サンシャインの製品のコストパフォーマンスの高さには常に驚かされるが、今回も強力なインシュレーターがラインナップに加わった。「この異常な物価高の世の中で、物理特性的に最高の素材の製品を気軽にお手頃価格で楽しんで欲しい」という同社の願いが込められたインシュレーターである。

純マグネシウムを2枚重ねして間に超薄型制振シートをサンドし、スパイクベースとしても活用できるアイテムである。炭山アキラ氏によるレポートと、この製品の価格設定との対比をぜひとも見比べていただきたい。

純マグネシウムの間に超薄の制振シートをサンド

サンシャインは常に私たちへお手頃価格で効き目の大きなアクセサリー・グッズ類を提供してくれるが、今回の新製品は純度99.95％のマグネシウム円盤２枚の間に超薄型の制振シートが挟み込んである、4個1組8,800円（税別）という、にわかには信じられないような価格のインシュレーターである。スパイク受けに使える窪みも穿たれているので、レファレンス・スピーカースタンドのスパイクを受け、音を聴いてみた。

ノイズフロアが一気に下がり、音楽本来の姿が眼前に現れる

クラシックは一聴してノイズフロアがとてつもなく下がり、ちょっと太めだなと思っていた声の質感が均整の取れた体つきに変わり、抜けも大幅に向上した。オケは定位が一歩奥へ下がり、ホールの空間がかぐわしい空気に満たされたような爽やかさ、瑞々しさが味わえる。スパイク受けで音が大幅に変わることは何度も体験してきたが、この価格でこれだけの音の差が出てしまったことは経験がない。サンシャイン、恐るべしである。

ジャズは楽器の音がまるっきり生、という感じで耳へ飛び込んでくる。レファレンスに起用した廉価スピーカーにこの違いを映し出す器があったことにも驚きだが、たったの２万円足らずでこんな音が出てしまったことにも、もはや混乱をきたすレベルである。フュージョンは音に重みが消え、景気良く超ハイスピードのアタックが吹っ飛んでくる。やや膨らみ気味だったベースラインもピシリと締まり、聴き心地が大幅向上した。

ポップスは薄紙を重ねたような音場の重層性をしっかりと描き分けるだけでなく、それらの要素が有機的に一体となって音楽が紡がれていくことが肌感覚で伝わる。ボーカルは半歩前へ出て、しかし濃厚で複雑なバックの演奏と有機的な絡みを保つ。

続いては、面で支えるインシュレーターとしてディスクプレーヤーの脚へ挟んでみたが、こちらもノイズフロアが一気に下がり、音楽のピュアな姿が眼前に現れることに衝撃を受けた。それでいて音楽が痩せず、生き生きと鳴りっぷりの良いところも大いに注目すべきだ。価格を抑えるためだろう、決して美麗とはいいかねる外観だが、この音質変化は本物だ。本当にサンシャインらしい商品の登場に、胸の熱くなる思いである。

（提供：株式会社サンシャイン）

本記事は『季刊・オーディオアクセサリー197号』からの転載です