“質”重視、ユーザー目線の店舗作り

【Senka21】あの「ハードオフ」がオーディオに特化。 3年目迎えた新業態『オーディオサロン』のいま

公開日 2016/07/13 14:59 Senka21編集部
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広がる「オーディオサロン」の課題と展望

現在ハードオフコーポレーションでは、オーディオサロンのエッセンスを注ぎ込んだ試聴コーナー「Audio Selection」を備えた店舗を拡大している。


ゆったりとしたスペースがとられた試聴空間
だが、ノウハウを単純にマニュアル化することは難しく、実際に理解が十分でなかった店舗も見受けられたという。そこで同コーナーを設ける際には、店長が事前にオーディオサロンで研修を受けるシステムが採用されている。

例えば、修理を担当する元メーカーエンジニアが語る「どこが直せて、何が直せないのか」。その説明は買い取り時の重要な指針ともなる。同じタイトルのレコード盤を国外盤と海外盤とで聴き比べたり、レストア(修復)したスピーカーとそうでないスピーカーとを聴き比べたり、自らの耳で確かめることで知識や感覚を覚えていく。そうした経験を元にすることで「生きた言葉でユーザーに伝えられるようになる」ことを目的としている。


入り口からすぐ、カウンター奥に設けられた修理コーナー。スタッフは元メーカーエンジニア
同社は、これまで買い取ったオーディオ製品を「活かしきれていなかった」と自ら指摘する。そこへ新たな命を吹き込むのが本試聴コーナー「Audio Selection」である。設置した店舗では買い取りが増えており、昨年度のハードオフ既存店のトータルでも、オーディオ部門の売上げが伸長しているという。

買い取りが順調な一方、リペア(修理)は自店が買い取ったもので手一杯の状況だそうだ。また、個々の店で自己完結するスタイルを現在は採用しているが、「そろそろ個別の店の枠を超えて横断的に対応する新部門を検討してもよい時期」と語る。「コストをかけても良いからまだ使いたいというニーズがたくさんある。それならば、我々が復活させるところまで担ってもいい」と、一歩踏み込んだ対応を構想する。


真空管オーディオは自作したものもアフターで責任を取れると判断したものはリユースとして販売。店内ではニーズをくみ取り、真空管オーディオキットの販売も行っている
元メーカー・エンジニアの修理担当スタッフは、この二年の間に、困難だったレア部品の入手ルートを新規開拓。また学習効果により修理時間のスピードアップを実現するなど、環境も急速に整い始めている。

「古いものを売っている意識はない。肝心なのは、お客様が魅力を感じるものをきちんと提供すること。もちろん店側のこだわりだけでは商売として成立しないけれども、音は出るがオーバーホールをしていない5万円のスピーカーと、きちんとオーバーホールをした15万円のスピーカーを聴き比べていただき、その結果15万円のものを選んで購入されるお客様がいらっしゃるわけですから、ニーズはある」と自信をのぞかせる。

値付けした価格の違い=商品価値をどう伝えるかも重要。POPの情報の分かりやすさにも工夫を凝らしている

通常の店舗でオーディオを展開しようとしても、マンパワーのやりくりなど課題も少なくない。横断的な修理の新部門が実現すれば、そのハードルを引き下げることも可能となる。

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