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トーンアームの開発予定も発表

4,500万円超えの超弩級アナログプレーヤー、TechDAS「Air Force Zero」試聴会レポート

オーディオ編集部:浅田陽介

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2019年10月09日

アナログ再生において、プラッターの正確な回転はワウ・フラッターやモーターそのものから発生するノイズなどさまざまな影響を与える。Air Force Zeroの場合は回転をDSPで制御する仕組みを採用し、この問題を根本から解決した。レコードの定速回転である33 1/3rpmあるいは45rpmの精度を常にセンサーで監視し、内部の基準クロック発振器とずれると即座に内部のDSPが検知して補正。後述する極めて高いイナーシャ性能を誇るプラッターを組み合わせることで、アナログ再生における理想の回転を実現している。

Air Force Zeroのモーター制御回路のブロックダイヤグラム

ちなみに、モーター部を先行発表した際は従来モデル「Air Force One Premium」に搭載するかたちとなったことから、Air Force Oneのオプションとしての発売を希望する声も挙がったそうだが、「ドライブモーターの数そのものが限られるということもあり、現時点では難しいと思います」と西川氏は話す。

プラッターについても、常識からは考えられないほどの物量が投入されている。全部で5層からなるプラッターは、最下層が40cm径/34kgの鍛造ステンレス(SUS 316L)製、第2層が31cm/20kgの鍛造ステンレス(SUS 316L)製、第3層が31cm/20kgの鍛造砲金製、第4層が31cn/20kgの鍛造ステンレス(SUS 316L)製、そして最上層が31cm/26kgの焼結タングステン製(またはチタン)という構成で、総質量は120kgにも及ぶ。しかもこの5層のプラッターは機械的ストレスが発生するネジではなく、ディスクバキューム用の空気を活用してチャッキングしていることも見逃せないポイントだ。

途方もなく巨大なプラッター部とレコード盤を一体化するエアーバキュームポンプは片手で持てるほどのサイズだ

プラッター部の内部構造図

また、プラッターを支えるプラッターベースは35kgの超々ジュラルミンで、ここから枝葉のようにアッパーパネルが伸び、トーンアームやサスペションの機構へつながる設計とした結果、フローティング部分の質量はプラッター含め250kgに達した。しかし、これは重さを稼ぐためではなく、プラッターとフローティングサスペンションの重心を支点よりはるかに低くするという観点から採用されたものだ。また、サスペンションは横揺れを中心に吸収するつくりとなっている。これは共振周波数が低くなるとその振動は横方向になることが理由となっている。

超々ジュラルミンによるプラッターベースだけでも重量35kg

カートリッジ側からみた低域における共振のグラフ。Air Forceではその数値は異常に低く、これが圧倒的なクロストーク性能などへとつながっている

そもそも“Air Force”という名は文字通り空気の力をフル活用することに由来している。エアーベアリングとエアーフローティング、そしてバキュームという相反する要素の同時実現こそ、Air Forceを語るうえで欠かせない最大の特徴となっている。「海外も含めて、この“吸って吐く”という動作同時に行うことは、まず難しいだろうと言われてきた」と西川氏は振り返るが、だからこそAir Forceは世界的に注目を集めるにいたった。

プラッターベースに、プラッターを載せたところ。トーンアームやサスペンション機構も含めると250kgを空気の力でフローティングさせている

レコードとプラッターを一体化した上で回転し、エアーによって外部からの振動を完全に切り離して再生する。内と外、双方の問題を一挙に解決する、まさに極まったというべき構造だろう。

驚異的なまでの静寂から音楽だけが立ち上がる

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