• ブランド
    特設サイト
公開日 2017/01/25 13:19

ラズパイ用DACボード「Terra Berry」開発者を直撃、設計コンセプトや今後の展開を聞いた

海上忍のラズパイ・オーディオ通信(24)
海上 忍
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
Raspberry Pi用DACボード「Terra Berry」は、まだ黎明期にあるラズパイ・オーディオにおいて、いろいろな意味で注目すべき存在だ。前回の予告どおり、その設計コンセプトを開発担当者に直撃した。

DACボードにおけるクロック

Terra BerryというDACボードについて語る前に、Raspberry PiにおけるDACボードの“見どころ”について、簡単に説明しておこう。

Raspberry Piの基板には「GPIO」と呼ばれる汎用入出力ポート(40ピン/オス)が用意されており、DACボード(40ピン/メス)はそこへ差し込む形で利用する。どのピンを利用するかはDACボードとそのドライバの仕様次第だが、I2S用に数本、電源およびグランド用に2本がアサインされることは、どのDACボードでも共通と言っていい。

Raspberry Piには「GPIO」と呼ばれる40ピン/オスの汎用入出力ポートが用意されている

DACボードの音を決める要素はいくつもあるが、DACチップやアンプ(オペアンプ)といった主要パーツの性能/特性を横に置くとして、Raspberry Piならではの部分に「クロック」が挙げられる。

Raspberry PiのI2S出力には、22.5792MHz/44.1KHz系や24.576MHz/48KHz系といったマスタークロック(システムクロック/SCLK)が含まれないため、ソフトウェアで生成するかハードウェア(外部クロック)を用意するかの選択を迫られることになる。このクロックをどう調達するかが、Raspberry PiのDACボードを設計する上での重要な鍵なのだ。

既存のDACボードでよく見られる手法は、Raspberri PiのSoCから出力されるBCLKの信号を元にマスタークロックを生成すること。DACボードに周波数を逓倍するPLL ICを搭載することで比較的容易にマスタークロックを得られるが、元となるBCLKの精度に影響を受ける実装法でありジッターの原因となることから、ベストとは言い難いことを認識しておきたい。

もう一つの手法は、内部でマスタークロックの生成が可能なDACを採用することだ。BurrBrown「PCM5102」がその代表格で、Raspberry Pi用DACボードに採用実績が豊富な理由は、音質もさることながらそのマスタークロック生成機能を使いたいがためと言ってもいい。ちなみに、筆者が「春のヘッドホン祭2016」DENONブースで実施したデモも(関連ニュース)、プリメインアンプ「PMA-50」に搭載のデジタルアンプ「DDFA」が高精度なマスタークロック生成機能を持つからこそ実現できたものだ。

そしてもう一つが、DACボード側でマスタークロックを生成しRaspberry Piに供給する手法。高精度なクロックジェネレータをDACボード上に搭載し、そこで生成したマスタークロックに同期してRaspberry Piからデータ(LRCLK/BCLK)を出力することから、「スレーブモード」と呼ばれている。動作させるにはスレーブモードに対応したドライバが必要となるが、Volumio 2やMoode AudioといったLinuxディストリビューションの最新版では対応済であり、今後はこの手法を採用するDACボードが増えてくることだろう。

ブライトーンのRaspberry Pi用DACボード「Terra Berry」は、自前のマスタークロックを持っている

次ページ「Terra Berry」の設計コンセプトを訊く

1 2 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 Beats、ブランド史上最小の完全ワイヤレス「Solo Buds」。ケースにバッテリー非搭載
2 2023年後期朝ドラ『ブギウギ』の総集編放送。GW期間中にNHK総合とBSプレミアム4Kで
3 Apple Musicも聴ける高コスパ ネットワークプレーヤーeversolo「DMP-A8」。音質と使いこなしを徹底検証
4 オスカー受賞『ゴジラ-1.0』4K UHDをフラゲ!特典盛りだくさんのパッケージ開封の儀
5 女子プロゴルフ「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」、5/2からの放送・配信予定
6 英・コード製プリメインアンプの実力恐るべし!「Ultima Integrated」をB&W「800 D4シリーズ」で徹底検証
7 【moraアニソンTOP10】本当に令和? 「ツバサ」「Get Wild」がまさかのランクイン!
8 Amazon Prime Videoの人気8チャンネルが2ヶ月間99円に!GW期間中キャンペーン
9 Dolby Vision&Atmosでゴジラの圧倒的迫力と世界屈指のVFXを堪能!4K UHD BD版『ゴジラ-1.0』徹底レビュー
10 (nb)の耳を塞がないイヤホン「Open+」、発売日が5/17に決定。割引キャンペーンも
5/2 10:40 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー192号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.192
オーディオアクセサリー大全2024~2025
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2024~2025
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.21 2023 WINTER
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.21
プレミアムヘッドホンガイド Vol.31 2024 SPRING
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.31(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
DGPイメージングアワード2023受賞製品お買い物ガイド(2023年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2023年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX