公開日 2021/11/29 06:30

電源対策はオーディオの要。6人の評論家によるiPower Elite “私的使いこなし”を徹底公開

【特別企画】Wi-Fi環境周辺にも効果抜群
鈴木 裕/土方久明/林 正儀/福田雅光/炭山アキラ/野村ケンジ
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土方久明の場合
■高域の分解能が上がり 小レベルの音が浮き出てくる


「iPower Elite」は、iFi audioの低ノイズアダプター最上位モデルで、独自のノイズキャンセリング技術を搭載する。航空機グレードのアルミを採用したシルバーと銅色の配色の筐体は高級感と制振性を両立している。

新旧3つのNAS/サーバーにiPower Eliteを試す。新旧のNASは全て12V駆動。アダプターを選ぶ時は、電圧は必ず同じもの、アンペア数はiPower Eliteの容量以下だということを確認したい。ちなみに、QNAP 「TS-120」は3A、アイ・オー・データ機器「RockDisk for Audio」は、2A、「Soundgenic」 が1.5A

5V/12V/15V/24Vという電圧の違う、4つのバージョンがあり、ネットワークハブやルーター、小型のDAコンバーターなど、アダプターを使用する多くの製品に対応するが、筆者は12Vモデルに着目した。数年前まで定番モデルとして使用していたQNAPの古いNASに使おうと考えたのだ。使用していたQNAPのNASは12Vだった。

iPower Eliteの12Vタイプは、「12V/4A」と表示されており、今回筆者がAC電源を変更したいNASとは、ボルト数は同じもの、アンペア数の数値も範囲内に収まっている

昨今は、オーディオグレードのサーバーが発売されているけど、いまだに当時買ったNASを使っている人も多い。アイ・オー・データ機器が以前発売していた、三角形のコンパクトなNAS「RockDisk for Audio」も、現在使用中のミュージックライブラリー「Soundgenic」も12V駆動だった。

QNAPのNASを使っている人は多いだろう。アダプターを含む、電源周りの品質がネットワークオーディオの音質を大きく左右する。音質を考慮しない一般的なアダプターとiPower Eliteの音質差は大きい

売れに売れている、アイ・オー・データ機器の「Soundgenic(HDL-RA2HF)」でも大きな効果を体感できた。オーディオ用に徹底的な電源対策がとられたfidataとは違う、本機のようなモデルは、コストの関係上一般的なアダプターが付属するので、確かな効果を感じることができる

■電圧とアンペア数を確認し適合するEliteを使うべし

まずは、各NASに付属アダプターの電圧とアンペア数を見て、iPower Eliteの仕様(12V/4A)に収まっていることを確認、「センターマイナスDC入力」の機器に接続するための極性変換プラグに加え、形状の違う複数の変換プラグがついているのが嬉しい。

iPower Eliteの極性はセンタープラスであるが、センターマイナスのDC入力機器を使う場合は、iPower Eliteに付属する極性変換プラグを使えばよい。差し込み口の規格サイズが異なる場合もEIAJ4変換プラグが付属されているので安心だ

ネットワークプレーヤーにリンの「KLIMAX DS/1」を使い、NASに保存した、ジャズ、クラシック、ポップス、などのハイレゾファイルを再生して、純正アダプターとの音質を比較する。共通していたのは、iPower Eliteによる電源供給の方が、聴感上のSN比が高く、高域の透明感や分解能に優れること。ノイズフロアも低いので、小レベルの音が浮き出て、ダイアナ・クラールのヴォーカルは立体感が増し、ベースやピアノなどのバックミュージックとの分離も秀逸になる。ジョン・ウィリアムズの交響曲は、聴感上のfレンジDレンジが広がり、ポップスのホセ・ジェイムスは、ベースの立ち上がりと弾力感が増すので、グルーヴィな雰囲気が強くなるなど音楽性も向上する。

やった! 古いNASが蘇った! そして、現行モデルのSoundgenicでも、ノイズフロア低下と分解能向上に大きな効果があったことを報告したい。

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