公開日 2009/01/19 19:36

話題のソフトを“Wooo”で観る − 第18回『ダークナイト』(Blu-ray)

ジョーカーの“闇”に迫る
この連載「話題のソフトを“Wooo”で観る」では、AV評論家・大橋伸太郎氏が旬のソフトの見どころや内容をご紹介するとともに、“Wooo”薄型テレビで視聴した際の映像調整のコツなどについてもお伝えします。

昨年もっとも忘れられない記憶となった事件が、秋葉原の無差別殺傷事件だった。皆さんが今ご覧のPhile-web編集部も実は秋葉原にあり、私自身1987年から2006年まで19年間、そこ(音元出版)に勤務した。秋葉原は1990年代からオタクの街になったが、これまで危険な空気を感じたことはなかった。

秋葉原は2000年代に入っての大規模都市開発で一変した。近年の秋葉原は常時一種の「興奮状態、躁状態」にあった。都会に構造変化が起きて新旧の構成要素が混在し無秩序状態になり、さまざまな人種がどっと流れ込むと、集合意識の臨界状態が生まれ「躁状態」になり、疎外感を抱え込んだ人間はヒステリーに追いやられる。

自殺も殺人も一種の狂気である。鬱から躁状態に変わるときに自殺は最も多い。どれだけ休日に混み合おうと、銀座や青山、鎌倉や元町でこんな事件は起こらない。「お祭り」をいいかげんに自粛して、落ち着いた都市づくりを考えてほしい。そうでないと、こうした事件は今後もいくらでも起きる。皆さんの買い物の楽しみが奪われたままでは、かつて秋葉原で仕事をした者としてまことに残念なのである。

■アメリカ映画の近年のダークヒーローには「来歴」がない

さて、アメリカ映画が描く「ダークサイド」が最近、変わってきているように感じられる。以前の多くは、深い精神的な傷を負った人間が、自己の属する文明の古層に生き続ける闇の精神文化に接触することで癒され復活を遂げるが、同時に悪の十字架を背負うというロマンティックな設定が多かった。『スター・ウォーズ』のダースベイダー卿がその代表。レクター博士もそうしたキャラクターの一つだろう。

しかし、近年のダークヒーローには「来歴」がないのである。『ノー・カントリー』に登場する殺し屋、アントン・シガーの造型について、原作者のコーマック・マッカーシーは、恨みや強欲といった理由を持たない純粋悪と表現している。一方、同作の映画化を行った映画監督のコーエン兄弟は、「彼は善悪を超えた存在で、我々を取り巻く無慈悲で気まぐれなこの世界の人格化」と表現している。つまり、ヒューマニズムへの信頼をモットーとしてきたアメリカ映画が、「悪」についてのとらえ方を改めつつある。

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