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【特別企画】Wi-Fi環境周辺にも効果抜群

電源対策はオーディオの要。6人の評論家によるiPower Elite “私的使いこなし”を徹底公開

公開日 2021/11/29 06:30 鈴木 裕/土方久明/林 正儀/福田雅光/炭山アキラ/野村ケンジ
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林 正儀の場合
■レコードプレーヤーの近くにネットワーク機器があることが気になっていた


我が家のネットワーク機器は、メインのオーディオシステムと同居している。広さはまぁあるのだが(16畳)、大もとの電源は、オーディオ機器も、ネットワーク機器も同じ分電盤のラインからとっている、ごく普通の環境だ。

ファイル再生機器としては、マランツの「NA8005」がメイン。QNAPのNASの電源を超低ノイズ仕様のiPower Elite(以下Elite)にグレードアップしたらどうなるか、が主なテーマであるわけだが、個人的にはもうひとつ、これらNASやハブ、ルーターといったネットワーク機器自体やACアダプターが発する高周波数の放射ノイズも気になっていた。

マランツのNA8005では、ファイル再生の純度がアップしインターネットラジオやUSBメモリ再生での効果も確認できた

問題は、レコードプレーヤーがすぐ近くにあることだ。アナログはデリケートで、空中にまき散らされた雑音成分には無防備だろう。一度ネットワーク機器をコンセントごとオフにして音が良くなった経験はあるのだが、都度そんなことはやっていられない。

メインで使っているガラード401と筆者。電源は別系統だが、デリケートなアナログ信号への放射ノイズの影響が僅かにあった。それがEliteによって抑制され、音場のフォーカスや音数が改善された

まず試してみたのが、ひかり電話ルーターのACアダプターを、Eliteに交換した場合としない場合。この音質差は大きい。アナログ再生のもやっとして汚れていた音場の空気が澄む。音の粒がきれいに立ってくるような変化だ。埋もれていた微細な情報のニュアンスが聴こえ出すから、スイッチング電源の放射ノイズがいかに盛大だったかが分かる。

ひかり電話ルーターNTTのRT-S300Hi(12V/2.5A)という終端装置のAC電源をグレードアップした効果は大きかった。埋もれていた音が出てきた感

Eliteは2機用意したのでWi-Fiアクセスポイントにも追加しよう。機器の位置や接続の仕方もあるだろうが、さらにノイズフロアが下がって、分解能や音の緻密さ、柔らかさが向上。ヴォーカルにもアナログの暖かな味わいが感じられた。一方、CD再生の場合、信号レベルの違いからなのか、アナログ再生時ほどの効果はないが、Eliteは電源回路に還流するノイズにも効くようで、録音の鮮度がアップして質感的な瑞々しさが加味されたようだ。デジタル臭さが抑えられる方向ともいえる。

Wi-Fiアクセスポイントは省スペースなバッファローのWHR-HP-G300Nだ。5V/2.3Aの仕様。Eliteを使うとさらにノイズフロアが下がった

■古さを感じていたプレーヤーの音がリフレッシュされた

さて、本命のネットワークプレーヤーだが、さらにダイレクトな効きがあると感じた。電源の交換の効果が高いのは、音源を保存するNASで、近頃古さを感じるようになっていたNA8005がリフレッシュされる。ギターの刻むリズムなど聴くと、CDリッピング、ハイレゾとも情報量や空気感が向上し、音源自体が新鮮に感じられた。しかも腰が座ってエネルギーバランスも安定する。まだまだ使いこなしの可能性がありそうな、興味深い電源アイテムだ。

NASはQNAPのHDDタイプを使用。12V/3Aだ。ボディは堅牢で振動に強く、メインのストレージとして重宝している。ACアダプターの交換で音の鮮度が向上

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