海上忍のラズパイ・オーディオ通信(24)

ラズパイ用DACボード「Terra Berry」開発者を直撃、設計コンセプトや今後の展開を聞いた

海上 忍

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2017年01月25日
Raspberry Pi用DACボード「Terra Berry」は、まだ黎明期にあるラズパイ・オーディオにおいて、いろいろな意味で注目すべき存在だ。前回の予告どおり、その設計コンセプトを開発担当者に直撃した。

DACボードにおけるクロック

Terra BerryというDACボードについて語る前に、Raspberry PiにおけるDACボードの“見どころ”について、簡単に説明しておこう。

Raspberry Piの基板には「GPIO」と呼ばれる汎用入出力ポート(40ピン/オス)が用意されており、DACボード(40ピン/メス)はそこへ差し込む形で利用する。どのピンを利用するかはDACボードとそのドライバの仕様次第だが、I2S用に数本、電源およびグランド用に2本がアサインされることは、どのDACボードでも共通と言っていい。

Raspberry Piには「GPIO」と呼ばれる40ピン/オスの汎用入出力ポートが用意されている

DACボードの音を決める要素はいくつもあるが、DACチップやアンプ(オペアンプ)といった主要パーツの性能/特性を横に置くとして、Raspberry Piならではの部分に「クロック」が挙げられる。

Raspberry PiのI2S出力には、22.5792MHz/44.1KHz系や24.576MHz/48KHz系といったマスタークロック(システムクロック/SCLK)が含まれないため、ソフトウェアで生成するかハードウェア(外部クロック)を用意するかの選択を迫られることになる。このクロックをどう調達するかが、Raspberry PiのDACボードを設計する上での重要な鍵なのだ。

既存のDACボードでよく見られる手法は、Raspberri PiのSoCから出力されるBCLKの信号を元にマスタークロックを生成すること。DACボードに周波数を逓倍するPLL ICを搭載することで比較的容易にマスタークロックを得られるが、元となるBCLKの精度に影響を受ける実装法でありジッターの原因となることから、ベストとは言い難いことを認識しておきたい。

もう一つの手法は、内部でマスタークロックの生成が可能なDACを採用することだ。BurrBrown「PCM5102」がその代表格で、Raspberry Pi用DACボードに採用実績が豊富な理由は、音質もさることながらそのマスタークロック生成機能を使いたいがためと言ってもいい。ちなみに、筆者が「春のヘッドホン祭2016」DENONブースで実施したデモも(関連ニュース)、プリメインアンプ「PMA-50」に搭載のデジタルアンプ「DDFA」が高精度なマスタークロック生成機能を持つからこそ実現できたものだ。

そしてもう一つが、DACボード側でマスタークロックを生成しRaspberry Piに供給する手法。高精度なクロックジェネレータをDACボード上に搭載し、そこで生成したマスタークロックに同期してRaspberry Piからデータ(LRCLK/BCLK)を出力することから、「スレーブモード」と呼ばれている。動作させるにはスレーブモードに対応したドライバが必要となるが、Volumio 2やMoode AudioといったLinuxディストリビューションの最新版では対応済であり、今後はこの手法を採用するDACボードが増えてくることだろう。

ブライトーンのRaspberry Pi用DACボード「Terra Berry」は、自前のマスタークロックを持っている

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