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ダイヤモンドカンチレバー採用

<HIGH END>オルトフォン、新最上位カートリッジ「MC Anna Diamond」。さらに進化を遂げた“最高傑作”

オーディオ編集部・浅田陽介
2019年05月10日
現地時間の5月9日(木)よりドイツ・ミュンヘンにて開幕した世界最大規模を誇るオーディオショウ、Munich HIGH END 2019。初日のプレス・デイから多くの来場者が詰めかけ、今年も例年同様の大きな盛り上がりを見せている。

ORTOFONの新たなフラグシップとなるMCカートリッジ「MC Anna Diamond」

オルトフォンは同社カートリッジの新たなフラグシップとなる「MC Anna Diamond」を発表し、早くも世界中のメディアから高い注目を集めている。MC Anna Dは6月中旬ごろにリリースを予定。日本での価格はまだ未定だがおよそ100万円前後となる見込みだ。

さらなる再現を手に入れた最高傑作「MC Anna Diamond」

同社は昨年100週年を迎え、その記念モデルとして登場した超弩級カートリッジ「MC Century」や「SPU Century」が大きな成功を収めた(関連ニュース)。次なる100年へ向けてのスタートを切ったオルトフォンが、今回のMunich HIGH ENDでどのような製品を発表するのかは大きな見どころのひとつとなっていたが、今回のMC Anna Diamondは、同社のプロダクトの開発者であり、サウンドから生産管理に至る全てを統括するライフ・ヨハンセン氏にとって「最高傑作」と言われたMC Annaをベースとして、MC Centuryで生み出された新たなアイデアとそれを具現化する最先端のテクノロジーを駆使した製品となっている。ちなみに、ベースとなったMC Annaもそものまま今後もラインナップを継続するという。

オルトフォンの全てのプロダクトにおける統括責任者となるライフ・ヨハンセン氏。MC Anna Diamondは彼が手がけた「新たな最高傑作」でもある

MC Anna Diamondの基本的なデザインについては、MC Annaを踏襲。その最大の変更点はボロンに変わりMC Centuryで初めて採用されたダイヤモンドカンチレバーの採用にあり、同社のSLM(セレクティブ・レーザー・メルティング)技術にて成形された最高硬度のチタンによるボディの先端部には、ダイヤモンドの造形が刻印される。

一見、MC Centuryの技術をMC Annaに落とし込んだモデルのように思えるが、ヨハンセン氏によれば、MC Anna Diamondは3年ほど前から開発をスタートしたプロダクトとのこと。世界的にも最高峰のカートリッジとして高い評価を集めたMC Annaから、さらなる高みを目指す過程で記念モデルとしてのMC Centuryが登場し、結果としてその両者の開発におけるカット&トライが今回のMC Anna Diamondの誕生へと結びついている。

MC Anna DiamondとMC Centuryには、多くの共通点がある

「MC Anna Diamondは、MC AnnaとMC Centuryを融合させた製品です。私達はMC Centruyでダイヤモンドカンチレバーを採用しました。ダイヤモンドの結晶構造は非常にまっすぐであることに加え、強度そのものが高い素材ですので、針先でピックアップした情報をロスなく伝送することが可能な点が大きな特徴です。ボロンと比較してもより繊細な表現が可能となるほか、定位やダイナミックレンジで高い優位性があります。」とヨハンセン氏。

また「世界100個限定で、しかも非常に高額な価格帯で発売したMC Centuryでしたが、皆様に高くご評価いただき、世界的に大きな成功を収めました。その大きな役割を果たしたダイヤモンドカンチレバーをMC Annaへ採用するべく試行錯誤の末誕生したのが、このMC Anna Diamondとなります。このダイヤモンドカンチレバーの採用に伴いラバーダンパーの最適化を行っていることもMC Annaとの大きな違いです。その結果、針圧は従来よりも0.2g軽い2.4gとなっています」と話す。

会場にはMC Anna Diamondの構造模型ともに展示され、来場者の注目を集めている

ヨハンセン氏によると、実はMC Centuryも素材や技術はMC Annaをベースにしたものだった。つまり、MC AnnaとMC Centuryはある意味兄弟のような位置づけにあり、その双方の良いところを磨き上げたのが、MC Anna Diamondという見方ができる。空芯コイルを採用していることも共通で、オルトフォンは完全自社設計/成形による磁気回路やアーマチュアを採用したことで、効率の良い針先の動作という空芯コイルのメリットを最大限に引き出すことに成功している。

「MC Anna DiamondとMC Centuryにおけるサウンド面での差は極めて小さなもので、もしかするとその違いを判別することすら難しいかもしれません。最高傑作として満を持して送り出したMC Annaでしたが、新しいMC Anna Diamondはそんなアナログの世界のさらなる高みを実現しています」とヨハンセン氏は自信をのぞかせる。

実際、開催初日から同社のブースには世界中のメディアや評論家が押しかけこのMC Anna Dに高い関心を寄せていたが、その中に世界的にの大きな権威を持つ評論家、マイケル・フレーマー氏の姿もあった。MC Centuryを世界で最高のカートリッジと評価したフレーマー氏は、MC Anna Dで聴けたその音を「Very, Very, Very Good」と評価したそうだ。

■モノラルMCカートリッジ、MC A MONOも発表

また、もう一つ、オルトフォンはこのMunich HIGH ENDで新たなモノラルカートリッジとしてMC A MONOを発表し、こちらも大きな注目を集めている。レコード愛好家にとっては50年代、60年代に登場した作品は極めて大きな意味を持っているが、そんなかつての名盤たちを現在最高峰の技術を持ってして再生するべく開発された製品という位置づけだ。

ボディは95周年を記念して登場したMC A 95で採用したSLMによって成形されたチタンボディを踏襲。針先はレプリカント100とし、レコードの溝のより奥深くに刻まれた情報のピックアップを可能とした。

もうひとつの新製品であるMC A MONOも極めてオルトフォンらしさを凝縮したカートリッジだ

「モノラル盤の多くで見られるサーフェスノイズは、溝の側面のコンディションが原因です。MC A MONOは、そんなノイズ源のさらに奥にある溝をトレースするので、非常に高いS/Nをもって再生できます。いまの私達が持つ最高峰の技術でモノラル盤をトレースするというのがコンセプトです。MC A MONOで聴くモノラル盤のサウンドは、Cadenza Mono等他のモノラルカートリッジと比べると、非常に繊細なサウンドと感じられるかもしれません。しかし、その高解像度で静かなサウンドは、MC A MONOでしか得ることのできない大きな魅力となっています」

そもそも、モノラルカートリッジ自体の製品ラインナップが現在のアナログ市場では貴重な存在だ。MC A MONOは100年もの間徹底して「アナログ」にこだわり続けてきたオルトフォンだからこそのハイエンド・モノラルカートリッジとしても大きな価値を持った製品ということができそうだ。

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