公開日 2020/09/25 06:30

前モデル購入の生形氏、思わず唸る。マランツ「NR1711」が遂げた予想以上の進化

NR1710ユーザーの生形三郎氏が実力チェック
生形 三郎
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まず、外観的な変更はほとんど無く、フロントパネルに搭載されていたHDMI入力が省かれ、後面パネルのHDMI入力も7系統から6系統に変更されていることくらいしか、違いは見つけられない。それに伴い、1系統のHDMIが8K対応となり、8K60p/4K120pやHDR10+/Dynamic HDR、QMS/DSCなどの映像フォーマットへと対応。加えて、映像信号の8K60pなどへのアップスケーリング出力も可能となっている。

フロント部の両機比較

さらにHDMIでは、おもにゲーム向けの新規格である、画面のカクつきを抑える「VRR(Variable Refresh Rate)」や、VR映像などをヘッドマウントディスプレイに表示する際のレイテンシーを抑える「QFT(Quick Frame Transport)」技術を新搭載。従来機での「GAME」入力使用率の高さに応える形で、次世代ゲーム機やテレビに対応する映像面での機能が大きく強化されている。

続いて音質面でのアップデートだが、機能面では、先述のように、サラウンドフォーマットとしては、従来のDolby AtmosとDTS:Xに加えて、4K/8K放送で採用されるMPEG4 AAC 5.1にも対応。もちろん、不使用のサラウンドバック/ハイト用アンプを利用してのフロント2chのバイアンプ駆動機能も継承している。

音質面のブラッシュアップでは、HDMI及びネットワークオーディオ系回路を特に力を入れてグレードアップしたという。詳しくは後述するが、音質面でのブラッシュアップは、かなり大きなものだと実感した。マランツブランド サウンドマネージャーの尾形好宣氏によると「高級機のようにパーツ自体にコストは掛けられないが、構成部品点数の多さを利用し、時間を掛けてそれら部品や回路パターンの見直しを繰り返し、地道に改善している」のだという。

8K対応デバイスに変更されたICを中心に、供給電源系統のノイズ対策であるデカップリングコンデンサの点数、定数の丁寧な見直しや、追加されたヒートシンク機構への振動対策など、ヒアリングを繰り返して調整を実施。ネットワークや、その他デジタル入力やDSPに関しても、同様の手順で音質向上を図ったという。さらに、コンデンサーメーカーに、NR1711専用のパワーアンプ電源用ブロックコンデンサ試作を依頼し、多くの試作品の中から、もっとも音場感が良く、細かい情報が出るようなS/N感が良いものを採用したというから、実に徹底している。

機体内部

■新旧聴き比べ「その進化はかなり大きい」

では、いよいよ両機の聴き比べ結果をお伝えしたい。結論から申し上げると、先ほども申し上げたが、その進化はかなり大きいと感じざるを得なかった。アナログ入力をはじめとして、特に注力したというネットワーク入力による音楽再生は、大きな改善が見られた。

取材時のようす

とりわけ、ネットワーク入力によるハイレゾファイル再生では、まず、中高域の音の品位や解像力が向上し、声や楽器の色艶など色彩感がより巧みに表現されるようになっている。これは、音量を上げるほどに良く分かる。

また低域方向は、グリップ力をはじめ、分離感など音の解像力が向上している。サウンドのバランスとしても、NR1710のサウンドを、幾分中低域の音圧感が高く中高域も少し賑やかな「幾分平面的な迫力傾向の音」と感じさせるほど、Hi-Fi志向の音色を実現していると感じた。

次ページ「音楽を美しく、そして楽しく明朗に再生してくれる」

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