<TIAS2006:オルトフォン>スピーカー“コンコルド・シリーズ”を筆頭に注目機が目白押し

2006/10/21
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今年のオルトフォンは盛りだくさんだ。まず目を引くのはスピーカーだろう。同社「コンコルド105」は、手のひらに載る小型ながら、温かく肉太で鳴りっぷりのいい豪快サウンドで聴くものを驚かせてくれる。同モデルはもう発売されてずいぶんになるが、このたび発売されたのはその兄に当たる205と305である。205は10cmウーファーと2cmドーム型トゥイーター、305は15cmウーファーと2.5cmドーム型トゥイーターによる2ウェイ構成だ。


大ベストセラー、コンコルド105の上級機205と305。105より幾分落ち着いたたたずまいだが、鳴りっぷりの良さ、耳によくなじむ温かみのあるサウンド傾向などは、弟からしっかりと引き継いでいる
コンコルド・シリーズで最も注目すべきは、日本国内向けの専用サウンド・チューニングが施されていること。欧米の言語は破裂音が多く基本周波数は500Hz〜7kHzに達するが、日本語は母音が多く基本周波数が300Hz〜3kHzなのだとか。その中音域を温かく柔らかに響かせることで、「鮭が生まれた川に帰るように」日本人の心に響くスピーカーが生まれるのだという。確かに私たちはコンコルドのサウンドに大変な感銘を受けた。海外のオーディオファイルはこの音をどう感じているのか、話を聞いてみたくなった。


プリメインアンプLMA-80。シンプルでクリーンなデザインといい、出力を欲張らずMOS-FETを余裕たっぷりにドライブさせてやる手法といい、大変によく磨き抜かれた設計というイメージの作品である
もう一つ、同社ブースで見逃せないのは、新たに投入されるプリメインアンプLMA-80だ。出力は40W+40Wと控えめだが、徹底して振動を抑えながら大きなゆとりを持たせることの可能な300VAのRコア型トランスと10,000μF×4の電源コンデンサーという電源部によって、FET出力素子を余裕たっぷりに動作させるという設計が大いなる魅力だ。オルトフォンだけにPHONO(MM)ももちろん対応で、「アナログをこそ聴いてほしいアンプ」ということだ。近日発売、価格未定ということだったが、どうやら30万円台くらいになりそうである。


新しい木質G型シェルを採用したSPU。シナジーとシルバ・マイスターは例の漆塗りGシェルが採用されているが、その他の製品は微妙に仕上げを変更しながらこのシェルが用いられている
マイナーチェンジものもいくつかある。まずカートリッジでは、何とSPUのGシェルが新しい木質のものに変更されるという。わが家のSPUは従来の合金シェルなので、ぜひ聴き比べてみたい。


単体トーンアームAS-309S。精度の高いジンバルサスペンションにカバーが取り付けられたことで、マイクロダストなどに強くなった。実効長326mmのロングアーム、229mmのAS-212Sもある
それからトーンアームのASシリーズが、サポート部にカバーが取り付けられ、新たにインサイドフォース・キャンセラーを装備、魅力が一段と増した。今や世界的にもユニバーサル型の単体アームはごく少数派になってしまっているだけに、貴重な製品である。


昇圧トランスの新作ST-10。入力インピーダンス2〜6Ωと、オルトフォンらしい低インピーダンス対応型のトランスである
昇圧トランスT-10の後継としてST-10が出たのも見逃せない。今作は内部トランスから磁気シールドまで左右独立としパーツも高品位化されたことで、性能、信頼性、耐久性が大幅に向上しているという。


(炭山アキラ プロフィール

TIAS2006report

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