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公開日 2025/11/26 16:00
新鋭ブランドの人気シリーズ最新機の実力は?

THIE AUDIO最新フラグシップイヤホン「Monarch MK IV」レビュー!「歴代最高に推せるモデル」と評論家も高評価

高橋 敦

THIEAUDIO「Monarch MKIV」オープン価格(予想実売価格:税込176,000円前後)※写真のカラーは「Stellashot」


ブランド史上最高を更新! Monarchシリーズが第4世代に進化


新鋭ブランドTHIEAUDIOが見せた驚きのスタートダッシュ。その原動力となった名機「Monarch」は、以降同社の看板としてMKII/IIIと世代を重ね、完成度を高めてきた。DD/BA/ESTのハイブリッド構成における各ドライバーの強化やクロスオーバー設定の見直し等を実施。キープコンセプトでいて技術的にはチャレンジングな進化を続けてきたシリーズだ。


であるが今夏2025年8月登場の最新世代「Monarch MKIV」における進化は、遂にこれまでの枠に収まらないものとなった。シリーズで初めて、そのサウンドチューニングの幅自体を拡張。すなわちSTANDARD/RUMBLEの2種類のチューニングを採用し、スイッチによるチューニングモード切替機能を搭載したのだ。


初代の登場から僅か数年にして定番の地位を確立した人気シリーズに訪れた最大の変革。その内容を見ていこう。







THIEAUDIO「Monarch MKIV」。フェイスプレートは標準カラーとして2種類、左の「Stellashot」と右の「Kaleidoglow」をラインアップ。


DD/BA/ESTを組み合わせた、ハイブリッドドライバー構成


土台となるDD/BA/ESTのドライバー構成は前の世代と共通だ。低域は8mm複合材振動板ダイナミックドライバー2基を等圧チャンバー設計で使用する「IMPACT2」システムが担当。中域と高域はそれぞれ2基/4基のSonion製BAドライバー、超高域は同じくSonion製の2基の静電型ドライバーが受け持つ。



片側3種10基のドライバーと音質変更スイッチを採用。4WAY構成で4つの独立した音導管を持つ。筐体は従来の医療グレード樹脂から、航空グレードの熱処理アルミ合金に更新されている。


ただしそのネットワーク周りにはこの世代でもさらなる調整が加えられている。高域と超高域のクロスオーバーを見直し、ESTは10〜40kHzの再生に特化させる設計となったのだ。それにより高域から超広域のつながりと超高域の再生能力をさらに向上させているとのこと。クロスオーバー周りはマルチドライバーイヤホンにおける基本にして永遠の課題。そこへの継続的な注力は同社の開発姿勢の実直さの表れとも言えるだろう。


他の大きな変化としては、筐体材は従来の医療グレード樹脂から航空グレード熱処理アルミ合金に。多少重くなった気はするが、耳にフィットする形状のおかげで装着安定性は変わらず良好だ。



ケーブルは同社最新世代のモジュラーケーブル「Chocolate」が付属。導体には超高純度無酸素銅と銀メッキ無酸素銅を採用。モジュラープラグ設計により、4.4mmバランスと3.5mmシングルエンドのどちらにも対応する。



イヤーチップはシリコン2種とフォーム1種の3種を同梱。そのほかキャリングケースやステッカーシートも付属する。


音質を変更できる、チューニングモード切替スイッチを搭載


とここまでがキープコンセプトでのブラッシュアップ的な進化の部分。残るはシリーズ最大の変革たるチューニングモードだ。


イヤホン本体のスイッチでSTANDARD/RUMBLEを切り替える仕組みとなっている。
 


 



イヤホン本体にモード切り替えスイッチが搭載されている。赤側がSTANDARDモード、無印がRUMBLEモードだという。


 STANDARDモードは「スタジオニュートラル」なサウンドと説明されており、総じて中低域の速さや正確性、クリーンさを特に意識したチューニングのようだ。


対して「轟音」のような意味のモード名を与えられたRUMBLEモードは、ローミッドのクロスオーバーを緩めることでローエンドとローミッドを強化とのこと。ダイナミック型の担当範囲を広げることで中低域を充実させるモードといった理解でよいだろう。

あとは実際に聴いてみての判断だ。


ボーカルなどをマスキングせず、中低域をスイッチで調整できる


 STANDARDモードからチェックし始めると、その低域の出し方の絶妙さに強く納得させられた。こちらの時点で低音表現はすでに充実しており、その要素が必要な昨今のポップス等を楽しむのにも不足なし。それでいてその低音による中高域への悪影響、ベースが膨らんでボーカルを邪魔するとか音の質感がマスキングされるなどはほとんどない。


たとえば星街すいせい「もうどうなってもいいや」では、ESTらしい滑らかさをあえて効かせすぎない、ナチュラルな質感のボーカルが印象的だ。そしてその感触は中低域をさらに厚くしたRUMBLEモードにしても変わらない。


パッケージの周波数特性比較グラフを見てもハイミッド以上の帯域はどちらのモードでもほぼ変化がないが、実感としてもその通り。両モードは純粋に単純にローミッド以下のプッシュの強弱だけで使い分けられるだろう。


もちろん低域側の描写も常に良質。「もうどうなってもいいや」のベースはエフェクティブな音色が特徴的で、そのため音像や定位を明瞭に描き出すことが難しいのだが、このモデルはどちらのモードでもそこも余裕でクリア。音像が緩んで不明瞭になったりはしない。ローエンドの沈み込みも見事で、楽曲のドライブ感に急ブレーキをかける、中盤のサブベースの響きもしっかりと再現してくれる。
 
正直に言ってこのMonarch MKIV、THIEAUDIOイヤホンで歴代最高に推せるモデルだ。レビュアーとしては、RUMBLE/STANDARDの両モードが用意されているおかげでの、幅広いユーザーへのおすすめのしやすさからも推せる。ThieAudio未体験のイヤホンファンもぜひこのモデルでTHIEAUDIOサウンドを体感してみてほしい。



THIEAUDIO「Monarch MKIV」製品仕様


SPEC ●型式:ハイブリッド型 ●ドライバー構成:4ウェイ10ドライバー(8mmダイナミック型×2、BA×6、EST×2)●再生周波数帯域:10 - 44,000Hz ●インピーダンス:9〜10Ω ●ケーブルの長さ:1.2m ●付属品:イヤーピース(シリコン2種×3サイズ、フォーム1種×3サイズ)、着脱式プラグ(3.5mm/4.4mm)、クリーニングクロス、キャリングケース、ステッカーシートほか


(提供:ナイコム株式会社)

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