公開日 2016/08/01 11:05

“PCレス”のRoonServerはどこまで使えるのか? QNAPとSynologyのNASで検証

さらなるシステムの拡張もテスト
■さらにシステムを拡張する

ここからは、SynologyのCoreを動かしたまま、さらに全部入りのRoonをインストールしたPC二台をネットワークに接続し拡張を試してみた。

「Networked」にTVS-471やPCが表示されている。これはRoonServerがCoreのほかに「Output」を持っているので、ネットワーク内の他の機器でCoreが動いていれば、そのままRoon Bridgeとして機能するためである。


ネットワーク上のRoon機器の一覧
このことを利用して、単体RoonServerを2台用意すれば、片方をCore、もう片方をOutput(RoonReadyプレーヤー)として使うことができる。ここでは、DS916+(Core)から、デスクトップPCの音声出力(Output)とUSB-DACを接続したノートPC(Output)で同時に音楽再生を試みたが、PCで同じことをした場合と比べても動作が不安定になるようなことはなかった。

2台のRoonServerのうち、片方をRoonBridgeに設定して再生することもできた

今まで見てきたように、RoonServerがNASでも使えるようになったことで、Coreの動作に相変わらず高いスペックが必要だという一点を除いて、Roonはますます自由度の高いシステム構築が可能となった。今回RoonServerに対応したのはQNAPとSynologyだが、いずれ対応するメーカーは拡充していくものと思われる。


DS916+から2台のPCに同時出力を行ってみたが、問題なく再生できた
さて、筆者は早くから、かつてない音源の扱いとライブラリ機能こそがRoonの真価だと考え、Roonがもたらす様々な恩恵や楽しさについて各所で紹介してきた。そしてRoonReadyなどのネットワーク機能は、音質的な配慮がされていることはもちろんだが、やはりRoonのユーザビリティーをより幅広いシステムで実現するという点で重要だ。

その一方で、筆者は既存の優れたソフトやシステムの価値も最大限認めてきたつもりだ。意思決定を全面的に任せるからこそ機能するRoonのライブラリと、既存のシステムの基盤となるユーザー自身の意思を反映させて構築したライブラリでは、得られる体験の質が異なる。どちらにも素晴らしい価値があり、両立すべきものだと捉えている。

音質と卓越したユーザー・エクスペリエンスを同時に実現する方法として、RoonとRoonReadyは強力な選択肢となる。今後もRoonの活用の幅が広がることを期待したい。将来的には日本でもRoonをプラットフォームに採用したオーディオ機器が増え、あちらこちらでRoonReadyの灯が燈る日がやってくるのかもしれない。



余談だが、Roonの価値を冷静に考えつつその魅力を伝える過程で、筆者はRoon Labsの代表であるEnno Vandermeer氏と知り合うことになり、これまで意見交換なども行ってきた。

このあいだVandermeer氏に「いつもRoonのレポートをありがとう。こっちで協力できることがあれば何でも言ってね」と言われたので、ミュンヘンのHigh Endショウで数多く目にしたRoonReadyのサインが欲しいと言ってみたところ、快く送ってくれた。


RoonReadyのサインボード
筆者所有のLUMIN A1の速やかなRoonReady対応アップデートにも期待したいところだ(LUMINはRoonReadyが発表された時から対応を表明している)。

(逆木一)

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