PRデジタルボリューム搭載の「P1」プリアンプ機能にも注目
LUMINが切り開くネットワークオーディオの最先端! UPnP/TIDAL/Roonと多彩な使いこなしを丸ごとチェック
ネットワークオーディオプレーヤーの世界で、常に新しい挑戦に取り組み続けてきたLUMIN(ルーミン)。DSD再生やMQAフォーマットにもいち早く対応した点や、優れた操作アプリなど、他に類を見ない技術力の高さで世界的にも評価を受けてきた。ここでは、同社の最新モデルから、ネットワークトランスポートの「U2 MINI」、ネットワークプレーヤーの「P1」、そしてウェストミンスター・ラボと協力して誕生したパワーアンプ「AMP」の3機種を掘り下げてみよう。
ネットワークオーディオに興味がある人にはルーミンはおなじみのブランドで、実際に使っている読者も多いと思う。早い時期からネットワークオーディオに取り組んで最先端を歩んできたことや、アプリが多機能で使い勝手が良いことでも高い評価を得ている。
さらに、ラインナップのなかに単体で楽しめるプレーヤーだけでなくトランスポートを用意し、手持ちのDACを活用するスタイルも視野に入れている。ユーザーの環境に合わせて最適な機種選びができるのは歓迎すべきことだと思う。
ルーミンは独自の技術力や他社との技術提携を活かしてアンプ開発にも力を入れていて、現在はネットワーク再生機能を内蔵するプリアンプ「P1」、ステレオパワーアンプ「AMP」の2機種を用意している。そのハイエンドシステムにミニマム構成のネットワークトランスポート「U2 MINI」を組み合わせた “ルーミントリオ” の実力を確認することがこの記事のテーマだ。
U2 MINIは横幅300mmのコンパクトな筐体にストリーマー機能を凝縮したネットワークトランスポートで、USB以外にXLR/同軸(RCA/BNC)/光の各デジタル出力を装備。USB出力でPCM 768kHz、DSD 22.6MHzまで幅広くサポートする仕様はルーミンならではの強みだ。
専用アプリとの連携でTIDALやQobuzなど主要ストリーミングサービスやインターネットラジオも受信できるので、ローカルサーバーとネット上の音源をシームレスに楽しみたいなら有力な候補になるだろう。また、サンプリング変換の自由度が高いことを活かし、愛用のDACに最適なフォーマットでデジタル伝送できることもメリットに挙げておきたい。
TIDALのリスナーならMQA対応の有無が気になると思うが、U2 MINIは96kHz/24bitまでのコアデコードに対応している。組み合わせるDACの仕様に合わせてコアデコードまたはパススルーをアプリの設定画面から選べるので、DACがフルデコード対応なら後者を選べばいい。さらに、Roon対応も万全で、RoonReadyに加えてRoonOnlyモードへの切り替えにも対応しているため、Roon専用機として音質メリットを追求したい人には特別な価値のある製品と言えるだろう。
P1は単体でもストリーマーとして使えるが、今回はDAC内蔵プリアンプとしてのパフォーマンスを探る。デジタル入力はUSBとXLR/同軸/光に加えてHDMI入力まで装備し、アナログ入力もXLR/RCA各1系統を積む。分解能が低下しないLeedh Processingをボリューム回路の選択肢に加えていることも特徴の一つで、プリアンプとしてのパフォーマンスはかなり期待できそうだ。
AMPは電源回路から増幅回路までデュアルモノ設計を貫いたチャンネルあたり160W(8Ω)のAB級ステレオパワーアンプで、入出力端子の配置を見れば完全な左右対称で設計していることに気づく。筐体はコンパクトだがトロイダルコア方式の電源トランスは600VAと大容量で、ブリッジ接続またはバイアンプ駆動にも拡張できるため、大型スピーカーとの組み合わせにも不安はない。
