公開日 2015/04/24 14:43

【第123回】「人気キャラソン×高CPイヤホン」連載史上最大の40組み合わせで相性テスト!

[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
高橋敦
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・コウ(CV: 早見沙織)「風がなにかを言おうとしている」


2014年夏のはやみん「さすがです!お兄様!」→2014年秋のはやみん「普段は力を隠していると何がすごいの?そんなのただの手抜きだよ!隠したりせず全力で取り組む人の方がかっこいいよ!わかんないわかんないわかんないわかんないわかんなーい!」…ちょ!?さておき「沢城みゆきさん級の演技力+抜きん出た歌唱力」みたいな境地に達する可能性を感じさせる超逸材。豚さん向けジングルの破壊力も凄まじいし、推さざるを得ない。…そして来る2015年夏。早見沙織ソロデビューシングル「やさしい希望」発売!

そんな早見さんのこの曲が「我が家のお稲荷さま。」EDとして発売されたのは彼女が若干17歳であった2008年だ。この年齢にして歌い手としてこの表現力この安定感に達している例を僕は他に田村ゆかりさんしか知らない。早見沙織とはこんな水準(レベル)だったのか!?曲調はストレートなポップスで、それ自体はイヤホンにも特殊あるいは特段の要求はしてこない。しかしそれだからこそ、あらゆる要素が普通によくてしかしどの要素も過剰ではないというような、イヤホンとしての「普通によい」を高度に要求するとも言えるだろう。そしてその上で早見沙織さんの優しい歌声の表現こそが至上命題だ。

相性相対表

・コウ×SE112 相性評価:△

SE112は声はよいのだが、全体を見たときには「もっと!もっとはやみんを!」という不足感がある。全体にやはり、今回ピックアップしたモデルの中では、中低域の厚みがあり、また全体の自然ななじみもよい。しかしそれは多くの場合では強みなのだが、この曲の場合にはもっとすっきりとした雰囲気で、歌は歌でぱっと浮かび上がってくれた方が好ましい。

例えばこの曲はアコースティックギターやハイハットシンバルが刻む細かなリズムの役割が大きいのだが、しかしそれらが音色的にも音量的にもやや控えめにミックスされている。なのでこのモデルのようになじませるとそれらが少し埋もれてしまい、リズムの躍動感を引き出し切れない。歌も、歌声そのものは少し柔らかめの早見さんらしい優しい声質でよいのだが、演奏とのなじみがよすぎて際立っていない。ということでキャラクターそして早見沙織さんの声の表現はよいのにそれが際立たないことで、ちょっとじれったい感じだ。

・コウ×TX2 相性評価:◎

TX2は早見沙織17歳恐るべし!を実感できるサウンドだ。まず曲全体としての雰囲気に、このイヤホンの開放的で軽やかな音調がとても合っている。おかげでアコースティックギターやハイハットシンバルのリズムの刻みも無理な鋭さや解像感ではなく自然な抜けで届いてきて、曲の軽快さをさらっとリードしてくれるのだ。そして空間を広く使って音が配置されているので、その中心に立つ歌声も他に邪魔されずによく映える。

その歌声そのものも好感触だ。柔らかく優しくふわっと広がる声はこれぞ早見沙織さんの持ち味。引き込まれるように聴き込むと、語尾の抑揚の幅広さ、息を素直に抜いていったり逆に伸ばしつつ息を強く込めていったり強弱を一瞬で揺らしたり、サ行の刺さるアタックや濁点の濁りといった子音成分を、刺さらせないようにほぐしたりむしろ強く刺して印象付けたり濁らせないように鼻濁音に寄せたりといった、この当時にしての早見さんの表現の豊かさ、それをしっかり伝えてくるこのイヤホンの優秀さを感じられる。

・コウ×ATH-CKB50 相性評価:△

ATH-CKB50は総合力としては悪くないのだが、早見さんの声との相性が…

すかっと抜ける開放感はこの曲に合っている。しかし高域の質感を荒さも含めて強めに出すことと中低域の厚みの不足が、この曲においては致命的だ。早見沙織さんの声の魅力を満喫するには、高域の柔らかいほぐれと中低域のこれまた柔らかく優しい豊かな響きの再現は必須。曲全体としては前述の開放感に細かなところの解像感など、悪くはない。しかし早見さんの声の表現が大前提で至上命題。その他の部分の良し悪しは今回に限っては些事なのだ…

・コウ×XBA-100 相性評価:○

XBA-100は好みによってはこちらをベストとする人もいることと思う。明るい輝きが印象的だ。空間の広がりや開放感に加えて、音色が眩しすぎず優しくきらきらとしており、春の午前中の陽の輝きを自転車で駆け抜けていくような光景が思い浮かぶ。その広がりと明るさのおかげで歌声の立ち姿も明瞭だ。アコースティックギターやハイハットシンバルのリズムも細やかに明瞭に届いてきて、曲の雰囲気も軽快。

声も明るくなり、早見さんの表現力も映える。このイヤホンは高域が綺麗に整っているので、早見さんの声の優しくほぐれている高域成分との相性も実によいし、歌い方での子音の刺し具合のコントロールなどもその意図にたぶん忠実に再現してくれている。中低域の豊かな響きはもう少しあってくれた方がはやみんっぽいと思うのだが、その他は見事。これもまたみさおさんの魅力を存分に感じられるモデルと言える。

次ページ続いては白粉花(CV: 悠木碧)

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