公開日 2026/10/09 06:45

映画の感動と興奮を、最高の環境で。日本初導入「BESTIA IN Dolby Vision+Atmos」を体験してきた

キーマンたちが特徴や導入の背景を解説

埼玉県三郷市にあるシネマコンプレックス、シネマサンシャイン三郷のシアター12が、「BESTIA IN Dolby Vision+Atmos」としてリニューアルオープンした。

「BESTIA IN Dolby Vision+Atmos」

シネマサンシャイン三郷は、JR三郷駅からバスで10分ほど、スーパービバホームやイトーヨーカドーが入った商業施設ピアラシティ内にある。昨年7月にオープンし、全12スクリーン、2,481席+車椅子スペース26席を備える埼玉南部では規模の大きなシネコン施設という。

プレミアムシアターの進化系

リニューアルされたシアター12は281席+車椅子スペース2席のBESTIA仕様で、Dolby Atmosサラウンド設備を備えていた。ちなみにBESTIAとは「Best Immersive Audio Visual」の略で、シネマサンシャイングループ独自のプレミアムシアターを指す。

シネマサンシャイングループ独自のプレミアムシアター

今回はそんなプレミアムシアターに、新たにDolby Vision対応の投写設備が導入されたわけで、これによりシアター12ではDolby VisionによるHDR映像と、Dolby Atmosのイマーシブサラウンドを楽しめるようになっている。

こう書くと、「それってDolby Cinemaと何が違うの?」と疑問に思う読者もいらっしゃるだろう。そこについては後述する。

世界最高水準の映画体験をお届け

10月5日に一般公開に先立って開催された内覧会では、シネマサンシャイングループ16劇場を運営する佐々木興業 代表取締役社長の佐々木武彦氏から、「BESTIA IN Dolby Vision+Atmos」を導入した狙いが語られた。

右が佐々木興業 代表取締役社長の佐々木武彦氏、左はDOLBY JAPAN株式会社 シネマ&コンテンツソリューション部 部長 尾崎卓也氏

「シネマサンシャイングループでは、映画館だからこそ味わえる特別な体験をお客様にお届けすることを目指してまいりました。家庭では得られない感動と興奮を最高の環境で楽しんでいただきたい、という思いを大切にして歩んでまいりました。

その思いを形にするために、これまでも様々なラージフォーマットを導入し、同時に自分たちのプレミアムブランドであるBESTIAの展開にも力を注いでまいりました。おかげさまでBESTIAは多くの映画ファンの皆様から評価をいただいております。

そして今回、その体験をさらに進化させるため、シネマサンシャイン三郷のBESTIAにDolby Visionを導入することを決定しました。Dolby Vision+Atmosが生み出す世界最高水準の体験をシネマサンシャイン三郷のお客様にお届けすることができ、心から嬉しく思っております」(佐々木氏)

映画館ならではの価値をさらに高める新しいチャレンジ

続いてDOLBY JAPAN株式会社 シネマ&コンテンツソリューション部 部長 尾崎卓也氏から、Dolby VisionとDolby Atmosについて説明が行われた。

シアター12の入口には大型プレートも展示

「ドルビーを代表して、日本初となる『BESTIA IN Dolby Vision+Atmos』の上映環境を紹介できることを大変嬉しく思っております。

まずお伝えしたいのは、今回の導入は単なる設備の入れ替えではないということです。家庭でも高品質な映像や音を楽しめるようになった今、お客様に映画館で見る価値をどう提供していくかは、世界中の映画館に共通するテーマになっております。

優れた映像、没入感のある音響、そして劇場空間だからこそ生まれる特別な体験。今回の導入はそうした映画館ならでの価値をさらに高めるための新しいチャレンジだと思っています」(尾崎氏)

ドルビーでは理想の上映環境を実現した劇場としてDolby Cinemaを提唱、世界中で300スクリーン以上、日本国内でも11スクリーンで採用されている。Dolby CinemaはDolby VisionとDolby Atmosの両フォーマットに対応し、さらに劇場内の環境(壁の色やソファの選定など)までドルビーが定めた要件をクリアする必要がある。