P1とAMPはアルミ削り出し材を駆使した筐体が抜群の存在感を発揮する。U2 MINIはそこまで堅固な作りではないが、外側からビスが見えないなど、仕上げの質感は高く、当然ながらクラスは別でもルーミン製セパレートアンプとの組み合わせは相性抜群。
今回はアンプの仕上げカラーが別々になってしまったが、シルバーまたはブラックどちらかに揃えれば、ソリッドで無駄のないデザインの魅力が際立つはずだ。特にアンプ群は安価とは言えないが、同様な素材と構造にこだわると他のブランドではもっと価格が高くなると思う。内容を考えると、ルーミンの製品はそこまでの高価格ではない。
fidataのミュージックサーバーからのUPnP再生とTIDALストリーミング、そしてRoonReadyのハイレゾ再生という順番で試聴を進めた。操作にリモコンが使えるが、設定を含む基本操作と選曲はルーミンアプリで集中的に操作した方が使いやすく、操作の反応も良好だ。スマホ用アプリもあるが、より多くの情報が画面に表示されるタブレットでの操作をお薦めする。
クルレンツィス指揮、ムジカエテルナのベートーヴェン交響曲第5番(FLAC 96kHz/24bit)をルーミンのシステムで聴くと、内声パートの思いがけず重要な動きや大胆な強弱の対比など、特に第3楽章と第4楽章でのクルレンツィスの解釈の卓越した要素が鮮明に浮かび上がり、演奏者たちが指揮者と呼吸を揃えて躍動感のある演奏を引き出していることがよくわかる。
U2 MINI単独でのエネルギーバランスはやや高めだが、P1とAMPを組み合わせてシステムで鳴らすと、低音楽器が本来の瞬発力を獲得し、第4楽章冒頭の力強く重量級の表現で真価を発揮した。
DSD 11.2MHzのオーケストラ録音は弱音のなかでめまぐるしく動く細かい音符一つひとつを立体的に描き出し、演奏の緊張感を生々しく再現する。もうひとつ、このシステムの長所として音場の見通しの良さが挙げられるのだが、この音源ではそのアドバンテージを素直に実感することができた。手前の弦楽器とステージ後方の金管楽器の位置関係が手にとるようにわかる。
TIDALのマスター音源からセリア・ネルゴールのアルバム「マイ・クラウデッド・ハウス」(96kHz/24bit)を聴く。第一印象はとにかく音数が多いなということ。イントロのスティールパンとヴィブラフォンから始まって何種類ものパーカッションとキーボードが活発に動き回るなか、それぞれの楽器の音色を正確に描き分けている。
何気なく聴いていると気づきにくいリズムの変化が手にとるように見えるだけでなく、ベースが分厚い音で動いてもボーカルとコーラスの発音がマスクされることがない。CDではここまでの粒立ち感を引き出すのはかなり難しいのだが、U2 MINIで聴くTIDALの音源からはハイレゾならではの繊細なディテールがはっきり聴き取れる。
RoonReadyのプラットフォームで再生したアンネ・ゾフィー・ムターとロスフィルの「ドニーブルック・フェア」はステージとホールのパースペクティブが広大で、特に前後の遠近の深さが聴きどころだ。独奏ヴァイオリンの音色は曲調とともに刻々と変化し、弓が上下に跳ねる動きが見えるようなリアリティを体感することができた。
今回の試聴とは別の機会ではRoonReadyとRoon Onlyモードでジョン・ウィリアムズとベルリン・フィルの演奏を聴き比べたのだが、そこでは金管楽器群の明瞭な発音と鮮明なフォーカスに感心させられた。鮮度の高さでは明らかにRoon Onlyが優位に立つので、Roonの再生環境を突き詰めたいならマークしておくべきだ。
ルーミンのネットワークコンポーネントは最新の技術トレンドを積極的に導入しているため、ハードルが高いと感じている人がいるかもしれない。だが、特にU2 MINIはシンプルな外観から受ける印象と同じように動作に気難しいところはなく、これからネットワークオーディオに取り組むエントリーユーザーにもためらうことなくお薦めできる。
さらに、複数のネットワークプレーヤーやサーバーを使いこなしているベテランの聴き手にとってもU2 MINIを選ぶ意味はあると感じた。RoonReadyやRoon Onlyモードの活用を考えているなら、導入して後悔することはないはずだ。
(提供:ブライトーン)
ネットワークからアンプまで、“ルーミントリオ” を一気にテスト
ネットワークオーディオに興味がある人にはルーミンはおなじみのブランドで、実際に使っている読者も多いと思う。早い時期からネットワークオーディオに取り組んで最先端を歩んできたことや、アプリが多機能で使い勝手が良いことでも高い評価を得ている。
さらに、ラインナップのなかに単体で楽しめるプレーヤーだけでなくトランスポートを用意し、手持ちのDACを活用するスタイルも視野に入れている。ユーザーの環境に合わせて最適な機種選びができるのは歓迎すべきことだと思う。
ルーミンは独自の技術力や他社との技術提携を活かしてアンプ開発にも力を入れていて、現在はネットワーク再生機能を内蔵するプリアンプ「P1」、ステレオパワーアンプ「AMP」の2機種を用意している。そのハイエンドシステムにミニマム構成のネットワークトランスポート「U2 MINI」を組み合わせた “ルーミントリオ” の実力を確認することがこの記事のテーマだ。
U2 MINIは横幅300mmのコンパクトな筐体にストリーマー機能を凝縮したネットワークトランスポートで、USB以外にXLR/同軸(RCA/BNC)/光の各デジタル出力を装備。USB出力でPCM 768kHz、DSD 22.6MHzまで幅広くサポートする仕様はルーミンならではの強みだ。
専用アプリとの連携でTIDALやQobuzなど主要ストリーミングサービスやインターネットラジオも受信できるので、ローカルサーバーとネット上の音源をシームレスに楽しみたいなら有力な候補になるだろう。また、サンプリング変換の自由度が高いことを活かし、愛用のDACに最適なフォーマットでデジタル伝送できることもメリットに挙げておきたい。
TIDALのリスナーならMQA対応の有無が気になると思うが、U2 MINIは96kHz/24bitまでのコアデコードに対応している。組み合わせるDACの仕様に合わせてコアデコードまたはパススルーをアプリの設定画面から選べるので、DACがフルデコード対応なら後者を選べばいい。さらに、Roon対応も万全で、RoonReadyに加えてRoonOnlyモードへの切り替えにも対応しているため、Roon専用機として音質メリットを追求したい人には特別な価値のある製品と言えるだろう。
P1は単体でもストリーマーとして使えるが、今回はDAC内蔵プリアンプとしてのパフォーマンスを探る。デジタル入力はUSBとXLR/同軸/光に加えてHDMI入力まで装備し、アナログ入力もXLR/RCA各1系統を積む。分解能が低下しないLeedh Processingをボリューム回路の選択肢に加えていることも特徴の一つで、プリアンプとしてのパフォーマンスはかなり期待できそうだ。
AMPは電源回路から増幅回路までデュアルモノ設計を貫いたチャンネルあたり160W(8Ω)のAB級ステレオパワーアンプで、入出力端子の配置を見れば完全な左右対称で設計していることに気づく。筐体はコンパクトだがトロイダルコア方式の電源トランスは600VAと大容量で、ブリッジ接続またはバイアンプ駆動にも拡張できるため、大型スピーカーとの組み合わせにも不安はない。
P1とAMPはアルミ削り出し材を駆使した筐体が抜群の存在感を発揮する。U2 MINIはそこまで堅固な作りではないが、外側からビスが見えないなど、仕上げの質感は高く、当然ながらクラスは別でもルーミン製セパレートアンプとの組み合わせは相性抜群。
今回はアンプの仕上げカラーが別々になってしまったが、シルバーまたはブラックどちらかに揃えれば、ソリッドで無駄のないデザインの魅力が際立つはずだ。特にアンプ群は安価とは言えないが、同様な素材と構造にこだわると他のブランドではもっと価格が高くなると思う。内容を考えると、ルーミンの製品はそこまでの高価格ではない。
UPnP再生にストリーミング、Roonとあらゆるネットワーク再生に対応
fidataのミュージックサーバーからのUPnP再生とTIDALストリーミング、そしてRoonReadyのハイレゾ再生という順番で試聴を進めた。操作にリモコンが使えるが、設定を含む基本操作と選曲はルーミンアプリで集中的に操作した方が使いやすく、操作の反応も良好だ。スマホ用アプリもあるが、より多くの情報が画面に表示されるタブレットでの操作をお薦めする。
クルレンツィス指揮、ムジカエテルナのベートーヴェン交響曲第5番(FLAC 96kHz/24bit)をルーミンのシステムで聴くと、内声パートの思いがけず重要な動きや大胆な強弱の対比など、特に第3楽章と第4楽章でのクルレンツィスの解釈の卓越した要素が鮮明に浮かび上がり、演奏者たちが指揮者と呼吸を揃えて躍動感のある演奏を引き出していることがよくわかる。
U2 MINI単独でのエネルギーバランスはやや高めだが、P1とAMPを組み合わせてシステムで鳴らすと、低音楽器が本来の瞬発力を獲得し、第4楽章冒頭の力強く重量級の表現で真価を発揮した。
DSD 11.2MHzのオーケストラ録音は弱音のなかでめまぐるしく動く細かい音符一つひとつを立体的に描き出し、演奏の緊張感を生々しく再現する。もうひとつ、このシステムの長所として音場の見通しの良さが挙げられるのだが、この音源ではそのアドバンテージを素直に実感することができた。手前の弦楽器とステージ後方の金管楽器の位置関係が手にとるようにわかる。
TIDALのマスター音源からセリア・ネルゴールのアルバム「マイ・クラウデッド・ハウス」(96kHz/24bit)を聴く。第一印象はとにかく音数が多いなということ。イントロのスティールパンとヴィブラフォンから始まって何種類ものパーカッションとキーボードが活発に動き回るなか、それぞれの楽器の音色を正確に描き分けている。
何気なく聴いていると気づきにくいリズムの変化が手にとるように見えるだけでなく、ベースが分厚い音で動いてもボーカルとコーラスの発音がマスクされることがない。CDではここまでの粒立ち感を引き出すのはかなり難しいのだが、U2 MINIで聴くTIDALの音源からはハイレゾならではの繊細なディテールがはっきり聴き取れる。
RoonReadyのプラットフォームで再生したアンネ・ゾフィー・ムターとロスフィルの「ドニーブルック・フェア」はステージとホールのパースペクティブが広大で、特に前後の遠近の深さが聴きどころだ。独奏ヴァイオリンの音色は曲調とともに刻々と変化し、弓が上下に跳ねる動きが見えるようなリアリティを体感することができた。
今回の試聴とは別の機会ではRoonReadyとRoon Onlyモードでジョン・ウィリアムズとベルリン・フィルの演奏を聴き比べたのだが、そこでは金管楽器群の明瞭な発音と鮮明なフォーカスに感心させられた。鮮度の高さでは明らかにRoon Onlyが優位に立つので、Roonの再生環境を突き詰めたいならマークしておくべきだ。
アプリの操作性も良好、エントリーから奥深い使いこなしまでさまざまに楽しめる
ルーミンのネットワークコンポーネントは最新の技術トレンドを積極的に導入しているため、ハードルが高いと感じている人がいるかもしれない。だが、特にU2 MINIはシンプルな外観から受ける印象と同じように動作に気難しいところはなく、これからネットワークオーディオに取り組むエントリーユーザーにもためらうことなくお薦めできる。
さらに、複数のネットワークプレーヤーやサーバーを使いこなしているベテランの聴き手にとってもU2 MINIを選ぶ意味はあると感じた。RoonReadyやRoon Onlyモードの活用を考えているなら、導入して後悔することはないはずだ。
(提供:ブライトーン)