「京都オーディオフェスティバル2026」レポート。“音楽”を主軸にしたハイエンド・オーディオ、夢の競演
編集部:筑井真奈3月7日(土)と8日(日)の2日間、京都のハイエンドオーディオの祭典「京都オーディオフェスティバル2026」が開催された。会場は昨年と同じ「京都勧業会館 みやこめっせ」のB1フロアで、今年で3回目の開催となる。
京都オーディオフェスティバルは、関西圏のオーディオ市場をもりあげるべく2024年から新たに立ち上がったオーディオショウで、機材の紹介だけでなく、「音楽をいかに楽しむか」というテーマを重視したプログラムを用意している。記者が京都イベントを取材するのは初となるが、会場のみやこめっせは平安神宮やロームシアターにも近く、音楽を愛する豊かな街の雰囲気が非常に印象的であった。
40人程度が入る比較的小さめな部屋のRoom Aと、100人程度が入る一回り大きなRoom Bの2部屋が用意。音楽ジャンル別(クラシック、ロック、ジャズ、アニソンなど)に時間割を設定し、ブランドの垣根を超えた聴き比べイベントが行われた。
エアータイトvs トライオード vs マッキントッシュといった真空管アンプ対決から、オーレンダーとスフォルツァートのネットワークプレーヤー対決といったいま“旬”の機材のサウンドの違いなど、なかなか試聴できない組み合わせを体験できるとあって、会場は常時満員に違い状態。
オーディオ評論家の小野寺弘滋氏は、「私の愛した音楽」「クラシックの名録音」と午前と午後に2講演を実施。「私の愛した音楽」では、中学生で初めてオーディオシステムを買ってもらった時代から、高校・大学、そしてステレオサウンド社に入社するにいたるまでに聴いてきた音楽をQobuzのストリーミングで再生。
カーペンターズやリッキー・リー・ジョーンズといった“懐メロ”から、マイルス・デイヴィスやカウント・ベイシーなどハードなジャズも展開。「70年前も昔の音楽が、あたかもいま生まれたかの如くに聴こえる、それがオーディオの醍醐味ではないか」と音楽とオーディオの持つ魔力を改めて語りかける。
各社の注目プロダクトをいくつかピックアップしてご紹介しよう。
エアータイトは、KT-88搭載の「ATM-2 Plus」などを披露。代表の三浦 裕さんによると、「KT-88の太く奥行きのあるサウンド」を感じて欲しいという思いで開発したものとのことで、ヴァン・ヘイレンの炸裂するギターはまさに圧巻!タムラトランスの終売など、真空管アンプを巡る状況は厳しさを増しているが、継続的に製品開発を続けていくための方策を練っているという。
トライオードは「MUSASHI」「JUNONE 845S」など主力製品をプッシュ。「どんなスピーカーでも駆動してやりたい」という強い思いで誕生したという「EVOLUTION MUSASHI」、ローリング・ストーンズの最新盤では80歳超えて歌うミック・ジャガーのしわがれ声、スティングのライブ盤の甘美なメロディなどを真空管らしい味わいでたっぷり楽しませてくれる。
エミライ取り扱いのオーレンダー、昨年からネットワークプレーヤーの「A1000」が大ヒットを飛ばしており、初心者ユーザーも含め会場でも関心が高い。オーレンダーはストリーミング音源についても“一旦キャッシュして”から再生するというのが大きな特徴で、安定した再生ができることも大きな特徴。小野寺氏の講演においても、Qobuzプレイリストから、スムーズに再生が行われており、艶やかつ芯のあるサウンドで会場を満たしていた。
ノアからはソナス・ファベールの「Amati Supreme」が登場。1200万円という高額製品ではあるが、すでに国内でもいくつか実売がでているようで、人気の高さを窺わせる。会場ではテラ・ロッサの赤色仕上げが展示されていたが、実売ではサビア・オロも人気が高いそうで、「落ち着いたゴールドの色合いにも注目いただいております」とスタッフ談。
エレクトリは今年から初参加、マッキントッシュのアンプ「MC462」「C2800」など、200万円前後の製品を中心に用意する。昨今はフランスのスピーカーブランドREVIVAL AUDIOが好調だとのことで、会場では15インチウーファー搭載のトップモデル「ATALANTE 7 Evo」を再生。エリック・クラプトンの声の渋みをしっかり引き出しており、「じわじわと日本市場でも定着してきているのを感じています」と笑顔を見せる。
DSオーディオは各社のアナログプレーヤーに光カートリッジを組み合わせ。トップラインのGrandMaster EXからDS W3まで体験できるようになっている。小野寺氏の「クラシック名録音」の講演では、VERTEREのトップライン「SG-1」にGrandMaster EXを装着して再生。サン=サーンスの「死の舞踏」、オーケストラのサイズ感やダイナミクスをありのままに描き出す瑞々しいサウンドに感激。
アクシスはMSB technologyの「Cascade DAC」といった超ハイエンドDACのほか、ファインオーディオの “500番シリーズ” 、大型スピーカーの “Vintageシリーズ” などを用意。近年の意外なヒットモデルはスーパートゥイーターの「Super-trax」だそうで、スピーカーの上に“ちょい足し”で音質を追求できる楽しみも訴求する。
アッカはYGアコースティクスの「Hailey3.2」やブックシェルフスピーカー「CAIRN」などを用意。昨年の東京インターナショナルオーディオショウでは2億円のフラグシップ「TITAN」のみを披露していたが、今回は現実的なラインナップを取り揃えた。CAIRNも着実に引き合いがきているようで、コンパクトで質の高いスピーカーの重要性を改めて確認。
タクトシュトックはエポスのスピーカー、ヴァルテレのアナログプレーヤー、カノア・オーディオのアンプなどを展示。特にプッシュしたいのはカノアのプリメインアンプ「VIRTUS A3」とのこと。真空管とトランジスタのハイブリッド方式で、MM/MCのフォノ入力からDACも搭載し多様なソースに対応できるマルチな性能が大きな特徴。ハイエンド・プリメインの注目株になりそう。
ディバインはオーディオネックのスピーカー、MoFi Electronicsのアナログプレーヤー、ピリウムのアンプ類など、なかなか試聴の機会の少ないハイエンド製品を再生する。オーディオネックは独自のデュオポールによる高域ユニットが大きな特徴で、広がりのある音場感を豊かに再現してくれるのを確認できた。
スフォルツァートはネットワークプレーヤー「DSP-Columba」などを中心にデモ。10年以上もネットワークオーディオに取り組んできた強みを活かし、日本が誇るデジタル再生の技術力の高さもアピールしていた。