQ-FG3000との接続専用のネックバンドタイプのスピーカー「TW-RG3000」は、7.1ch/5.1chサラウンド再生時に後方の音を耳の後ろで忠実に再現することが可能。ゲームの臨場感を高めるとともに、狭指向性マイクでクリアなボイスチャットも可能になるという。
80年以上にも渡りスピーカー事業に携わった経験と技術を集結させ誕生したシリーズだとし、「ゲームのリアルな世界観と没入感を、臨場感のあるサウンドで体験できる」とアピールしてくれた。
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