一方でDolby Atmosについては、各劇場でスピーカーやアンプなどの機種選定も可能で、イマーシブオーディオとしてのスペックをクリアしていれば導入できる。当然ながら、Dolby Cinema以上に導入館数は多いそうだ。

プレミアムな映画体験は1つではない

「BESTIA IN Dolby Vision+Atmos」はそこに加わるフォーマットで、シネマサンシャイン三郷では、劇場設備や環境設計は基本的にそのままに、映像をDolby Vison対応に進化させている。既存の劇場の設備を使えるということもあってか、既に導入が始まった国々でも好評だそうだ。

日本ではシネマサンシャイン三郷が初の採用例で、「日本におけるDolby Vision+Atmos展開の重要な第一歩」(尾崎氏)と位置づけている。

座席などの設備は、これまでのBESTIAの環境を踏襲している。写真手前のプレミアムシートは通常料金+1500円(ミールクーポン700円分を含む)

さらに尾崎氏は、「今回私が最もお伝えしたいのが、BESTIAとドルビーの技術の組み合わせです。これまで日本でDolby VisionとDolby Atmosを同時に体験できる環境はDolby Cinema対応館に限られていました。今回BESTIAにDolby Visionが導入されたことで、Dolby Cinemaとは異なる形でもDolby Vision+Atmosによるプレミアムな映画体験を楽しんでいけるようになりました。

私たちはプレミアムな映画体験は1つではないと思っています。劇場ごとに個性があり、お客様に提供したい体験も異なります。その中で、BESTIAの魅力とドルビーの技術が組み合わさることで、日本のお客様に新しい選択肢を提供できることを嬉しく思っております」と話していた。

料金は通常価格+400円と案外お手軽

内覧会ではここからDolby VisionとDolby Atmosで製作された映画作品のデモクリップが上映された。どれもよく知られた人気作品だったが、そのすべてでHDRらしいクリアで細やか、情報量豊かな映像が確認できたことに加え、音の移動感、轟音の迫力など桁違いといってもいい。

リニューアルオープン初日にはトム・クルーズ主演の話題作『DIGGER/ディガー』も上映された ©️2026 WBEI and Legendary

そのシアター12では、10月6日〜8日にオープニング特別上映も実施する。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に加えて、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編第1章 猗窩座再来』『AKIRA 4Kリマスター版』『オデュッセイア』といった人気作・話題作の上映が予定されている。

そして10月9日以降にも、『DIGGER/ディガー』や『ガールズ&パンツァー 最終章 第5話』『バイオハザード』『ストリートファイター/ザ・ムービー』が、30日からはスタジオジブリ作品『耳をすませば』『借りぐらしのアリエッティ』の上映が決定している。

気になるDolby Vision+Atmosの料金は、通常料金+400円と案外お手軽。ここについては佐々木社長が、「もともとBESTIAが通常料金+300円でしたが、今回は100円だけアップさせていただきました。Dolby Vision+Atmosをなるべく多くの人に見ていただきたいという思いで設定しています」と、映画ファンには嬉しいお話をしてくれた。

作品への集中度を高め、優れた没入感を楽しめる空間

内覧会終了後に、シアター12で『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の先行上映を体験させてもらった。宇宙空間の星のまたたき、宇宙船内部の無機質な様子が、Dolby Visionらしい静謐さで再現されている。プロジェクターとスクリーンが新しいということもあるだろうが、映像の純度が高く、細かい色まで鮮明に再現している。この画の説得力は半端ない。

サラウンドやトップ用にはドルビー製スピーカーが使われていた。サラウンドとトップがそれぞれ9台、サラウンドバックは4台という構成

Dolby Atmosも、静けさと迫力あるサラウンドを見事に描き分けている。グレース(ライアン・ゴズリング)の一人語りや、地球上でのカール(ライオネル・ボイス)との親しげな会話など、それぞれのニュアンスがしっかり再現される。ロッキーの宇宙船での不思議な包囲感、ヘルメットを外す瞬間の緊張感も伝わってきた。

 「BESTIA IN Dolby Vision+Atmos」に進化したシアター12は、作品への集中度を高め、優れた没入感を楽しめる空間になっている。シネマサンシャイン三郷は、都内からも小一時間で出かけられる好立地でもあるので、ぜひ多くの映画ファンにこの体験をしてもらいたいと思う。

「BESTIA IN Dolby Vision+Atmos」とはどうやって誕生した?

