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さらなるシステムの拡張もテスト

“PCレス”のRoonServerはどこまで使えるのか? QNAPとSynologyのNASで検証

2016/08/01 逆木 一
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ますます注目を集めている次世代音楽再生ソフトウェア「Roon」。その中核を成す「RoonServer」に一部のNASが対応、RoonをPCレスで利用できるようになった。本記事では、QNAP「TVS-471」とSynology「DS916+」にRoonServerをインストールして、その実用度を検証してみた。

逆木氏の試聴室に設置されたQNAP「TVS-471」(右)とSynology「DS916+」(左)

進化を続ける「Roon」のNAS対応を検証する

5月中旬にミュンヘンで開催された「High End」にて、世界の名だたるメーカーがRoonReady対応のオーディオ製品を発表したことは記憶に新しいだろう。RoonとRoonReadyの世界的な広がりは、ネットオーディオの領域で音質と快適さの両立がますます重要視されるようになったことを示しているのではないだろうか。

Roon自体も進化を続けており、今年4月のバージョン1.2へのアップデートでRoonBridgeが本格的に導入・実装され、より柔軟なシステム構成が可能になった。また、6月末にはRoonServerが、QNAPとSynologyのNASで使えるようになった(関連ニュース)。これにより従来からあるPC、ミュージックサーバーへの実装に加えて、「Coreの居場所」にNASという新たな選択肢が増えた。

「RoonServer」と言った時、そこには2つの意味がある。1つ目は、Roonのシステムにおける「Core」と「Output」の組み合わせ、またはその機能を持つソフトだ。

2つ目は、RoonServer(ソフト)を実装してその機能を持った機器のことで、exaSound「PlayPoint」やSOtM「sMS-1000SQ Windows Edition」がこれに該当する。そして「RoonServerがNASでも使えるようになった」ということは、「NASにRoonServer(ソフト)を実装し、RoonServer(機器)として使えるようになった」ことを意味する。

Roonの強力なライブラリ機能を担うCoreは、スムーズな動作のために高いスペックを必要とする。そのため、RoonServerに対応したQNAPとSynologyに関しても、実際に使えるのはインテルの64ビットCPUと最低でも2GBのメモリを搭載した製品に限られる。さらにRoon Labs自身、非力なCPUを使った場合には様々な問題が起こる可能性があることを明言している。

このように、「NASをRoonServerとして使う」ことのハードルは低くはない。手持ちのNASをRoonServerとして使いたくてもスペック的に使えない、という場合も多いだろう。それでも、NASをRoonServerとして使うという選択肢が生まれたことは、PCレスでRoonの恩恵が得られるという意味でも、PCを介在させない再生システムが構築できるという意味でも大きな進歩と言える。

そこで今回は、QNAP「TVS-471」とSynology「DS916+」の両製品にRoonServerを実装し、実際に使ってみた。

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