日本のレコードクリーナーも大人気
【台湾ショップレポート】アナログを愛して50年、老舗ハイエンドオーディオショップを訪問。「JBLと共にオーディオ人生を歩んできた」
昨年秋の台湾のヘッドホンショウ取材に合わせて、台湾の老舗HiFiオーディオショップも訪問させてもらった。林柏奇(リン・ポキ)さんが経営する台北市中山区の柏奇専業音響名店。アナログを愛して50年、この道一筋の大ベテランディーラーである。
ビルの3Fにあるお店に足を踏み入れると、そこはお店…というより倉庫あるいは物置か。人ひとりがかろうじて通れる細い通路の両脇には、お宝なんだかジャンクなんだか分からない、さまざまなオーディオ機器が積み上がっている。よく見ればソニーのCDプレーヤーにナカミチのカセットデッキがのぞく。なるほどこれは、オーディオマニアの秘密基地そのものだ。
日本からの訪問者を、リンさんはにこやかに出迎えて、奥の試聴室に誘ってくれた。なんとか機材の山をかき分けて奥の試聴室に入ると、そこにはJBLのダブルウーファー「EVEREST DD67000」が圧倒的な存在感を放っている。リンさんによると、「私がオーディオを始めたおよそ50年前は、JBL、タンノイ、そしてウェストレイクが非常に人気の高いスピーカーでした。私はその中でもJBLの音に惚れ込んで、ずっとJBLと共にオーディオ人生を歩んできました」と誇らしげに語る。
まさにその名の通り、堂々たる威容を放つEVEREST。手前に置かれたアナログプレーヤーはテクダスの「AirForceOne Premium」。「私の一番大好きなレコードをお掛けしましょう」と言って再生してくれたのは、青江美奈の『盛り場の女を唄う』。おっとこれは非常に意外なセレクション。だがこれが素晴らしい。ただ青江美奈が目の前で歌う、このリアリティの前にどんな言葉がありえるだろうか。
「日本のレコードは非常に素晴らしいものが多いです」とリンさんは目を輝かせる。長年かけて集めてきたレコードコレクションは試聴室の棚いっぱいを占めており、谷村新司や玉置浩二、テレサ・テンなど日本の歌謡曲や録音作品も多い。もちろんジャズやクラシック、洋楽ポップスとあらゆるジャンルが並んでいる。
フォノイコライザーはスイス・HSEの「Masterline 7」に、プリアンプは「Masterline 8」、日本でもなかなかお目にかかれない垂涎のハイエンドシステムである。ちなみにパワーアンプは、リンさん自身が設計したという自社ブランドの「LEGATO」。写真中央の縦に長いモノラルパワーアンプがそれで、電源部と本体を分けた2筐体式。「FMアコースティックよりいい音がしますよ」とリンさんも自信たっぷり。
「私が世界でもっとも素晴らしいと思うレコードクリーナーをご紹介しましょう」。リンさんがそう言って見せてくれたのは、なんと新潟県で開発・製造されるFor SMiLE labの「Clean Mate NEO」。
「私は世界各国、さまざまなレコードクリーナーを試してきました。レコードの音質を最大限引き出すためには、クリーナーの存在が不可欠だからです。もっと高価な製品を使ったことがあります。ですが、これが世界で最高のクリーナーであると断言します!」(リンさん)
クラウディオやハンルや、世界各国有名なクリーナーブランドは数あれど、まさかここで「Clean Mate」の名前を聞くことになるとは!「クリーニング液は私が独自に開発したものです。クリーニングは中古レコードはもちろんですが、新品のレコードでも効果があるんですよ」。そう言いながらリンさんは、近くにあった新品未開封の徳永英明のレコードを引き寄せ、Clean Mate NEOのクリーニングを実演してくれた。
実際の模様は動画を見てもらうとして、ポイントは「ブラシを優しく盤面に当てて素早く擦る」動作を繰り返すことだそう。クリーニング液を垂らして一周ブラシで擦る。一旦バキュームして、今度は精製水で水洗い。ふたたびバキュームで乾燥させて、さらにもう一回水洗いするのがリンさんのこだわりだ。
クリーニング前後で音の聴き比べを行ったが、清掃後の徳永英明の声の伸びやかなこと! 曇りが取れて晴れやかで、ハイトーンヴォイスがどこまでも自然に自由に伸びてゆく。新品のレコードでもクリーニングだけでこれほどの違いが出てくるのかとにわかには信じがたい。リンさんも仕上がりの状態に満足した表情を見せながら、「私のお店のお客さんにもオススメしていますよ」と心強い。
(編集部注:現在Clean Mate NEOは販売終了となっており、完実電気の自社ブランドPERFECTIONにて、後継機が「PFT-VC1(BLANC PUR NEO)」として発売されている)
リンさんが次々に再生してくれるアナログレコードは、時間と空間を忘れてしまうほどのリアリティに溢れている。話を聞くほどにオーディオマインドに溢れ、あらゆる相談に親身になって話を聞いてくれる人柄がよく見えてくる。