イベントの際に、シネマサンシャイン 佐々木武彦氏とドルビー 尾崎卓也氏にインタビューを行った。

―― 今回、「BESTIA IN Dolby Vision+Atmos」の導入に至った経緯を教えてください。

佐々木 弊社のBESTIAは、劇場を開業するにあたって、そのタイミングで最高峰の映写設備と音響設備を導入したいと思っています。現状で何が最高峰かと考えた時に、やはりDolby VisionとDolby Atmosの組み合わせではないかと思います。

3年ほど前に、アメリカ・ラスベガスのCinema ConというイベントでDolby Vision+Atmosの取り組みが発表された時からドルビーさんにコンタクトを取って、どうやったらBESTIAに入れられるか相談もしていたんです。今回やっとシネマサンシャイン三郷に導入できました。

尾崎 Cinema Conで1番最初にお声がけいただいたのが佐々木社長だったので、私もよく覚えています。その時は、アメリカ本社側で海外の劇場から始めるという話でしたので、日本導入の際にはというお返事をさせていただきました。

シネマサンシャイン三郷のエントランスは、開放的な落ち着いた空間

―― 日本で最初の劇場として、シネマサンシャイン三郷を選んだ理由は何でしょう?

佐々木 導入にあたっては、何もないところにDolby Vision+Atmosを入れるよりは、既にDolby Atmos環境があるところの方がスムーズだろうと考えました。また弊社としても埼玉県南部のこのエリアにもう少し力を入れたいという部分もあって採用しました。

―― Dolby Vision+AtmosとDolby Cinemaの違いについて、教えてください。

尾崎 Dolby Cinemaに関しては、劇場のデザインまで含めてドルビー側でスペックを決めております。しかしDolby Vision+Atmosの場合は、劇場の環境は興行会社さんが決めて、そこにDolby VisionとDolby Atmosが入るという形になります。ですので、そこまで大掛かりな改修をしなくても導入していただける点も、興行会社さんにはメリットがあると考えています。ただし、Dolby Visionを最適に楽しんでいただくために必要な部分については改修をお願いしています。

―― Dolby Vision+Atmos劇場で使われる機材はDolby Cinemaと同じなのでしょうか?

佐々木 プロジェクター、スクリーン、映写窓を含めて、ドルビーさんから指定されたものを使用しています。

尾崎 個別の劇場機材についてはお話していないんですが、今日ご覧いただいたシアター12のDolby Vision投写機器のスペックに関してはDolby Cinemaと全く同じです。もちろん導入時に、Dolby Visionのスペックがきちんと出ているかどうかについては確認させていただいています。佐々木社長からお話のあった映写窓も、Dolby Visionの性能を出すために、透過率の高いものに入れ替えていただきました。

シアター12の映写窓も、Dolby Vision対応のために指定されたガラス素材に変更されている

Dolby Atmosについては、機材選定も含めて興行会社さんに設置をお任せしています。その上でDolby Atmosが求めるスペックに合った形でインストールいただいています。内容的にはDolby Cinemaと同等の品質でお楽しみいただけるでしょう。

ドルビーは、映画製作者の意図をお客さんにそのまま伝えたいという思いを持ち続けています。今回シネマサンシャイン三郷のシアター12に導入いただいたDolby Vision+Atmosはその思いを感じていただける空間になっていると思いますので、ぜひ多くの方に体験していただきたいですね。

シネマサンシャイン三郷

住所:埼玉県三郷市ピアラシティ1丁目1-200
スーパービバホーム三郷店 シネコン棟2階
アクセス:JR武蔵野線三郷駅下車
三郷駅南口バスロータリー内、マイスカイ交通・ピアラシティ左(右)循環「三郷駅南口」乗車、「ピアラシティ」下車より徒歩5分
電話番号:048-954-6797

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