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デジタルからアナログまで対応

オーディオへの敬意を表した驚異的スペックを誇るオールインワンシステム「Retro」

石原 俊
2015年06月13日
DSD11.2MHzにも対応! iiFIオーディオらしさ溢れるシステム

iFIオーディオのオールインワンシステム「Retro」。その名のとおり、古き好き時代のオーディオ機器を髣髴とさせるデザインだ

先鋭的なマイクロ・コンポーネントでネットオーディオの世界を席巻する英国iFIオーディオが、「Retro」というレトロな外観を持つシステムを発売した。本機はDAC内蔵アンプのSTEREO 50(1950〜60年代に生産された英国リーク社のアンプを思わせるネーミングだ)と、スピーカーのLS3.5(BBCモニターのLS3/5aのもじりだろう)で構成されたシステムで、それぞれ単体でも販売されている。


iFIオーディオ「STEREO 50」(¥190,000/税別、USB DAC内蔵真空管プリメインアンプ)
STEREO 50は、発売後驚異的な人気を獲得したiFIオーディオの超小型USB DACのmicro iDSDやヘッドフォンアンプのiCAN、フォノイコライザーのiPhono、真空管式プリアンプのiTubeの機能を全て持たせた上で、パワーアンプの機能を搭載したと考えて良い。USB入力はPCM 768kHz/32bit、DSDはなんと24.6MHzまでサポートしていることに加え、フォノ入力も実にさまざまな負荷抵抗値とイコライジングカーブに対応している。一方、パワーアンプ部には終段がEL84プッシュプルの真空管式を採用している点もユニークなポイントだ。ほかのiFIオーディオの製品にはない機能として、NFCに対応したBluetooth機能も搭載している。


STEREO 50のリアパネル。入力は最大で24.6MHz DSD、768kHz/32bit PCM再生に対応できるUSB入力のほか、RCA同軸デジタル/光TOSのコンボ端子、さらにRCAアナログ×2とMM/MCに対応したフォノ入力を装備する

STEREO 50はBluetoothに対応。ウォークマンや対応スマホとワンタッチでペアリングできるNFCもトップパネルに用意している
ペアとなるスピーカーのLS3.5は2ウェイ・ブックシェルフ型で、ドライバーユニットは2.8cm口径のシルクドーム・トゥイーターと11.5cm口径のペーパーコーン・ウーファー。エンクロージャーは強度の高い竹製で、構造はキャビティに一種のロードをかけるトランスミッション方式を採用している。クロスオーバーネットワークは搭載しておらず、トゥイーターの入力に極めてシンプルなハイパスフィルターが入っているだけで、ウーファーはフルレンジ的に動作している。


iFIオーディオ「LS3.5」(¥140,000/ペア・税別、スピーカーシステム)

LS3.5の端子はシングルワイヤリング。トランスミッションラインを採用するほか、クロスオーバーは搭載しない仕組みとなっている点もポイントだ
まずはSTEREOとモニターオーディオのGX300を接続し、再生してみた。まず印象に残ったのは、この価格帯のアンプとして非常に安定感があること。CDクオリティを再生している時はごくごく一般的なハイファイサウンドという印象だったが、トラックがハイレゾデータとなると音の世界がまるで別物になった。
PCM 192kHz/24bitでは情報量がリニアに上昇し、音の色数やディテール感が倍増する。情報量が正比例的に増加した表現ができる製品は、確かにほかにも存在する。しかしながら、オールインワンで、しかもこの価格で成し遂げたモデルは筆者の認識ではこれまでにないものだ。384kHz/32bitの音源において、パイプオルガンの重低音が神の鉄槌のごとく試聴室に出現したことは特筆に値しよう。本機の注目機能となるDSD 11.2MHz音源の再生で聴ける音場の静寂感や音像のスイートさは、iFIオーディオらしさ溢れる非常に魅力的なものだった。
次にスピーカーをLS3.5にチェンジした。このスピーカーは極端にシンプルな構成なので、音がダイレクトに伝わってくる。STEREO 50に搭載された「3Dホログラフィックサウンド」のスイッチをオンにすると、音に滑らかさと雄弁さが加味され、よく作り込まれた超高級スピーカーを聴いているような快適さが享受できるようになる。低音の質と量も明らかに上昇しており、384kHz/32bitのオルガンはトールボーイ型機さながらのペダルトーンが得られた。


STEREO 50に搭載されたヘッドフォンアンプは、ハイインピーダンスのヘッドフォンも視野にいれた強力なドライブ能力を誇る。φ6.3mmステレオ標準とφ3.5mmステレオミニは別々に端子を用意
STEREO 50はヘッドフォンアンプとしても非常に優れている。今回はゼンハイザーのハイエンドモデルのHD800を鳴らしてみたのだが、そのドライブ能力は素晴らしいのひと言。基本的にはmicro iDSDやiCANと同じ傾向の音なのだが、真空管式パワーアンプの電源部から給電されているせいか、音の立派さがまるで違うのだ。聴こえてくるのは同じ音楽ではあるのだが、聴き心地に非常に余裕がある。これはヘッドフォンアンプの王者の音である。同程度のクオリティを持つヘッドフォンアンプを探してもそうは見つからない。
最後にBluetoothでの音を聴いてみたが、そのサウンドは侮れない。BGMとしてはもとより、シリアスな音楽鑑賞にも十分に耐えられることが確認できた。
ニューカマーにとってもカムパッカーにとっても要注目の超高性能システムである。

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