公開日 2021/11/29 06:30

電源対策はオーディオの要。6人の評論家によるiPower Elite “私的使いこなし”を徹底公開

【特別企画】Wi-Fi環境周辺にも効果抜群
鈴木 裕/土方久明/林 正儀/福田雅光/炭山アキラ/野村ケンジ
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野村ケンジの場合
■これまで使ってきた「iPower」との聴き比べ


USB-DACなどのデジタル機器を得意とするiFi audioは、もうひとつ、ノイズキャンセレーション系アイテムも充実したラインアップを揃えているのは皆さんもご承知のとおり。実際、筆者もパソコン用のUSB-DAC兼ヘッドホンアンプとして「NEO iDSD」を、アナログレコードをはじめ大半のACアダプターに「iPower」(低ノイズACアダプター/iPower Eliteの姉妹機のひとつ前の世代のモデル)を活用させてもらっている。(編集部注:「NEO iDSD」の付属電源については、順次最新モデルの「iPower II」に切り替わっている)

今回は実際に仕事で使っているパソコン廻りのシステムで試聴。スピーカーはBluetoothをはじめ全入力がミックスできる小型パワードモニターJBL「104-BT-Y3」。こちらにiFi Audio「NEO iDSD」とアステル&ケルン製ポータブルDAP「KANN CUBE」を接続、オンライン会議からヘッドホン製品試聴まで幅広く活用している

だからこそ、大いに気になっていたのが「iPower Elite」だ。かなりこだわりのある造りとなっているが、一方でノイズフロア1μV以下というスペックは「iPower」と変わらない。果たして、3.5倍の価格差はどのくらい音に表れているのだろう。

アルミ筐体が採用された「iPowerElite」の作りをチェック

今回の取材では、公私混同気味に現在の環境で、どのくらいの差が生まれるのかチェックさせてもらうことにした。試聴に使ったのは「NEO iDSD」だ。

USB-DACなどデジタルオーディオ系はしっかりしたノイズ対策を行っている製品も多く、ACアダプターの差は分かりづらかったりする。また、「NEO iDSD」にはiPowerが付属しており、電源周りに不満はない。我ながら、なかなか意地の悪い比較試聴だとは思う。

「iPower」(初代モデル)と「iPower Elite」の比較。本体サイズはかなり大型になるが、ACアダプタ然とした「iPower」に対して、「iPower Elite」は上質感のあるアルミ筐体が採用されている。また、着脱式の電源ケーブルを採用しているため、設置場所の自由度も高くなっている。こういった扱い易さも「iPower Elite」のもつ魅力のひとつといえるだろう。

■一度聴き比べると元に戻れない、麻薬的な魅力がある

スピーカーとヘッドフォン両方で試聴してみるたが(「NEO iDSD」はUSBケーブルからの電源でも動作してくれるので差し替え試聴は簡単)、両者の差はそれほど大きくなく、ディテール表現がさらに微細になり、空間的な広がりが少しばかり大きくなってくれる。384kHz/32bitのハイレゾ音源では顕著に感じられるものの、CD音源ではそう大差ないレベルにも思える。

なお、今回の試聴にはオーディオテクニカ「ATH-ADX5000」を使用している

しかし、しばらく聴き続けた後に思い知らされた。ノイズ低減が向上しているのか、「iPower Elite」のほうが圧倒的に心地よいサウンドに感じられるのだ。「iPower」に戻すといままでは気がつかなかったわずかな荒々しさが見え、すぐにでも「iPower Elite」に戻したくなってしまう。両者の間に3.5倍の価格差は確実に存在しており、いちど聴き比べると元に戻れそうにない。ある意味、麻薬的な魅力を持つ製品といえる。

デジタル系でこれだけの魅力を感じさせてもらえるのだから、アナログ系ではさらに高い効果が見込まれる。「NEO iDSD」はもちろんのこと、他にはどれを替えるべきか、真剣に悩み始めている。

編集部注:なおACアダプターの交換については、ユーザー自身の責任において行っていただくようお願いいたします。
本記事は『季刊・Audio Accessory vol.183』からの転載です。

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