PR 公開日 2025/03/31 06:30

中国イヤホンブランドの重鎮、DUNU。製品のこだわりと高品質の源泉を探る

人気モデル「KIMA 2」「DK3001BD」も試聴レビュー

現在のDUNUを代表する2モデル、「KIMA2」「DK3001BD」を聴く

手に取りやすさと音質を両立、Delicateライン「KIMA2」レビュー

まずKIMA2から解説していこう。コンパクトにまとめた筐体は、直線と曲面を融合させたデザインが印象的なサンドブラスト仕上げのステンレス製だ。

△「KIMA2」(予想実売価格:税込19,990円前後)

 

ドライバーユニットは1基のDLC複合振動板ダイナミック型を搭載。ドーム部とエッジ部は別素材を用いて分割振動を抑制し、歪みを低減させた。また、価格帯としては上位のモデル「HAYABUSA ULTRA」と同じ高磁束密度の磁気回路を備え、躍動感あるサウンド再生を実現している。

ケーブルは単結晶銅線と銀メッキ単結晶銅線を組み合わせた4芯構造で、ジャケットはナイロン製衝撃吸収メッシュを採用。ハウジング側コネクターは0.78mm 2Pin仕様で、プラグ側は3.5mm端子や4.4mmバランス端子を着脱交換できる「Q-Lock mini」マルチプラグシステムを用いている。

付属イヤーチップはニュートラル基調のスタジオサウンドを目指した、柔軟性の高いシリコンを用いる独自開発の「S&S」タイプ、豊かな空気感と高密度なボーカル再生を目指した独自開発の「Candy」タイプ、ボーカルを強化する青軸仕様の「Vocal Enhancement」タイプ、低域を強化する赤軸仕様の「Atmosphere Enhancement」の4種類を用意。装着性だけでなく、積極的に音質調整のためにイヤーチップを交換するという取り組みも独自性溢れる仕様といえるだろう。

△独自に開発したものを含む複数種類のイヤーピースを同梱。装着感と音質を微調整できる

 

試聴はハイレゾDAP、Astell&Kern「A&ultima SP3000」の4.4mmバランス駆動で確認。イヤーチップはS&Sタイプを装着した。KIMA2のサウンドは非常に安定度が高く、中域のスムーズで穏やかな描写性が特徴となっている。強固な筐体がもたらす制動の良さ、歪みなく澄んだ余韻の表現によって、高域の自然さ、低域の伸びの良さも際立つ。

ダイナミック型1発だからこその、音の繋がりの良さ、シンプルかつ無駄のない素直な描写性もメリットの一つだ。特にボーカルの充実度、滑らかなボディ感は落ち着きがあり、暴れのない低重心な定位、スッキリとヌケ良く浮かぶ口元のシームレスさは1万円台で買えるイヤホンとは思えないクオリティの高さである。

クラシック音源のアンドレア・バッティストーニ指揮/東京フィルハーモニー交響楽団『マーラー:交響曲第5番』〜「第1楽章」の音場は広がり、奥行きを自然に感じられ、金管楽器の浮き上がりも強調しすぎることがなく、弦楽器の旋律のきめ細やかさ、太鼓の皮の揺れ、胴鳴りのニュアンスも丁寧に引き出す。大音量パートも混濁せず、ホールトーンの豊かさや残響成分も素直に感じ取れる。楽器の音像は密度良くまとめ、その音色も誇張を抑えたナチュラルな傾向だ。

ジャズ『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜「届かない恋」のホーンセクションは芯の太さを確保しつつ、柔らかく立ちあがる。ウッドベースやキックドラムのアタックは密度良くまとまり、どっしりとした土台を構築。ピアノやシンバルの分離良くクリアで落ち着きある響きは耳馴染みが良い。スタジオの残響感も素直に聴き取れ、DSD音源らしい滑らかに広がる空間性も的確に表現している。

