彩球オーディオクラブの定例イベント 報告レポート

2003/04/04
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●彩球オーデイオクラブ、第18回作品発表会レポート

埼玉を中心としたオーディオ愛好者の会、「彩球オーディオクラブ」の第18回の定例発表会が、さる2月1日(土)に群馬県館林市のシーフードレストランTSUKASAにて開催された。その模様のレポートが、同会メンバーの嶋田氏より届けられたので、ご報告する。(季刊・オーディオアクセサリー編集部)

◆新春発表会新年会、“島田先生を偲ぶ”会の報告

当日は60人程の参加者を迎え店内は満員です。新年会も兼ねていましたが“島田先生を偲ぶ”の趣旨が急濾加わりました。我々の仲間であり良き先輩でも有った、島田貴光氏が昨年暮に突如として亡くなられたのです。(一昨年より食道ガンの治療中でした)あまりの事に会長を始として会員一人に至るまで茫然自失となり、言葉を失いました。

樫村会長の涙声の追悼のあいさつには、胸をつくものが有ります。次いで原清介氏は元職場の先輩を偲ぶお立場から、東芝EMIにおける録音現場での島田氏との関わり合いを、昨日の事のように淡々とお話し下されたことが印象的でした。

第何回目だったかの発表会の折り、ゲストとして島田さんが12AU6パラプッシュのアンプを発表され、出力管を一本ずつ取りはずす実験などをして、歪みの無い澄んだ音を聴かせていただいた事が思い出されます。そんな茶目っ気もある先生で誰にでも好かれる人でした。第10回の当会記念イベントで大活躍された時のビデオテープを全員で見せていただき、明日からの作品作りの糧として、今は亡き島田先生とお別れをしました。

今回の発表会主題である小出力アンプ三種類が発表され、始めに関根勇二氏製作の8334PPアンプでは出力1W程度のアンプにしては歪み感が少なくやや抜けが悪いながら、音に厚みがあり、使用SPのマクソニック励磁型2wayの高能率システムに助けられてかバイオリンソナタを好ましく表現しており、出力部も含め3段構成でオーバーオールにNFBを施していますが裸特性も良いのを伺わせるアンプでした。

次に発表された中沢雅生氏の171Aシングルアンプでは全球直熱管かと見紛うほどの出来映えです。しかもこのような古典管にも関わらずフィックスドバイアスとし独自性を強調しておりました。やはり出力0.7Wでは限界が感じられますがEF.ジェラルドとサッチモのヴォーカルが好ましく感じられました。

ラストは小櫃政美氏のWE‐101Dを用いたシングルアンプです。オペラ、アイーダのトランペット音が緻密で有り、教会コーラスカンターテドミノでは厚みと実在感が表現されている音です。球の違いがはっきり認識出来る仕上がりで、かなり完成された作品と思います。

休息を挟んでからスピーカー3種が発表になり、第一作目戸澤克俊氏の吸音レゾネータと大川ウイングを施した三菱610は、オリジナルとは一味違った大人の音に仕上がっている作品でした。

次に大沢久司氏製作の超高感度の自作ユニットです。初期感度が高く、帯域的に高域寄りで、その為かメリハリが利いている感じがします。このSPは関根氏製作のアンプを使用しましたが、やや高域がきついかなと感じました。又それが魅力かもしれません。

ラストは武宮寿一氏製作のフェルト製後面開放箱システムに、三菱610を独自の工夫をこらしてマウントしております。聴きやすい歪み感のない豊かな音が出ておりました。フルオーケストラではややきつめかなと言う部分も若干感じられました。

発表会最後の実験コーナーは、香川哲哉氏によるトランスコア材4種の比較試聴です。香川氏はこの実験のために、El34シングルOPTレス実験アンプの製作と同一回路4種、8個のOPTを作っていただき、この努力に一同大いに感謝の心でスタートです。用意された物はオリエント、ハイライト、パーマロイ、新タイプのアモルファスです。私の印象はオリエントはバランスのとれた聞き慣れた音、ハイライトはやや帯域は狭いが力強い音、パーマロイは質感にすぐれ上品さが感じられ、最後の新アモルファスは倍音も綺麗に表現され力感もあり質感にも優れておりアモルファスを見直したのは私だけではなさそうです。参加者一同貴重な体験に大いに満足した様子でした。

恒例の新年会には会員の鈴木登志雄氏が率いるジャズコンボの生演奏と、豊富でおいしいお料理で大いに盛り上がり、年頭にふさわしい充実した時聞が過ごせました。彩球オーディオクラブの催しに参加すると何か得る物があるようで、皆様も時間を都合されて参加してみてはいかがでしょうか。

なお第19回は“日本の音”のテーマにて6月1日(日)久喜総合文化会館にて開かれるようで、大いに期待したいと思います。(嶋田)

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