ケーブルブランド探訪記(ESOTERIC編その1 技術解説)

2004/06/03
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●今回よりオーディオブランド探訪記は初登場エソテリックブランドのケーブルラインナップをご紹介する。同ブランドは三菱電線工業鰍フ導体素材であるMEXCELを採用し、潟Aクロジャパンとティアック エソテリック カンパニーの共同開発によって誕生した国内最高級ケーブルシリーズである。この新シリーズは「Stressfree ESOTERIC MEXCELシリーズ」と呼ばれ、ギガヘルツ帯域でのフラットな伝送を獲得するために開発されたラインナップである。さて、まず第1回目はこの「MEXCELシリーズ」に集約された技術の数々をご紹介していくこととする。


■導体素材=7N(99.99999%以上)クラス高純度銅
導体素材には高純度銅の世界的量産メーカーである三菱マテリアル鰍フ7Nクラス高純度銅を母材として採用している。7Nクラスの高純度銅とは99.99999%クラスの純度を有し、しかも金属不純物のトータル含有量が0.1ppm程度以下である事を原則としているという。不純物測定にはGD-MS(グロー放電質量分析装置)と呼ばれる微量測定装置が用いられ、高度な分析作業が行われている。

■導体形状=極薄平角MEXCEL
 同シリーズの名称ともなっているMEXCELとは三菱電線工業鰍ェ開発した、新しいエナメル線であり、断面形状が平角型となっている点に大きな特徴がある。従来の平角エナメル線は断面の長方形の4つの角への絶縁被膜形成が困難なため、丸導体がやむなく使用されていた。しかし、同社では“絶縁樹脂の電気メッキ”ともいえる画期的なMEDIS電着絶縁法を開発した。これにより丸導体のように隙間空間のない高密度な超高性能コイルの製造を可能としたのである。
平角線を使用できることによる利点は大変大きい。同じ断面積の丸線よりも導体の表面積が格段に広くなるため、断面全体に均一な伝送が可能となり、表皮効果をさらに抑制することができるのである。



■端子=新設計の高音質プラグ
 同シリーズを開発するにあたっては、RCAやXLRコネクター、BNCの構造や素材に関しても、新たな視点を投入している。世界初のカーボンファブリックスリーブのピンプラグカバーを装着したRCAプラグには、音質的に優れたリン青銅を採用。また、XLRプラグには超重量級の黄銅のムク材を採用し、どちらのプラグにも最高級の肉厚ロジウムメッキが施されている。さらにRCAプラグのセンターピンやXLRのピンはリン青銅を使った中空パイプ構造とすることで、表面積が通常のピン形状に比べ約2倍近になり、音質面でMEXCELケーブルの性能をさらに高めている。BNC端子にも、ピンプラグと同じ音質的に優れたリン青銅と最高級肉厚ロジウムメッキを採用(センターピンのみ肉厚の24K直メッキ)している。
スピーカー端子には精密機器で丹念に加工されたリン青銅製バナナプラグや6N銅のYラグを用意している。どちらも肉厚24K直メッキを採用することで、経年変化を抑制することができる。また、どちらの端子にもハンダを使用しないピュア伝送のスクリューマウント方式を採用しているのも大きな特徴である。


 また、同シリーズの製品は高純度銅に最新のアニール処理(特殊焼鈍処理)を施すことで、大きな外部応力でもでない限り、組織を健全な状態に復元することができる。さらに電流が流れることでエージング=セルフアニール環境が促進され、残留歪を減少させ、組織が健全に回復して、高音質な環境を実現することができるのである。
 
 ラインナップは大きく分けて2芯構造の7N-A2500シリーズと、同軸構造の7N-DA6100/DA6000、そしてスピーカーケーブルの7N-S20000/S10000で構成されている。次回より具体的なラインナップをご紹介していくので、ぜひともお楽しみいただきたい。(季刊・オーディオアクセサリー編集部)

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