ロックのTOTO『TAMBU』〜「Gift Of Faith」は大口径キックドラムのファットなアタックも穏やかにまとめ、ベースも厚みがあるが、膨らみ過ぎずドライに張り出す。ボーカルは音離れ良くセンターに浮かび、ボディの密度を出しつつ、口元のソリッドさも両立。コーラスとの分離も良い。粒立ちマイルドなエレキギターのリフやシンセとの前後感、濃密で落ち着きあるリズム隊とのコントラストも絶妙だ。

丁「呼び声」はボーカルの自然な佇まい、口元の滑らかな動きが落ち着きを生む。コーラスとの描き分けも明瞭で、ハープの優しい響き、ハリ良く艶やかなストリングスやアコギ、ピアノの澄んだ響きも丁寧に表現。豊かに張り出すベースやキックドラムもボーカルを隠すことなく適度に制動を利かせている。全体的にバランスの整った、見通しの良いサウンドだ。

斬新なデザインとドライバー構成、Hyperライン「DK3001BD」レビュー

もう一方の「DK3001BD」は、2016年発売の「DK3001」、2019年発売の「DK3001PRO」を経て生まれた進化モデルである。型番の最後にある “BD” は “Brain Dance ”の略で、“感覚的な心と繋がるデバイス” という意味を持たせているそうだ。デザインもこれまでのDUNU製品とは一線を画す、近未来的な意匠を取り入れている。

△「DK3001 BD」(予想実売価格:税込79,980円前後)

 

ボディは航空グレードアルミ合金のブロックからCNCで削り出し、ジルコニウム・セラミックでコーティング。ドライバーは超高域用に平面(マイクロプラナー)型を4基、中域と高域には2基1組となったデュアルBA型を2基(計4基分)を配置。そして低域にフラグシップモデルGLACIERと同じ10mmバイオセルロース振動板ダイナミック型を1基備えた、4ウェイ9ドライバー構成だ。パッシブな電子クロスオーバー・ネットワークと、各帯域でまとめたサウンドガイドの組み合わせにより位相を揃え、シームレスで正確な周波数特性を実現しているという。

△ダイナミック/BA/平面という3種類のドライバー計9基を組み合わせる

 

ケーブルは4芯の2次精練・高純度単結晶銅線仕様で、端子部はKIMA2と同じ仕様(国内仕様はハウジング側が2Pin)となる。イヤーチップも複数の種類を同梱。KIMA2同様のS&Sタイプ、Candyタイプ、Atmosphere Enhancementタイプの他、バランスの取れた素直なサウンド性を持つという、標準的仕様のBalanceタイプ、遮音性を高めるFoamタイプが用意されている。

△Hyperラインらしく、斬新なデザイン、ドライバー構成を採用している

 

DK3001BDも、SP3000の4.4mmバランス駆動で試聴を実施。イヤーチップはBalanceタイプを選んだ。ワイドレンジなユニット構成の効果もあり、中低域の密度感、適度な弾力感に加え、高域のクリアで澄み切った描写性も融合した、解像度指向のサウンドである。音の繋がりも良く、リヴァーブの余韻、階調性も極めて細やか。ボーカルのヌケの良さ、輪郭感も過度に強調せずスッキリとまとめており、きつさのない描写となっている。

特に弦楽器の艶感、潤いある質感描写は魅力的であり、立ち上がりも素早く透明感が高い。シンバルやピアノは幾分軽く感じるものの、全体的にはニュートラル基調でありながら、倍音の煌びやかさ、華やかさを適度に加えた、ポップス、ロック系音源との相性のよい音質傾向といえるだろう。

クラシック音源のアンドレア・バッティストーニ指揮/東京フィルハーモニー交響楽団『マーラー:交響曲第5番』〜「第1楽章」は冒頭のトランペットの鋭さ、鮮やかでヌケの良い浮き立ちと、オーケストラの雄大な響きとのコントラストが印象的だ。低域パートの力強さ、大太鼓の響きの抑揚とアタックの細やかさも誇張なくトレース。管弦楽器の旋律のクリアさ、音場のシームレスな広がり、各パートの定位も明確に捉えている。ダイナミックでメリハリ良いハーモニーも美しい。個々の楽器もシャープに描かれ、弱音パートのニュアンスも鮮明だ。

