シンガポールやオーストラリアの「カラオケ機器」も

【ペナンショウ】マレーシアの注目新興ブランドを紹介!カスタムスピーカーからRoon Server、アクセサリーまで

公開日 2025/04/29 07:15 筑井真奈
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ペナンのオーディオショウでは、日本には紹介されていない現地の新興ブランドも出展していたので、ピックアップしてみよう。

JW SPEAKER LABはマレーシアに拠点を置く「カスタム」スピーカーブランド。主にSB Acousticsのドライバーユニットを活用し、自宅の環境に合わせたキャビネットなどをカスタムで作ってくれるメーカーとなる。今回のショウでも、本格Hi-Fiシステム、ホームシアター、コンパクトなエントリー向けシステムと3つの部屋を用意して、幅広いカスタムスピーカーづくりの技術を披露していた。

JW SPEAKER LABのHiFiルーム。イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」などを再生

JW SPEAKER LABは、ジョセフ・ウォンさんがホームオーディオとカーオーディオの両方の会社で働いたのちにたちあげたブランド。その経験から、現代のライフスタイルにフィットしつつ、デザインと音質を両立するためにはカスタムスピーカーを作ることが良いと考えて、この会社を立ち上げたのだという。サイズやカラー、狙う音質なども相談の上でオリジナルのスピーカーとして作ってくれるそうだ。たとえばホームシアタールームでは、壁や天井に取り付けしやすいよう、薄型キャビネットで仕上げることもできる。

JW SPEAKER LAB創業者のジョセフ・ウォンさん

薄型キャビネットでホームシアタールームも構築

さらに、オーディオの入門者向けのスターターセットも用意している。2ウェイのブックシェルフスピーカー、WiiMのストリーマー、NADのプリメインアンプ、スタンドやケーブル類がセットになって8888リンギット、日本円で約30万円。デモルームでも、肩肘張らない柔らかなサウンドが流れており、スターターとしてはなかなかグッドな組み合わせである。

ストリーマー、アンプ、ブックシェルフスピーカーがセットになった「スターターキット」も用意

JW SPEAKER LABと同じ部屋では、こちらもマレーシアブランドの「NOTBRAND」というカスタムIEMメーカーも出展していた。立ち上げて1年に満たない気鋭のブランドで、もちろんショウへの出展は今回が初。「スタジオクオリティの音色感やダイナミクスを伝えたい」という思いでスタートしたそうで、デビュー作となる「Pursuer of Emotions」(感情の追求者)を披露。

マレーシアのIEMブランド「NOTBRAND」のIEM「Pursuer of Emotions」

「Pursuer of Emotions」は11.5mm口径のベリリウムコートCNTによるDD1発というシンプルな構成。聴くと非常にシンプルで伸びやかでストレートなサウンドなら心打たれた。3200リンギット、日本円で約10万円。さらに、現在開発中の製品のプロトタイプも3種類持ち込んでおり、ユーザーの生の声を次に生かしたいと気合い十分。期待が広がるブランドである。

プロトタイプを来場者に聴いてもらい次回以降の製品開発に活かしている

AA Audioはroon serverなどネットワーク関連製品を展開するこちらも新興マレーシアブランド。エンジニアとして長年働いていたアンワー・アリさんが、リタイア後にオーディオへの情熱をもって立ち上げたブランドとなる。(ちなみにアリさんは敬虔なイスラム教徒で、お祈りの時間は部屋にいない。そんなカルチャーの違いも新鮮な体験であった)

アンワー・アリさんが立ち上げたAA Audioブランド

roon server「AAMS Extreme」については、マザーボードは汎用品だが、特に電源周り、コンデンサーや整流器などを音質重視で選び抜き、3年かけて開発した製品とのこと。ほかにも、電源と信号線を分離したUSBケーブルなど、デジタルならではの音質対策を施した独自のアイテムを展開していた。

AA AudioのRoon Server「AAMS Extreme」

AA Audioのデモルーム。スピーカーはフォーカル、アンプはマッキントッシュ

続けてはシンガポールの「LAIV Audio」、2024年に立ち上がったこちらも新しいブランドである。「Harmony」シリーズとしてR-2R搭載の小型DAコンバーターやヘッドホンアンプ、GaN電源を使用したモノラルパワーアンプなどの開発を行っている。

小型DACやヘッドホンアンプ等を手掛ける「LAIV Audio」

ブランドを手がけるAFC TOP HIFIはマレーシアのオーディオショップで、LAIVは自社ブランドとして立ち上げたもののよう。創業者のマシューさんに聞くと、「コンパクトな製品でも、しっかりHiFiの魅力を伝えられる製品にしたいと考えています」と教えてくれた。「小型のモノラルアンプ」というのは以前から記者も注目しているテーマで、通常モノラルアンプは大型&重量級ステレオアンプがベースにあり、それを左右独立にしていることが多いが、コンパクトに音質を追求したい場合に、小型モノラルというのは合理的な選択になるのではないかと考えている。

AFC TOP HIFIのマシューさん

LAIVのモノラルパワーアンプ「MONOBLOCK」。入力もXLRのみとシンプル!

また、東南アジアではないが、オーストラリアからは「家庭用カラオケ機器」のSING BARというブランドも初登場。小型サウンドバー程度の大きさのスピーカー内蔵の本体とマイク2本、リモコンがセットになっており、テレビとHDMIケーブルで接続して使用する。

家庭用カラオケ機器のSING BAR。藤井風の「死ぬのがいいわ」が入っていた

アプリで言語や楽曲が選択できるようで、英語・中国語・広東語のほか日本語、韓国語、タイ語、マレー語など多くの言語に対応する。日本語を選ぶと藤井風の「死ぬのがいいわ」やLisa「Realize」、「津軽海峡冬景色」など有名曲が多く収録されているのがわかった。著作権など気になる点はあるが、なかなか面白いアイテムである。

カラオケ楽曲も多言語に対応

最後、こちらは虫が苦手なひとは閲覧注意である。マレーシアのアクセサリーブランド「Lydeg」によるスピーカーケーブルに接続する“蜘蛛型”アクセサリー。超大型。部屋に入った瞬間、思わず悲鳴を上げてしまった。セールスマネージャーのハンさんが近づいていて、「このデザインは、かっこいいと言ってくれる人もいれば、怖がる人もいます」とニヤニヤ。

Lydegの“蜘蛛型”アクセサリー「Riceves RCSC」

もう少し“穏やかな”デザインのOceil RCA。こちらはRCAケーブルに接続して使用する

この“蜘蛛”はパワーアンプとスピーカーの間に直列で繋ぐアクセサリーとなる。音質傾向は?と尋ねると、「声がより自然に、伸びやかになります」とのこと。申し訳ないが記者には厳しい。だが今回のナンバーワンインパクトの製品であったことは間違いない。

Lydegのデモルーム。デカい蜘蛛が2匹!!

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