トップページへ戻る

レビュー

HOME > レビュー > 記事

公開日 2022/11/22 06:40
各パートナーとも強固にタッグ

クアルコムはXR/AR注力に迷いなし。「軽くてスリムなARヘッドセット専用」Snapdragon、その戦略を幹部に聞く

山本 敦

前のページ 1 2 次のページ

クアルコムがSnapdragonシリーズのチップセットとして、初めてARヘッドセット向けに仕様を最適化した「Snapdragon AR2 Gen 1 Platform」を追加する。これから仮想空間で営むビジネスやエンターテインメントの活動が多様化・活発化するとも言われている。クアルコムがARの技術革新にアクセルを踏みこんだ理由を、クアルコムのXR部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるHugo Swart氏に聞いた。

米Qualcomm Technologies XR部門バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのHugo Swart氏

■薄型・軽量ARヘッドセットに特化したプラットフォーム



クアルコムは2018年に、VR/AR/MRデバイスのハードウェア開発環境として「Snapdragon XR Platform」を立ち上げている。Snapdragon AR2 Gen 1 Platform(以下:Snapdragon AR2)は、これとは別立ての、ARヘッドセットの開発に特化した新規プラットフォームだ。

XRプラットフォームに続いて、初のARヘッドセットに特化したプラットフォームが誕生した

「ARにはゲーミングなどのエンターテインメントから医療、文教、3Dデザインや様々な産業用途まで、これから開拓されるべき多くの可能性があります」と、Swart氏はクアルコムがARに関心を寄せる理由を説く。

今年の「Snapdragon Summit 2022」は久しぶりにリアル開催となり世界各国から参加者が集まったが、その基調講演やデモンストレーションで、クアルコムはAR/VRヘッドセットを活用したスポーツインストラクターによるフィットネスコーチングやマインドフルネスの活用事例を紹介した。

XRプラットフォームとSnapdragon Spacesにより開発されたマインドフルネス系ARアプリケーションを体験できた

ハードウェアとソフトウェアの両側から、クアルコムと密接なパートナーシップを組むナイアンティックも、Snapdragon AR2を活用して軽量なスタンドアロン型の「アウトドア用ARヘッドセット」のプロトタイプをSnapdragon Summitで発表した。

ナイアンティックが発表したアウトドア用をコンセプトに掲げるARヘッドセットの試作機

ゲストスピーカーとして基調講演のステージに立ったナイアンティックのMaryam Sabour氏は、このプロトタイプモデルはデザインこそ最終仕様ではないが、商品化に向けていま本気で試作を進めているものであることを強調した。本体の質量は250g以下を目指す。なお、目安としてソニーのヘッドホン「WH-1000XM5」が約250gだ。

Wi-Fi接続によるワイヤレス仕様。バッテリーを内蔵するヘッドバンドを折り曲げてコンパクトに収納できる

■AR2をマルチチップ・プラットフォーム構成にした理由



Snapdragon AR2の大きな特徴はメインのチップセットを「ARプロセッサー」と「ARコプロセッサー」に分けたマルチチップ・プラットフォームを採用したことだ。

さらにARヘッドセットとSnapdragonのチップセットを搭載するスマホやPCをWi-Fiでつなぎ、負担のかかる処理はホスト側デバイスに任せることでスムーズなAR体験をつくり出すセパレートスタイルとした。

左がAR2プラットフォームのARコプロセッサー、右がARプロセッサーのサイズ感を紹介するモックアップ

Swart氏はマルチチップ・プラットフォームのメリットを次のように説明している。

「Snapdragon AR2ではホスト側デバイスが “メインプロセッサー” の役割を担うため、AI回路やディスプレイのインターフェースを備えるチップを “ARプロセッサー” 、視線トラッキングなどのAIコンピュータービジョンや各センサーから集まる情報を取りまとめるチップを “ARコプロセッサー” と呼んでいます。ARコプロセッサーが様々な処理を負担できるので、ヘッドセットのフレーム内をめぐらせるワイヤーの数も最小限に抑えられる。引いてはARヘッドセットの小型軽量化にもつながり、デザインの自由度も確保できるメリットが考えられます」

ARプロセッサーとARコプロセッサーが連動。重いデータ処理やクラウド接続はWi-Fiでつながるスマホが担う

Swart氏は、これまでにクアルコムがARヘッドセットの小型軽量化を実現するため、常時奮闘を続けてきたと基調講演のステージでも繰り返し述べた。

「ARヘッドセットを小さく・軽くするためにはデバイスの消費電力を下げる必要があります。標準的なスマートフォンの消費電力が5W前後だとすれば、PCは10〜15W、VRヘッドセットは10W前後が目安になります。私たちは1W以下の消費電力でARヘッドセットを動かせる回路構造を設計しました。ヘッドセットの完成形をスタンドアロン型として描くのではなく、ホスト側機器に処理の重い負担を分散させるセパレート構成としたことで、目標に到達することができました」

ヘッドセットは1W以下の低消費電力駆動を実現している

Wi-Fi 7に向けた機能開発も推進

前のページ 1 2 次のページ

関連リンク

新着クローズアップ

クローズアップ

アクセスランキング RANKING
1 女子プロゴルフ「第53回ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンゴルフトーナメント」9/25から3日間の放送・配信予定
2 「Amazonプライム感謝祭」10月16日開始。10月13日から先行セール/HANA特設ページも開設
3 『ゴジラ-0.0』IMAX劇場31館にて11月3日0時より最速上映
4 自作のヴィンテージスピーカーがLINNのシステムで蘇る!カント哲学者・黒崎政男氏のオーディオ道楽
5 YouTube、新機能を多数発表。ショート動画もシリーズ化/テレビでの視聴時にコメント音声投稿など
6 【インタビュー】磨きあげられた映像で「黒のビエラ」をアピール。パナソニックがZ95Cで追求する本物の感動
7 Meta、IMAX Enhanced認定のVRグラス「Meta VR Glasses」。約100gの軽さ実現
8 Razer、コンパクトな球形デスクトップゲーミングスピーカー「Mako」。サブウーファー付モデルも展開
9 ロジクールG、ボイス近接センサーやディスプレイを搭載した多機能USBマイク「YETI 2」
10 ゼンハイザー「ACCENTUM Clip」をSaucy Dog 石原慎也が体験。スペシャルインタビュー公開
9/25 10:59 更新

WEB