Lifesytle/3･2･1 BOSE新製品レポート

毎月連載のPhile-web特別企画「Sound Adventure（サウンド・アドベンチャー）」では、オーディオ・ビジュアルエンターテインメントの最前線で活躍される評論家の方々を「ナビゲーター」に迎え、いま最も注目を浴びるデジタルエンターテインメントのスタイルを徹底探求します。最新オーディオ・ビジュアル製品のレビューやハンドリングレポートも毎回紹介して行きます。

オーディオ・ビジュアル・エンターテイメントは、日々変化を続けている。その中でも注目したいのが、ホームシアターと音楽再生を取り巻く今日の環境の変化だ。

■広がるデジタルハイビジョン放送とサラウンド音声

オーディオ・ビジュアル・エンターテイメントを取り巻く新しいトピックスの一つとして、初めに2003年12月にスタートした地上デジタルをきっかけに進んだデジタルハイビジョン放送の普及を挙げたい。デジタル放送のメリットとしてはハイビジョン画質の実現ばかりが話題になりがちだが、音声もマルチチャンネルに対応しており、映画を中心に5.1chサラウンドで放送されているケースも多い。従来ホームシアターとはDVDを中心としたものだったが、テレビ放送にもサラウンド音声が導入されることで、より一般化が進んでいるのだ。

その一方で、デジタル放送チューナーを内蔵した市販の薄型大画面テレビはステレオスピーカーのみの搭載となっているため、サラウンド音声を楽しむためには別途ホームシアターシステムを導入することとなる。なお、AVアンプやスピーカーなどは基本的にDVDを中心としたホームシアター環境と同じものを使用できるが、デジタル放送で用いられる音声形式はDVDビデオと異なるMPEG-2 AAC（Advanced Audio Coding）形式となっており、数年前のAVアンプでは再生に対応していないモデルもあるため、買い換えが進むポイントにもなっている。

■薄型大画面テレビとDVDレコーダーを軸としたホームシアターの登場

▲「デジタルハイビジョン」をキーワードに、全国の家電販売店では大画面テレビやデジタルレコーダーなどの関連商品を積極的に販売する。これに伴って、現在ホームシアターは着実に幅広いユーザー層へと浸透している
[写真提供：Senka 21]

DVD再生環境にも大きな変化が訪れている。DVDレコーダーの普及だ。従来ホームシアター志向の強かったDVD再生環境も、DVDレコーダーの登場によりテレビと組み合わせてリビングに置かれるようになり、家族で気軽にDVDビデオを楽しむユーザーも増えた。また、ホームシアター構築という点から見ていくと、薄型大画面テレビとDVDレコーダーという環境に加えてホームシアター向けのスピーカーパッケージを追加するのみで、最適な環境を構築できるようになったのが重要なポイントだろう。

リビングへのスピーカー設置という面でも大きな変化があった。それが昨今話題を呼ぶフロントサラウンドシステムであり、5.1chスピーカーの設置が難しい住環境でも2本のスピーカーだけを用いてサラウンド音声を構築できるようになった。また、5.1chスピーカーシステムでも、音響的に万全ではない空間に設置した場合でも良好なサラウンドを実現できる自動音場補正機能の搭載も進んでおり、より手軽に導入できるシステムが登場してきている。

■カジュアルホームシアター実現に、この春ボーズが魅力的な商品を発表

DVD再生とデジタル放送を中心としたカジュアルホームシアター向けの製品は数多く発表されているが、フロントサラウンドの実現と、手軽に高音質のホームシアターを実現できるパッケージとしては、この春BOSEから発売される3・2・1GS Series II、3・2・1 Series IIに注目したい。

▲ホームエンターテインメントに、フロントサラウンドという新たなスタイルを提案した�BOSEの「3・2・1シリーズ」が、この春「Series II」へと進化する

製品はDVD/CDプレイヤー機能とFM/AMチューナーを内蔵したメディアセンターと、2本のスピーカー、重低音の再生を実現するベースモジュールを組み合わせている。メディアセンターには独自のデジタルサラウンドプロセッサー「TrueSpace」や、高音質音声デコーダー「BoseDigital」を搭載し、「スーパーフロントサラウンド」のスペックを前面に訴求している。また、MPEG-2 AACの再生にも対応することで、デジタル放送の音声もサポートする。ハイエンドのGSはジュエル・アレイ、スタンダードモデルはイメージ・アレイと、それぞれに個性豊かなスピーカーを採用しており、設置環境なども考慮してモデルを選ぶと良いだろう。

■デジタルジュークボックスの登場と普及

▲iPodは幅広い層のユーザーを獲得するポータブル・デジタルオーディオのヒットモデル。静止画再生が可能な「iPod photo」も話題の製品だ

オーディオ製品の周辺環境にも大きな流れがある。iPodを始めとするデジタルオーディオプレイヤーのブレイクだ。MP3などデジタル音声を利用したモバイルオーディオプレイヤーは従来から存在していたが、近年になり手持ちのCDライブラリーをデジタル圧縮してパソコンに取り込んで管理するユーザーが急増している。これは、音楽CDをライブラリー化して取り込んで楽しむという、昨今急速にポピュラリティーを高めつつある音楽への接し方の一つと言えるだろう。

このデジタル音楽の流れは、モバイルオーディオに限ったものではない。現在では、AV機器としての切り口からデジタルオーディオライブラリーを構築させるような製品も登場してきているのだ。それがハードディスクを搭載して自分で音楽CDから楽曲を取り込めるデジタルジュークボックスとも言える製品で、デジタルライブラリーの存在を意識することなく音楽を楽しむためのものと言って良いだろう。また、iPodを接続することでホームオーディオとして使用する製品も登場してきており、今後の動向が気になるところだ。日本では普及の遅れているインターネットによる音楽配信サービスも、将来ここに関わってくるジャンルでもある。

■高品位なデジタルジュークボックスを実現する「Lifestyleシリーズ」

▲Lifestyle 48はユーザーの好みを学習して自動的に視聴時に最適な楽曲を選んでくれる「uMusicストレージ機能」を搭載する。楽曲の再生中にリモコンの「プラス」と「マイナス」ボタンで評価することにより、ユーザーの好みを学習させることができる

デジタルオーディオ向けの新しい機能を搭載したジュークボックス製品として注目したいのは、BOSEの新しいホームシアターシステムであるLifestyle 48だ。

本機の最大の特徴としては、インテリジェント・ミュージックシステム「uMusic」機能を搭載することで、ベースモジュール自体にCDからMP3形式での楽曲取り込み機能を実現したところだ。CD約350枚分の取り込みが可能となり、デジタルライブラリをユーザーの好みを学習して再生する機能も備えている。ハードディスク搭載コンポなども同一ジャンルの製品と言っても良いが、そこに「マシンインテリジェンスとの対話」という、一歩先を行く提案性を備えているところに注目したい。

なお、この春のLifestyleシリーズには、入門者向けとして手軽な5.1ch環境を実現するLifestyle 18 Series IIもある。本機は、自動音場補正システム「ADAPTiQ」を搭載しているため、入門者にも部屋に合わせたルームチューニングを自動で行うことができる。

■カジュアル化の進むオーディオ・ビジュアル・エンターテイメント

今回取り上げたオーディオ・ビジュアル・エンターテイメントのトピックスは、どれもホームシアターや音楽を身近にするものばかりだ。生活の一部として楽しむカジュアル志向こそが、オーディオ・ビジュアル・エンターテイメントの新たな流れと言えるだろう。

■BOSE 2005年ホームシアター新製品のラインナップ

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BOSE　ホームシアターシステム
Lifestyle 48　\499,800（税込）
2005年6月15日発売

【What is Lifestyle 48 ?】
ボーズのサラウンドホームシアターシステムにおける定番ヒットモデルとして人気を集める「LS（Lifestyle）シリーズ」最上位機。インテリジェント・ミュージックシステム「uMusic」の搭載が話題を呼んでいる。

【SPEC】＜サテライトスピーカー（防磁型）＞●ユニット構成：5.0cmドライバー×2（1本あたり） ●外形寸法：57W×113H×83Dmm ●質量：350g（1本） ●カラー：シルバー＜メディアセンター＞ ●外形寸法：399W×94H×292Dmm ●質量：4.5kg ●最大消費電力：65W プリアンプ部●音声入力：アナログ/デジタル（同軸/光）×4 ●音声出力：アナログ/デジタル×1 ●映像入力：コンポジット×1、S端子×1 ●映像出力：コンポジット×1、S端子×1、コンポーネント×1 DVD/CDプレーヤー部 ●内蔵デコーダー：DTS/DolbyDigital/MPEG-2 AAC/BoseDigital/MP3/PCM ●問い合わせ先：ボーズ（株）インフォメーションセンター TEL/03-5489-0955

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BOSE　ホームシアターシステム
Lifestyle 18 Series II 　\249,900（税込）
2005年4月21日発売

