“振動対策”のプロフェッショナル。IsoAcousticsのインシュレーター効果を5人の評論家が徹底検証!
井上千岳/炭山アキラ/角田郁雄/生形三郎/園田洋世2012年にカナダで設立された音響アイソレーションの専業ブランドであるIsoAcoustics(アイソアコースティクス)。創業当時からプロユースを中心に大きな話題となり、ホーム用としても近年認知を高めている。その代表モデルを5名の評論家諸氏が実際に試聴、音質効果の魅力を体験する。
振動を遮断する理想のアイソレーション機構
IsoAcousticsは2012年に設立された、カナダの音響アイソレーション製品専門メーカーである。創設者・CEOのデイブ・モリソン氏はスタジオの設計・建設に長く携わってきた放送技術の専門家で、その経験から従来のフォームやゴム製アイソレーターでは得られない、理想的なアイソレーション機構を開発し製品化を行うことになったのである。
同社によれば、オーディオ機器の設置には3つの問題があるという。まずは設置面の共振による不要な音の発生。そして設置面からの伝搬による床や壁の振動、また他の設置物の振動、さらにスピーカー自体に戻ってくる振動。これらがノイズとなって再生音を濁らせる。
特許技術アコースティック・アイソレーターはこれらの振動を効果的にオーディオ機器から切り離すというもので、上下2個の構造体を特殊なエラストマーで接続した形状を持っている。これによって使用する機器の重量を支えながら、振動を吸収することが可能になる。
カナダ国立研究機関(NRC)の無響室・レーザー振動計測による各種テストの結果、振動が大幅に減衰し、特にスピーカーに使用した際の、その反射が強力に抑えられていることが判明した。またアイソレーターにありがちな低音の減少も生じないことが明らかになっている。
脚部を交換するタイプから荷重に合わせたフットも揃う
製品の主なラインナップはスピーカーの脚部を交換するタイプの“GAIAシリーズ”で、用途やサイズ、重量などに合わせていくつかのシリーズが用意されている。同シリーズを進化させた“GAIA Neoシリーズ”も新たにラインナップに加わった。
また、脚部を交換する必要のないアイソレーションフットである“OREAシリーズ”にも注目したい。使用する機器の荷重に合わせて4つのグレードが揃う。
また、デスクトップスピーカー用スタンドとして開発された“Apertaシリーズ”はコンパクトサイズから大型ブックシェルフ用まで3つのサイズが揃っている。
なお、ホームページではスピーカーや機材のメーカー名と製品名を入力すると、最適な製品を推奨してくれる。ここには付属するネジのサイズなども考慮されているので、便利に活用できるはずだ。
GAIA II - 重心が安定して力強い音調に
さて、早速スピーカーで試してみる。使用するのはMonitor Audioの「Platinum 200 3G」である。検索システムにモデル名を入れると「GAIA II」と「GAIA II Neo」を推奨されたので、この2モデルを試してみよう。
まずは「GAIA II」から、耐荷重は4個で55kgの中型フロア・スピーカー用インシュレーターである。
基本構造は先に触れたとおりだが、素材はステンレス・スチール。スピーカーのフットを外し、代わりにGAIAのネジを挿し込んで最後にロックナットで締め付ける。
重心が安定して力強い音調だ。音のひとつひとつに芯が入ったように骨格がしっかりして、腰の落ちた鳴り方をする。ただしぼってりと重くなることはなく、立ち上がりに勢いがあり、エネルギッシュに飛び出してくる鳴り方だ。
バロックは古楽器のヴァイオリンやチェロが勢いよく立ち上がり、低音部でもふやけることなく質感が明瞭だ。その上に潤いのある余韻が乗っている。重くないのだ。
ピアノは線が太く、タッチが厚手で暖かみのある出方をする。やはり重心が下がっている印象で、その手応えのある中・低音が重苦しくもふやけることもなくくっきり出てくるところが聴きどころだ。
コーラスは濁りのない出方だが、女声としては肉質感が捉えやすい。ハーモニーが厚く重なり、弱音部でのデリケートな表情も丁寧に引き出されて安定感が豊かだ。
オーケストラはゆったりと流れ、音楽が透明感に富んでいる。どの楽器も透き通るような純度を感じさせるが、質感が厚手で痩せることがない。背景も静かで、表情のひとつひとつをリアルに感じる。
GAIA II Neo -表現力がさらに高まり悠々と鳴る
次はこれを「GAIA II Neo」に交換する。新しいバージョンで、底部リングを回転させて高さ調整が可能。また底部がピボットとなり、不均一な床面でも安定した設置ができる。さらにOリングを使用した構造によってロックナットが不要。取り付けが簡単になった。
表現がさらに大きく、重心を安定させながら高低両端まで伸びやかな鳴り方をする。このため質感がより柔軟で強弱の起伏に富み、響きにも柔らかな潤いが乗っている。バロックの弦楽器が古楽器らしい艶やかさと瑞々しさを加え、新鮮で刺々しさがない。聴いていてなじみやすい音である。
ピアノは暖色調の色彩感でタッチの質感も厚手だが、同時に手触りは軽快で重苦しい厚ぼったさは感じられない。静かでひっそりとした演奏をていねいに引き出している。
コーラスは声の芯が締まって純度が高く、非常に分離がいい。ノイズがなく出方が安定している。腰のしっかり落ちた印象がある。
オーケストラは静かで広々とした鳴り方をする。ホルンやフルートも弦楽器も伸びやかで楽々とした出方だ。空間の透明度が深まったようにも感じられるし、ざわざわした感触がなく全体が非常に落ち着いている。暴れがなく、全てが悠々と鳴っている印象である。
OREA Graphite - ストリーマーで絶大な効果
最後にソース機器のストリーマーに「OREA Graphite」を使用してみる。耐荷重は1個あたり1.8kgの小型インシュレーターである。
回転機構などがないにも関わらず、ネットワーク機器も意外に振動の影響を受けやすい。ストリーミングでも何かが物足りないと思っていると、それが振動によるものであったりする。
ここでもそうで、OREAに乗せてみるとレンジが広く上下に伸びやかで一音ごとの輪郭が明瞭になる。細かな音数が増したように感じるが、ディテールの濁っていたのが解消されて出方が整ったためと推測できる。それに伴って音場が深く楽器の位置感も明確になってハイレゾらしい実体感が得られるのも確かだ。
微小レベルの振動が音に影響する現象の傍証ともなりそうだ。
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