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神経科学や音響心理学、カプセル化とメタデータなど活用

英メリディアンのスチュワート氏、新ロスレスフォーマット「MQA」の詳細を紹介

ファイル・ウェブ編集部
2014年12月08日
英メリディアン・オーディオ社は、先日、独自技術による新ロスレスフォーマット「MQA」を発表した(関連ニュース)。同社創業者であるボブ・スチュワートの言葉をもとに、その特徴を紹介していこう。

「MQA」のロゴ

MQAを紹介するボブ・スチュワート氏

スチュワート氏は、「リスナーに録音時のスタジオサウンドを正確に届けるという目的は、とうてい達成されたとは言えない」と現状の課題を指摘。この一因には、マイクで拾った音が耳に届くまでの、一つ一つのプロセスが品位を低下させていることがあるという。

「この品質のロスは、低音質という犠牲によって利便性を獲得したパーソナルステレオデバイスの登場によって、より深刻なものとなった。音楽の生き生きとした要素は、ポケットに何千曲もの楽曲を入れたり、クラウドに数百万曲の楽曲を用意するために捨てられてしまった」と同氏は続ける。

スチュワート氏はまた、「一方で、制作中のものとオーディオファイルのあいだには、高いサンプリングレートやデータレートで楽曲を取り込む『軍拡競争』のようなものがあった」と指摘。「たしかに高いサンプリングレートはサウンドを改善することができるが、作成されたエンコーディングスペースのほとんどは使われない。まるでほとんどが空である大きな箱に音楽を入れているようなものだ。非効率だし、音楽の本質がどこにあるか判断できないため、破損せずに本質をすくい上げるのは困難だ」と問題提起する。

この問題を解決するため、スチュワート氏が新たに開発したのがMQAだ。MQAは「Master Quality Authenticated」の頭文字を取ったもので、「スタジオクオリティーサウンド」「利便性」「エンド・トゥー・エンド」という、同氏が考える「3つの理想」をもたらすのだという。

MQAについてスチュワート氏は「リスナーが聞いているものがマスター音源と同じものであることを確実にするため、オリジナルレコーディングのエッセンスを記録し、それを伝えるための全く新しいコンセプトを用いている」と説明する。

より具体的に説明すると、MQAでは、マスター音源の一つ一つの細かな音を、新しいサンプリング方法によって記録するという。「この新たなサンプリングメソッドは、我々が聞くことのできる見事な時分割を決定し、プレーヤーに届けることができる。我々はこれを “カプセル化” プロセスと呼んでいる。最新の神経科学と音響心理学の研究で、我々がどうやって音を特定し、識別するかがわかってきているが、数マイクロ秒のタイミングが重要であるということが判明している」とし、さらに「この新しい技術は、極限の時間的な正確さと、ダイナミックレンジの広さを兼ね備えている」と続ける。

MQAはまた、洗練されたメタデータを使ってロスレス処理を行うことも特徴だと同氏は説明。このメタデータには、レコーディングの詳細や、オリジナルのアナログ信号を正確に再構築するためのデコーダー/DACへの指示などが含まれている。またMQAはどのロスレスコンテナでも動作させることができ、これにはALAC、FLAC、WAVなどが含まれる。

これらの工夫の結果、MQAは「超ハイサンプリングレートの巨大なファイルシステムとは異なり、非常に効率的にエンコードされ、それでありながらオリジナルのサウンドを保護し、収納できる」(スチュワート氏)という。

MQAはまた、シンプルなデコーダーでデコードできるのも特徴という。アプリ、ソフトウェアプレーヤー、またはハードウェアなどでデコードすることが可能とのことだ。リスナーが聞いているものが、元のマスターレコーディングが引き渡されたものであることを証明するインジケーターとともに、スタジオが承認した正確な音を再構築できる、としている。

なお、MQAはサンプリングレート44.1kHzから768kHzのあいだで動作する。また、ファイルダウンロードだけでなくストリーミングに使える点も特徴だ。

MQAにはほかにも特徴がある。MQAのデコーダーを持っていない場合でも、MQAファイルを再生すれば、スタジオクオリティには及ばないが、CD品位での再生が行えるのだという。

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