公開日 2013/01/25 10:00

ECLIPSE「TD725sw」が最高峰であり続ける理由

【特別企画】”音の遅れ”を徹底排除したサブウーファー
■TD725swはこの問題にいかに取り組んでいるか

TD725swでは、結果的な周波数特性でなく、その根源となるインパルス応答に着目し、忠実な波形再生を狙っている。本機はシンプルな回路構成のローパスフィルターとハイパスフィルター、そしてBASSモードを備えている。しかし、全てを「オフ」にして回路を完全にバイパスさせることが可能で、先述のイコライザーによる音色の変化や遅延といった問題を排除できる。TD725swの平均遅延時間は、イコライザーありきの音作りが行われている他社製品に比べて、非常に短いのである。

本機のアンプ回路には、遅延の要素となるネガティブフィードバックを利用していないのはもちろん、キャパシタやコイルに起因する微細な電気的遅延にも注意して設計されている。こうした配慮も上述のような成果に寄与しているだろう。特にネガティブフィードバックは、低歪みで大出力を得るのには便利な手法だが、元の波形を忠実に再現したいHi-Fiオーディオにおいては不利に働いてしまう。

また、TD725swがネガティブフィードバックを用いずに500Wもの潤沢なパワーを実現することができた背景には、家庭用よりも遥かに厳しい環境と言えるカーオーディオで培ったデジタルアンプ技術が活かされていることも付け加えておきたい。

■登場から6年を経ても革新的な機構面での取り組み

イコライザーによる遅延の話が先行したが、サブウーファーの場合、大口径で質量のあるコーンには慣性や反作用の力が働き、狙い通りの振幅に達するまでのタイムラグは無視できない。また、ドライバーの振動や大きな音圧によるエンクロージャーの振動は、入力された音楽信号を汚染する。

TD725swではサブウーファーとしては小口径の25cmドライバーを採用することで質量(つまり慣性)を低減しつつ、2基を使用することで38cmドライバーに匹敵する低域再現能力を獲得している。ユニットの配置にも注目したい。まず、2基のドライバーを背面対向させることで、それぞれのユニットの振動をキャンセルしている。加えて、両ユニットをアルミシャフトで強固に連結して、お互いに押し合いと引き合いを行わせることで反作用を逆手に利用し、高い瞬発力を獲得している。

2基のユニットをアルミシャフトで結合。各ユニットが前後運動する際に発生する反作用の力を利用してユニット全体の瞬発力を高める土台としている

ユニットの振動により筐体も振動するのを防ぐために、2基のユニットとそれらを結合するシャフトを、振動をカットする特殊素材を用いて設置している

両ユニットはエンクロージャーを介さずに結合されている上に、ユニット自体がエンクロージャーに対してフローティングする構造となっているため、運動エネルギーのロスも少ない。もちろんエンクロージャーに伝わる振動、振動による不要な音の発生も極めて少なく、再生音はピュアさを保つことができるのだ。

次ページ理論に裏打ちされたそのスピード感と再現性の高さ

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