【What is Lifestyle 18 Seires II ?】
新「LS（Lifestyle）シリーズ」のスタンダードモデル。独自のデジタル自動音場補正システム「ADAPTiQ」により、入門者にも簡単に最良のサラウンド環境がセットアップできる。MPEG-2 AACのデコーダーも搭載する。

【SPEC】＜サテライトスピーカー（防磁型）＞●ユニット構成：6.0cmドライバー×1（1本あたり） ●外形寸法：78W×78H×104Dmm ●質量：550g（1本） ●カラー：ブラック＜ベースモジュール（非防磁型）＞ ●ユニット構成：13.0cmウーファー×2 ●外形寸法：206W×409H×634Dmm ●質量：17.5kg/内蔵アンプ部 ●消費電力：350W ＜メディアセンター＞ ●外形寸法：399W×94H×292Dmm ●質量：4.5kg ●最大消費電力：65W プリアンプ部/●音声入力：アナログ/デジタル（同軸/光）×4 ●音声出力：アナログ/デジタル×1 ●映像入力：コンポジット×1、S端子×1 ●映像出力：コンポジット×1、S端子×1、コンポーネント×1 DVD/CDプレーヤー部 ●内蔵デコーダー：DTS/DolbyDigital/MPEG-2 AAC/BoseDigital/MP3/PCM ●問い合わせ先：ボーズ（株）インフォメーションセンター TEL/03-5489-0955

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BOSE　フロントサラウンドシステム
3・2・1 GS Series II　\188,790（税込）
2005年4月21日発売

【What is 3・2・1GS Series II ?】
前方2本のスピーカーだけで迫力のホームシアターサラウンドを実現する「3・2・1」シリーズの最上位機種。手のひらサイズのジュエルアレイスピーカーにベースモジュールとメディアセンターで構成され、それぞれを専用のケーブルで簡単につないで楽しめる。

【SPEC】＜ジュエルアレイ・スピーカー（防磁型）＞●ユニット構成：5.0cmドライバー×2（1本あたり） ●外形寸法：142W×66H×107Dmm ●質量：440g（1本） ●カラー：シルバー＜ベースモジュール（非防磁型）＞●ユニット構成：13.0cmウーファー×1 ●外形寸法：222W×367H×485Dmm ●質量：12.0kg ●最大消費電力：300W ＜メディアセンター部＞●音声入力：アナログ/デジタル×3系統 ●映像入力：コンポジット×1、S×1 ●映像出力：コンポジット×1、S×1、コンポーネント×1 ●外形寸法：349W×83H×254Dmm ●質量：3.0kg（1本） ●内蔵デコーダー：DTS/DolbyDigital/MPEG-2 AAC/BoseDigital/MP3/PCM ●問い合わせ先：ボーズ（株）インフォメーションセンター TEL/03-5489-0955

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BOSE　フロントサラウンドシステム
3・2・1 Series II　\157,290（税込）
2005年4月21日発売

【What is 3・2・1 Series II ?】
「3・2・1」シリーズのスタンダードモデル。上位機種の持つ性能をそのままに、より手軽に迫力のホームシアターが楽しめる。1本のスピーカーに2つのユニットを配置したイメージアレイスピーカーを採用し、大型スピーカー並みのサウンドを再生する。

【SPEC】＜イメージアレイ・スピーカー（防磁型）＞●ユニット構成：6.0cmドライバー×2（1本あたり） ●外形寸法：200W×88H×136Dmm ●質量：1.2kg（1本） ●カラー：ブラック＜ベースモジュール（非防磁型）＞●ユニット構成：13.0cmウーファー×1 ●外形寸法：222W×367H×485Dmm ●質量：12.0kg ●最大消費電力：300W ＜メディアセンター部＞●音声入力：アナログ/デジタル×3系統 ●映像入力：コンポジット×1、S×1 ●映像出力：コンポジット×1、S×1、コンポーネント×1 ●外形寸法：349W×83H×254Dmm ●質量：3.0kg（1本） ●内蔵デコーダー：DTS/DolbyDigital/MPEG-2 AAC/BoseDigital/MP3/PCM ●問い合わせ先：ボーズ（株）インフォメーションセンター TEL/03-5489-0955

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折原一也（Kazuya Orihara）

埼玉県出身。コンピューター系出版社編集職を経た後、フリーライターとして雑誌・ムック等に寄稿し、現在はデジタル家電をはじめとするAVに活動フィールドを移す。PCテクノロジーをベースとしたデジタル機器に精通し、AV/PCを問わず実用性を追求しながら両者を使い分ける実践派。