ジャズ『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜「届かない恋」は冒頭のカウントから鮮やかさが際立っている。ホーンセクションは煌びやかな浮き立ちで、細く引き立つ。ウッドベースやキックドラムのアタックは弾力良くタイトな傾向。ピアノとシンバルは輝き良く爽やかに余韻が拡散。澄み切った高域のトーンが明瞭さ、キレの良いグルーヴを生む。スタジオの残響感もスムーズに表現し、トランペットのトップノートの煌きを彩り豊かに聴かせてくれた。

ロックのTOTO『TAMBU』〜「Gift Of Faith」は大口径キックドラムのアタックがタイトであり、空気の動きも感じられるほどリアルだ。音場の透明度も高く、コーラスワークやシンセの広がり、他パートとの分離も良く、レイヤーの重なりも明確に掴み取れた。フラッシーなエレキギターのキレの良さ、アコギとの描き分けも克明で、ディストーションの粘りもさらりと描き切る。ボーカルのシャープさ、鮮やかな口元の動きもヌケ良く分離。ベースは厚みを持たせつつ引き締め感も高い。192kHz/24bit音源らしい解像度の高さ、情報量の多さを感じられた。

丁「呼び声」はボーカルのキリっとしたソリッドな描写がヌケ良く鮮明で、コーラスとの対比も明確に感じられる。ハープやアコギ、ハリ良く華やかなストリングスの澄み切った響き、重厚なベースとのバランスも良好だ。音数の多い楽曲であるが、それぞれのパートがクリアに引き立ち、レイヤーとなった前後感、余韻の透明感まで生々しく捉える。

ナーバスにならず、高解像度かつ音離れ良く描かれる流麗なサウンドがDK3001BDの持ち味であり、ふと一つの楽器に注目して聴き込んでしまうような、分析的な聴き方にも耐えられる、モニター的な実力を備えた、ハイエンド入門に最適なモデルといえるだろう。

 

ドライバー技術の洗練、そして新ジャンルの開拓に力を注ぐ

改めてDUNUサウンドに触れると、癖がなくシームレスでレンジも広い、安定感ある表現を実感した。それでは、今後新しい製品を開発していくにあたっては、何を目標とするのだろうか。この機会にDUNU本国に尋ねたところ、次のような答えが返ってきた。

まず第1に取り組むのは、さらに緻密な周波数特性の実現を目指し、多ドライバーによるハイブリッド構成の研究・設計を継続して行っていくことだそうだ。それに伴い、高性能なドライバー開発、音質・耐久性向上を目的とした先進的な素材の積極的な活用、長時間使用しても快適なエルゴノミックデザインの研究にも注力していくという。

また、これまでは有線イヤホンを中心に手掛けていたが、その他の分野への展開にも挑戦していくという。先ごろ国内発表された、100mm 平面磁界型ドライバーを搭載したブランド初のヘッドホン「ARASHI(嵐)」がその一例だが、それだけに留まらない。今年2月『冬のヘッドフォン祭 mini 2025』で参考出展されたR2R方式DAC・バッテリー内蔵CDプレーヤー「CONCEPT-R」のようなハードウェア開発も積極的に進めていくとのこと。

△DUNUの今後の展開を象徴する新製品「CONCEPT-R」。国内イベントでも参考出展された

 

より幅広い分野でDUNU製品が展開することで、これまで認知していなかったリスナーに対しても、優れたサウンド性、完成度の高い製品の素晴らしさが伝わっていくことだろう。核となる有線イヤホンについても、DUNUならではの技術革新を含め、さらなるサウンドの進化、ブランドの躍進を楽しみにしたい。

 

【試聴音源】

  • アンドレア・バッティストーニ指揮/東京フィルハーモニー交響楽団『マーラー:交響曲第5番』〜第1楽章(96kHz/24bit)
  • 『Pure2 -Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋(2.8MHz・DSD)
  • TOTO『TAMBU』〜Gift Of Faith(192kHz/24bit)
  • 丁「呼び声」(96kHz/24bit)

(企画協力:サウンドアース)

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