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高い柔軟性が魅力

<HIGH END>6スピーカーでも広大な音場。トリノフ+Auro 3Dのイマーシブオーディオを体感

山之内 正
2017年05月21日
独「HIGH END」の展示は9割以上がいわゆるピュアオーディオ関連だが、4Kなど最新ディスプレイと組み合わせたホームシアターの展示も少しずつ増えている。

さらに、立体音響関連では映像作品主体のシアター系とは別に音楽のマルチチャンネル再生に的を絞った展示がいくつかあり、最近はそのなかに「イマーシブオーディオ」と呼ばれる3Dサラウンドをテーマにした例が目立つようになってきた。映画音響ではドルビーアトモスやDTS:Xが有名だが、音楽ではAuro 3D方式が注目を集めている。

トリノフのプリアンプ「Altitude」と同社のマルチチャンネルパワーアンプ「Amplitude」を組み合わせ、計6本のスピーカーを再生

今年のHighEndでは仏TRINNOV(トリノフ)が独自の3D音響技術を生かしたイマーシブオーディオのデモンストレーションを実施。Auro 3Dの録音エンジニアが最新コンテンツを紹介する試聴会に参加したので、その概要を紹介することにしよう。

Auro 3DのTom Van Achte氏が最新音源を紹介

イマーシブオーディオというと10本を超える多チャンネルシステムを連想する人が多いかもしれないが、今回は計6本のスピーカーで4+2チャンネル(フロントx2、リアx2、ハイトx2)のシステムを組んだ例が紹介された。センタースピーカーとサブウーファーはあえて使わず、ハイトスピーカーも前方だけに設置している。

6本だけとは言ってもスピーカーはVIVID Audioで統一しているのでクオリティ志向のハイエンドシステムであることは間違いなく、マルチチャンネルプリアンプもトリノフのAltitudeを使ってアップコンバートやダウンミックスを行っている。

フロントスピーカー上方に設置したハイトスピーカー(VIVID Audio V1.5)

ちなみにAltitudeは現在日本で入手できる唯一のAuro 3D対応モデルである。こちらもかなり高額な製品だが、今秋以降は対応AVアンプの発売も見込まれているので、Auro 3Dのイマーシブオーディオを手軽に楽しめる日は遠くないはずだ。

Auro 3Dで数多くの録音やマスタリングを手がけているTom Van Achte氏は、「Auro 3Dは9.1chの再生システムを推奨していますが、今回のようなスピーカー配置でも効果は非常に大きく、特に音楽再生ではイマーシブオーディオならではの臨場感を味わうことができます」と語る。

Uranienborg Vocal Ensembleの合唱曲(9.1ch収録)

ボン・ベートーヴェン・オーケストラの演奏によるシェーンベルクのノットゥルノ(8.0ch収録)

実際に6chと2chを聴き比べてみると、聴き慣れたステレオ再生から6ch再生に切り替えた途端に音場が部屋全体に広がり、まさに響きのなかに浸る感覚を堪能することができた。
 
再生した音源は6月にリリース予定のAuro 3Dサンプラー最新盤からのセレクトで、ハイト用マイクを4本使って教会で収録した合唱曲のほか、弦楽オーケストラ、ジャズなど多様な音源を用意していた。弦楽オーケストラは8.0chという変則的なチャンネル構成で収録し、ジャズの音源は通常のサラウンドからAuro 3Dにアップミックスするという具合に収録とミキシングの柔軟性はかなり高いようだ。
 
Achte氏も「録音の基本は9.1chですが、厳格なルールはなく、今回紹介したサンプル音源も私たちの提案の一つにすぎません。9.1ch、5.1ch、そしてステレオなど複数の選択肢のなかからリスナーが自分の気に入ったスタイルで再生すれば良いのです。多くの選択肢を提供できることに意味があると考えています」とAuro 3Dの柔軟性の高さをアピールしていた。

Peter Gregson 《Touch》(9.1ch収録)

リリース予定のサンプル盤には計28トラックを収録しており、そのなかにはすでに日本でも入手できるBDも含まれている。今回のデモで聴いたなかではUranienborg Vocal Ensembleの合唱、Peter Gregsonの《TOUCH》を特にお薦めする。前者は広々とした空間を残響が満たす立体感が秀逸で、後者はオルガンやチェロの深々とした低音の響きが聴きどころだ。

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