過去の時間を真空パックして、いま・ここに再現してくれるレコードの魅力。時代を越えるアナログの魅力の深さを、またひとつ胸に刻んだ音であった。
ビルの3Fにあるお店に足を踏み入れると、そこはお店…というより倉庫あるいは物置か。人ひとりがかろうじて通れる細い通路の両脇には、お宝なんだかジャンクなんだか分からない、さまざまなオーディオ機器が積み上がっている。よく見ればソニーのCDプレーヤーにナカミチのカセットデッキがのぞく。なるほどこれは、オーディオマニアの秘密基地そのものだ。
日本からの訪問者を、リンさんはにこやかに出迎えて、奥の試聴室に誘ってくれた。なんとか機材の山をかき分けて奥の試聴室に入ると、そこにはJBLのダブルウーファー「EVEREST DD67000」が圧倒的な存在感を放っている。リンさんによると、「私がオーディオを始めたおよそ50年前は、JBL、タンノイ、そしてウェストレイクが非常に人気の高いスピーカーでした。私はその中でもJBLの音に惚れ込んで、ずっとJBLと共にオーディオ人生を歩んできました」と誇らしげに語る。
まさにその名の通り、堂々たる威容を放つEVEREST。手前に置かれたアナログプレーヤーはテクダスの「AirForceOne Premium」。「私の一番大好きなレコードをお掛けしましょう」と言って再生してくれたのは、青江美奈の『盛り場の女を唄う』。おっとこれは非常に意外なセレクション。だがこれが素晴らしい。ただ青江美奈が目の前で歌う、このリアリティの前にどんな言葉がありえるだろうか。
「日本のレコードは非常に素晴らしいものが多いです」とリンさんは目を輝かせる。長年かけて集めてきたレコードコレクションは試聴室の棚いっぱいを占めており、谷村新司や玉置浩二、テレサ・テンなど日本の歌謡曲や録音作品も多い。もちろんジャズやクラシック、洋楽ポップスとあらゆるジャンルが並んでいる。
フォノイコライザーはスイス・HSEの「Masterline 7」に、プリアンプは「Masterline 8」、日本でもなかなかお目にかかれない垂涎のハイエンドシステムである。ちなみにパワーアンプは、リンさん自身が設計したという自社ブランドの「LEGATO」。写真中央の縦に長いモノラルパワーアンプがそれで、電源部と本体を分けた2筐体式。「FMアコースティックよりいい音がしますよ」とリンさんも自信たっぷり。
「私が世界でもっとも素晴らしいと思うレコードクリーナーをご紹介しましょう」。リンさんがそう言って見せてくれたのは、なんと新潟県で開発・製造されるFor SMiLE labの「Clean Mate NEO」。
「私は世界各国、さまざまなレコードクリーナーを試してきました。レコードの音質を最大限引き出すためには、クリーナーの存在が不可欠だからです。もっと高価な製品を使ったことがあります。ですが、これが世界で最高のクリーナーであると断言します!」(リンさん)
クラウディオやハンルや、世界各国有名なクリーナーブランドは数あれど、まさかここで「Clean Mate」の名前を聞くことになるとは!「クリーニング液は私が独自に開発したものです。クリーニングは中古レコードはもちろんですが、新品のレコードでも効果があるんですよ」。そう言いながらリンさんは、近くにあった新品未開封の徳永英明のレコードを引き寄せ、Clean Mate NEOのクリーニングを実演してくれた。
実際の模様は動画を見てもらうとして、ポイントは「ブラシを優しく盤面に当てて素早く擦る」動作を繰り返すことだそう。クリーニング液を垂らして一周ブラシで擦る。一旦バキュームして、今度は精製水で水洗い。ふたたびバキュームで乾燥させて、さらにもう一回水洗いするのがリンさんのこだわりだ。
クリーニング前後で音の聴き比べを行ったが、清掃後の徳永英明の声の伸びやかなこと! 曇りが取れて晴れやかで、ハイトーンヴォイスがどこまでも自然に自由に伸びてゆく。新品のレコードでもクリーニングだけでこれほどの違いが出てくるのかとにわかには信じがたい。リンさんも仕上がりの状態に満足した表情を見せながら、「私のお店のお客さんにもオススメしていますよ」と心強い。
(編集部注:現在Clean Mate NEOは販売終了となっており、完実電気の自社ブランドPERFECTIONにて、後継機が「PFT-VC1(BLANC PUR NEO)」として発売されている)
リンさんが次々に再生してくれるアナログレコードは、時間と空間を忘れてしまうほどのリアリティに溢れている。話を聞くほどにオーディオマインドに溢れ、あらゆる相談に親身になって話を聞いてくれる人柄がよく見えてくる。
過去の時間を真空パックして、いま・ここに再現してくれるレコードの魅力。時代を越えるアナログの魅力の深さを、またひとつ胸に刻んだ音であった。
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